南紀エリアでは非常に高い人気を誇る「ゆりの山温泉」に行ってきました。ゆかし潟の畔に建つ湯川温泉郷の日帰り入浴施設のひとつです。日曜の朝10時頃に訪問したのですが、駐車場は既に車でいっぱい。それだけでも人気の高さが窺えます。
玄関近くには温泉スタンドが。市販の電装用プラボックスの中にコインタイマーが入っていました。手作り感があふれていますね。100円で1分30秒、約22~25ℓの源泉が出てくるんだそうです。
また屋外にはこの温泉の縁起が書かれた看板も立っていました。曰く、この温泉が発見されたのは古く(いつ頃かは書かれていません)、熊野詣の天皇や上皇・宮人や武人たちがこの温泉で湯垢離をしたんだそうです。
建物は休憩室こそあるものの、かなりこじんまりとした造り。脱衣所に入ると浴室からザバザバとお湯が注がれるお湯が聞こえてくるではありませんか。ついつい興奮しちゃいます。ワクワクしながら浴室に入ると、忽ち鼻にお湯由来のほんのりとしたたまご臭が香ってきます。思わずクンクンと鼻を鳴らしちゃいました。
浴槽は5~6人サイズの内湯がひとつあるのみ。でも湯口からはふんだんに源泉が投入され、浴槽の縁から惜しげもなくオーバーフローしていきます。カランから出てくるお湯も源泉使用です。
お湯は無色透明で、上述の通り優しいたまご臭が漂い、口に含むと弱いたまご味も感じられます。湯口には「温泉はすべて飲めます」と書かれた札が下がっていたので遠慮なく飲ませていただくと、これが実に飲みやすい。高アルカリ性且つ溶存物質が0.173g/kgというとっても薄い温泉水であるためか、喉越しがこの上なく滑らかで、まるで自分の体がスポンジになったかのように温泉水をスゥーッっと吸収していきます。上述のように溶存成分は薄いのですが、メタケイ酸が効いているのか、お湯に入っているときの肌触りがとっても滑らかでツルツルスベスベ。若干加温されているものの、40℃程度に設定されているため、じっくり長湯することができ、ぬるくても長い間浸かっていることによって体の芯までポカポカです。なお、近くの四季の郷温泉に似た泉質ですが、こちらでは湯中の泡付きは確認できませんでした。
肌に優しい名湯を贅沢に源泉掛け流しで利用でき、しかも料金が300円なんですから、そりゃ混んで当然です。温泉ファンではなく一般の方にもきっと納得していただける素晴らしいお湯だと思います。温泉は豪華でなくちゃいけないだとかアメニティが充実してなきゃイヤだとか、そんなこと言っている野暮な御仁は是非ここを訪れ、源泉がゴボゴボと音を立てて浴槽へ注がれる以外に何も聞こえない静寂な環境の中、ぬるいお湯にじっくり浸かっていただきたい。必ずや固定観念が覆るはずです。
ゆりの山1号
アルカリ性単純温泉 37.6℃ pH9.6 湧出量不明(動力揚湯) 溶存物質0.173g/kg 成分総計0.173g/kg
JR紀勢本線・湯川駅より徒歩10分(約900m)
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町二河8 地図
0735-52-5106
9:00~22:00
300円
ロッカーあり、ドライヤー30円、石鹸などは販売
私の好み:★★★