何年かに1度、アマリリスの花が咲く。
母が好きだった花だ。
大輪の花は、どういう周期なのか?毎年は咲かない。
私は小さい頃から母の手作りの服をよく着ていた。
赤い色のヒダのついたスカートは母のお気に入りだった。
私はその赤が苦手だった。
赤や緑といったはっきりした色合いが多いのだ。
結婚式のお色直しのドレスを選んだ時のことだった。
私はブルー系が好きだったので黄緑と水色のパキッとしたドレスを選んだ。
数日後、私が選んだドレスが気に入らないと母がお店に行って、
結局鮮やかなピンクと赤のドレスに変更させられた。
結婚が遅かった私は、母にとっては夢にまでみた長女の結婚式。
私たちは母のために分不相応で盛大な結婚式をする羽目になった。
案の定、そのドレスを着た私は、私ではなかった。
この花を見ると、あのドレスを着た居心地が悪く落ち着かない自分を思い出す。