足跡をいくらも追わないうちに、この足跡を残した先人はその先に見える神社に向ったのだと分かった。私はそれに逆らわずに進んでいった。
神社はある重量感を持ちながら、深い根雪を頂いてしんしんと静まり返っている。それは私には思いがけないことだった。
前年の夏、初めて北海道を訪れたとき、それは主に道東の海べりであったが、その旅先で偶然に行きあうこうした類の建物を見ては、形式だけを取り入れたような白々しさを覚えて、私は少なからぬ失望を覚えていたのだ。
その度に私は、この土地と神道のかかわり合いの浅さであろうかと、勝手な解釈を下していたのだったが、この神社を前にしてはそんな思いは芥子粒のようだと思うのだった。
静謐が深々と私の胸にやってきた。
古びた色合いと古木の匂いが漂い来たって、その重厚な底の方から幾万の人々の魂の声がざわめいているようにも思われた。私はしばらくその思いに絡み取られるように動くことが出来なかった。
HPのしてんてん
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