日曜日の13時から、高田世界館で新藤兼人監督作品「裸の島」が上映されます。
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ちなみに高田世界館は、新潟県上越市の国内最古級の単館映画館で、映画業界の斜陽と老朽化のために一度は閉館したものの、地元の人々がNPO法人化して運営している名画座。
新藤兼人監督が、商業主義に陥らない良質な文芸作品を世に出す主旨で設立した近代映画社は赤字続きで、倒産寸前の記念作品として撮影されたのが「裸の島」
予算総額は破格の安さの500万円!監督以下スタッフ12名と主演の殿山泰司さんと音羽信子さんの13名が均等に2万円のギャラ、それ以外は子役も含めて地元のエキストラ、1ヶ月に渡る自炊合宿で撮影。
瀬戸内に浮かぶ孤島に親子4人だけが暮らしており、この周囲500mの島は急峻で水が出ない。
だから生活用水と農業用水は、夫妻が伝馬舟を漕いで近隣の島から運んでいるが、乾いた麦畑に水を注いでもすぐに吸い込まれて土はカラカラに戻っていく。
子供が大鯛を吊ったら自分たちで食べずに街に売りにいき、売ったお金で家族でラーメンを啜る。
こんな慎ましい生活が、一切のセリフ抜きの無言で淡々と綴られていくドキュメンタリータッチの映画。
最近の映画はセリフで説明し過ぎるし、特撮に頼り過ぎて映画の世界観に奥行きが感じられないのとは真逆の力のある映像。
地を這うようなカメラアングルがずっと続くが、ラストシーンが・・・これ以上は言えない( ´艸`)
幸いなことに、この映画はモスクワ国際映画祭でグランプリを受賞したことで世界60余国で上映されたので、近代映画社は借金を返済して、新藤監督が99歳で最後の映画「1枚のハガキ」を完成させるまで存続できた。
これぞ映画の中の映画。多くの人に観て欲しいです。
余談・・・主役の殿山泰司さんがこの映画の撮影時に台本の余白に書き綴っていた日記のような文章を眼にした新藤監督が、斬新で軽妙洒脱な文章を面白がったことが、後に殿山泰司さんは随筆家、ジャズ評論家として知られるきっかけになっている。
殿山さんの文章に影響を受けたのがジャズピアニストの山下洋輔さん、嵐山光三郎さん、椎名誠さんなどで「昭和軽薄体」と呼ばれるようになり、私も高校生のころに大いに影響を受けたのデス。
追記
Facebookに投稿した同じ拙文が、ドキュメンタリー映画「世界で一番美しい村」「くじらびと」の石川梵監督の目に留まり、コメントを頂いた上にシェアして頂きました。
写真家としても20数年来の大ファンなので嬉しい限り
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