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信州の上田から松本へ通じる国道143号線からちょっと入ったところに、昔ながらの湯治場風情を残す田沢温泉があります。バス停が温泉街の入り口となっていますが、そこから伸びる細い一本道は綺麗な石畳となっており、両側には歴史を感じさせる重厚な木造の旅館が建ち並んでいます。
この田沢温泉は子宝の湯として知られており、子供が生まれない女性は37日、乳の少ない女性は27日は入り続ければ効果が出てくるとされています。またこの温泉には山姥が湯治に来て坂田金時(大江山の鬼退治の話で有名)を生んだという伝説も残っています。
上述の1本道を登ると右手に立派な破風を持った建物が現れますが、これが共同浴場「有乳湯(うちゆ)」です。私の訪問時は日曜の昼間でしたが、多くの人で賑わっていました。外観から想像するに浴室も立派な木造かと思いきや、タイル貼りの新しい造りとなっていました。円を4分割した扇形の浴槽には無色透明のお湯がふんだんに掛け流されています。お湯からは弱いものの明瞭なたまごの匂いが漂い、また薄く苦味の残るたまごの味も感じられました。お湯に浸かっていると体中にたくさんの気泡が付着し、つるつるすべすべして気持ちよく、またぬるめなので皆さんじっくりと長湯していらっしゃいます。また多くの方が湯口に口をつけて飲泉していました。ここの流儀なのでしょうか。
子宝に恵まれるかの真偽は不明ですが、美肌の湯には違いありませんので、歴史有る湯治場の様子を楽しみながら湯浴みするのもよろしいかと思います。但し、時間帯によっては非常に込むのでご注意を。
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湯口の様子
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足湯もあります
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趣ある石畳の道
単純硫黄泉
39.5℃ pH9.5 成分総計229mg/kg
長野県小県郡青木村田沢2700 地図
0268-49-0052
6:00~21:00 無休
200円
私の好み:★★