出雲市のロードサイド商業集積施設「シェルピア中ノ島」。その一角を占めているのが温泉スーパー銭湯の「割烹温泉ゆらり」です。規模の大きな温泉施設は大抵お湯の質に難があるところが多いのですが、こちらの施設はその予想を見事に覆してくれました。
見ての通り大きな建物。中国地方最大級を謳い文句にしているだけあり、内部も天井が高くて広々しています。お風呂へは物産コーナーや軽食コーナーを抜けて建物の一番奥へ。
脱衣場までのアプローチも広くて結構なのですが、ムダにガランとしている気も…。
綺麗な脱衣所。使い勝手良好です。ロッカーが多く用意されているほか、スペースにも余裕があるため、着替えの最中に他の客と干渉するようなこともあまり無く、ストレス無く使えました。
浴室も広々しており、且つ和風モダン基調な造りも相俟って、実に居心地のよい空間になっています。浴室内には主浴槽の他にサウナ・水風呂が設けられ、洗い場のカランは22基と立って使うシャワーが2基。典型的なスーパー銭湯の設備ですね。
主浴槽は石板貼りですが、縁は白木が用いられており、浴室の壁面や天井も徹底して木材が使用されています。こればかりか、窓サッシまで木材で出来ているという拘りようには脱帽です(規模は違いますが、内湯の雰囲気は信州・大室温泉「まきばの湯」に似ています)。下世話な話ですが相当お金が掛かっているんでしょうね。
露天風呂は庭園調に岩や潅木が配されています。こちらも広いのですが、それだけ外気に多く触れるため、内湯に比べると若干湯温はぬるめだったような気がします(無論日によって異なるかと思いますが)。最近のスーパー銭湯では不可欠になった甕湯もちゃんとありました。
(右のサムネイルはクリックで拡大)
お湯は無色透明、湯口で弱い軟式テニスボールの匂い(つまり硫黄臭)が漂います。硫黄泉に乏しい山陰にあって、この硫黄的臭覚は貴重ではないでしょうか。口に含むとスルっと体に入っていくような口当たりの良さを有しています。強アルカリ泉によくある特徴で、伊豆の観音温泉を髣髴とさせてくれました。また明瞭なツルツルスベスベ感のため肌触りも心地よく、何度も肌をさすりたくなるほどです。
湯口には晒しの布が巻かれており、これで固形物を漉しとっているようですが、布の目が粗いためか、この布を通り抜けた湯の華が湯口付近で浮遊・沈殿しています。
湯口ではやや熱めのお湯ですが、広い浴槽に注がれると丁度良い位の温度まで下がり、じっくり長湯することができました。浴槽縁からはしっかりオーバーフロー。これだけ大きなお風呂でありながら加水加温循環消毒なしの湯使いを実現できているのは立派です。
鄙びや秘湯感を求める御仁には触手が伸びにくいかと思いますが、広々していて清潔、お湯が良くて使い勝手も良いという、まさに万人受けする温泉施設だと思います。
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ところで訪問当日、私は雲州平田駅から地図を片手に現地まで歩いたのですが、何も調べずただ単にショートカットしようとして選んだ道を進むと、そこには妙に風情が光景が広がっているではありませんか。道の両側になまこ壁と黒瓦の甍、そして格子窓が美しい古い切妻の家々が並んでいるのです。蔵を抱える家もちらほら。
この古い商家・、旧家が続く道は木綿街道といって、かつて界隈で栽培収穫された綿花を上方へ流通させるための道として使われたんだそうです。特にこの付近は木綿が集積するマーケットとして賑わい、今ですっかりはその役割を終えてしまいましたが、かつての面影を偲ばせる町並みが残っているのです。
電信柱に「平田舟乗船場」と書かれていたので、矢印が示す路地へ入ってみました。
ここが船着場ですね。残念ながらこの日はガランとしていました。
平田舟というのは界隈の川を行き来する荷船や耕作船のことで、いわゆる高瀬舟の一種ですね。現在この平田地区では平成18年に復元された舟が週末に1日4便運行され、観光客でも乗ることができるんだそうです。
何も知らずに歩いていたら、偶然こんな光景にめぐり会うことができ、とても得をした気分。小さな幸せを得られました。割烹温泉ゆらりからの歩いて2~3分です。
木綿街道公式サイト
アルカリ性単純温泉 56.8℃ pH9.0 280L/min(掘削自噴) 溶存物質0.29g/kg 成分総計0.29g/kg
一畑電鉄・雲州平田駅より徒歩15分(約1.2km)
島根県出雲市平田町7178 地図
0853-62-1234
ホームページ
11月~4月→10:30~22:00 5月~10月→10:30~22:30
(受付は営業終了30分前まで)
平日600円 土日祝700円
100円リターン式ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★