旅ネタから少し離れて製作モノの話になります。
アルミの溶接がしたくて十数年前に買ったダイヘンのTIG溶接機、これの冷却装置の製作の話になります。
溶接機には電源ケーブルとアルゴンガスのホース、その他に冷却用の水が必要で水は蛇口から水道のホースで引っ張ってきていました。
3年ほど前、フライス盤を設置するのにスペースが足りずその溶接機も切り離したのですが改めて設置しようと思ったとき、今までみたいに
ガレージの中をホースを引き回わしてごちゃついてしまうのに抵抗があって結局そのまま手を付けずにいました。
冷却用の水というのは溶接機本体を冷やすためのものではなく、右手で持っているトーチが溶接の熱で熱くなるために、この中に水を流して
冷やしています。
ダイヘンの標準の水冷トーチ。
手で持つ所に水が流れるようになっています。
使用率は100%。水のおかげで最大の300アンペアでも連続使用ができます。
世の中には便利なものもあって冷却水が要らない空冷式のトーチもあります。
水を流すホースが無い分スリムで取り回しも楽です。ただ溶接電流が150~200Aと低く、ダイヘン純正トーチでは使用率が50%と低いため
アルミを溶接するには水冷を薦められます。
水道のホースを引き回さなくて済むようにメーカーからは専用の冷却装置が出ています。
新品で15万円くらい。オークションでも程度が良いものは5~8万円程します。
構造は強制空冷式のラジエータとポンプといった単純なものだけに買うにも勇気がいります。
機械加工屋さんの中にはバイクのラジエータを使って自作されている方もいますし、20リッターのポリタンクくらいの容量があるとラジエータが
無くても大丈夫と聞いたことがあります。
水道水を垂れ流して使っている人も結構多く、トーチ内の配管が細いためか流量もさほど多くありません。
それでも飲み水を捨てることになので私は手元にハンドバルブを設けて実際に溶接するときだけ流すようにしていました。
以前から作ってみたいと思って調べたことがあります。
冷却能力の試算は難しいですがそれは水温で判断するとして、ポンプの能力が不足しないようと気をつけて見てきました。
これまで何とか溶接機なしでやってきましたが、どうしても溶接しないといけなくなったので思い切って冷却装置を作ることに
しました。
これまで集めたポンプです。
イワキのマグネットポンプ
モーターとポンプ部が磁力でつながっているため完全分離されていて軸受けシールがなく、液漏れが無い構造のもの。
名の通ったメーカーです。
三相電機のこれもマグネットポンプ。
小さいながらもカタログ数値的には吐出量は満たしています。
廃却設備に付いていた冷却機器。
安井製作所製の熱交換器(HEAT EXCHANGER)
ラジエータのコアとファンが一つになったもの。冷却にはこれを使うことにしました。
これで能力が足りないようならバイクのラジエータを流用してみようかと思っています。
本来なら冷却も送水もポンプ一台でいいのですが、私のような素人が作るものなので万が一を考えてラジエータを循環させる系統とトーチに
水を送る系統にそれぞれポンプをあてがうことにしました。
配管継ぎ手も結構な数になるので、レイアウトも考えながら必要な継ぎ手を選定しました。
一番費用の掛かるのが継ぎ手。
モノタロウやミスミも調べましたが一番安かったのが『GAOS』と言う商社でした。
(少量で買うなら送料無料なのでミスミが一番安くなります。)
水タンクはホームセンターのキャンプ用品コーナーで売っていた10リットルのポリタンク。
溶接機本体と一緒に置くため、大きさは溶接機本体と同じかそれ以下にしなければならないため、どう置けば良いのかあれこれ考えました。
ポリタンクからどうやってホースを引き出そうか悩みました。
最初は大きい方のキャップ部を改造してフランジを作り、それに四本分のホースの取り出し口を作ろうかとも思いました。
水を交換する際にキャップを外すとタンクからホースが一度に外すことができるので便利かと思ったのですが、それを作るのにも溶接機が
必要なのと、面倒そうなので止めにしました。
欲張るとそれでなくても気持ちが続かないので、適当に妥協することにして単純に四箇所ホールソーで穴を開けるだけにしました。
そのままではあれなんで、電気工事に使うジョイントボックス(アウトレットボックス)のゴムブッシングが丁度具合が良かったので入れて
おくことにしました。
試しにポンプを動かしてみました。
ポンプが自給式ではないので最初はエアを抜くために呼び水が必要になります。
吐出側のホースを抜いて口で吸ってやればエア抜きができるのですが、吸い過ぎて口に入った水が新しい水なのに不味くてびっくり。
たびたびやるものではないですが、あまり気持ちの良いものではないです。
ベースとなる板は加工性が良いアルミ板で作りたかったのですが、手持ちにそんな大きい板材がなく買うのも勿体ないのでスクラップ品に
付いていたステンレス板を使うことにしました。
製作を始めるにあたり構成部品を組んでから筐体を作るか、筐体を作ってから構成部品を納めるか迷いましたが、制約の無い状態で
部品を作っていくと発散してしまいそうなので、だいたい必要な大きさを考えて先に筐体を作り、そこに各部品を納めて行くことにしました。
アルミフレームで筐体を組んでいます。ベースがステンレスなので穴開けが面倒です。
ステンレスは粘っこいといいますが、私はまだその感覚が分かりません。
良い素材ですが、とにかく硬くて作業性が悪くあまり好きではありません。
その点、アルミは切るにしても穴を開けるにしても楽で良いです。
曲げるのも楽チンなので機械にも負担が少なくていいので気兼ね無しに工作が楽しめます。
流量を測定するセンサーのステーです。
センサーもスクラップから外した中古品。アルミも廃材。
チープですが、家計を気にせずモノ作りをすることは大切な事だと思います。
アルミフレームの溝に固定できるようにしてみました。
こんなときアルミフレームは便利です。
筐体の中に仮に部品を並べてみましたが、当初の予定とは全然違うレイアウトになってしまいました。
部品同士の干渉や水モノに電機部品が隣接する問題など、頭の中や机に部品を並べただけでは分からないことが見えてきて、想像通りには
なかなかすすみません。
試行錯誤しながら進めていくしかなく、これがキットや模型と違うところです。
また続きを書きます。
その2はコチラです。
とら母の両親から友和子にとお土産をいただきました。
オラフのブロック。
ポーチも
久しぶりに『いもまるくん』で芋を焼いてみました。
寅次郎もガブリ付いてきました。
ではまた。