温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

鹿教湯温泉 町・高梨共同浴場

2009年06月22日 | 長野県


信州・上田の西には別所や田沢などいくつもの温泉が集まる丸子温泉郷がありますが、このうち最も規模の大きな温泉地が鹿教湯温泉です。鹿が教えた湯と書いて「かけゆ」と読みます。文字通りこの温泉には、鹿の姿を借りた文殊菩薩が、信仰の篤い猟師に温泉が湧く場所を教えたという伝説が残っており、その開湯は約1200年前にも遡るのだそうです。

鹿教湯温泉には2つの共同浴場があり、そのうち五台橋のたもとにある「文殊の湯」は観光客も気軽に入れる有名な外湯ですが、今回紹介するのはもうひとつの外湯で温泉街の入り口に位置している「町・高梨共同浴場」です。町というのは町営という意味ではなく集落の名前です。一応温泉街の通りには面しているのですが、奥まったところに建っているので注意しないと見逃してしまうかもしれません。

私の訪問時は土曜の午後4時頃でしたが、先客も後客もおらずひたすらお湯を独占することができました。無人施設ですので自分で料金箱にお金を入れます。建物は何の飾り気も無い至ってシンプルなもので、脱衣所も浴室も5~6人でいっぱいになってしまう程のスペースです。タイル貼りの浴槽にはライオンの湯口から無色透明のお湯が掛け流されています。湯船のお湯には細かくて白い浮遊物が舞い、また小さな気泡も確認できます。ほぼ無味無臭ですが、石膏の味と匂いが感じられました。その石膏ならではの感触を裏付けるように湯口のライオンは白い析出で薄く覆われています。湯上りはさっぱりしながらもなかなか湯冷めしません。分析表では単純泉と表記されていましたが、石膏らしさが感じられる点から考えても、普通の単純泉ではなく硫酸塩泉に近い泉質を有しているものと思われます。地味な立地で質素な湯屋ながら、とても良質なお湯を堪能できる、温泉ファンにおすすめの浴場です。

余談ですがここへ向かう途中、通りかかった小学生が皆「こんにちは」とはっきり挨拶してくれたことが強く心に残りました。見知らぬ人にも挨拶を心掛ける教育が施されているのでしょう。お湯も温かければ人も温かい。鹿教湯がますます好きになりました。




単純泉
45.8℃ pH7.8 成分総計622.5mg/kg

長野県上田市西内885 地図
鹿教湯温泉ホームページ

7:00頃~21:00頃 原則無休
200円

私の好み:★★★
コメント
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