温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

大葛温泉 大葛温泉町民浴場

2011年04月26日 | 秋田県
 
比内町から鹿角花輪方面へ抜ける県道22号線沿いに建つ大葛(おおくぞ)温泉の公営共同浴場です。大葛温泉では他に「比内ベニヤマ荘」でも日帰り入浴が可能らしいのですが、お湯は町民浴場の方が良いらしいので、昨年初秋、迷わず町民浴場へと向かいました。県道沿いには大きな看板が立っているので迷うことなく現地到着。木立ばかりの景色の中で緑の屋根と白い壁が目立っていました。
駐車場には15~6台は停まれるでしょうか。玄関に入ってビックリ。料金が100円ポッキリなのです。この界隈で100円の温泉といえばこんなところが思い浮かびますが、それよりははるかに結構立派な湯屋なのに、こんなに安くていいのかしら。券売機で料金を支払い、中へと入ります。


内部には休憩スペースあり、自動販売機もあり、100円で利用できる温泉とは思えない充実さ。地元民向きの浴場なので安い価格設定なのでしょうが、私のような外来者でもこの料金で利用できるのですから恐縮しちゃいます。


お風呂は男女別の内湯が各一室で、浴槽も1つずつ。洗い場には一応カランが設けられていますが、あまり実用的なものではなく、体を洗う際には横長の掛け湯専用槽からお湯を汲んで利用する仕組みになっています。このスタイルは各地の温泉地でたまに見かけますが、まさか地元の生活に密着したこのような共同浴場でお見かけするとは思いもよりませんでした。もちろんこの槽に注がれているお湯は源泉です。


浴槽の形状はほぼ正方形ながら角が欠けて段になっています。そこに張られているお湯は無色澄明。源泉掛け流しでしっかり浴槽からオーバーフロー。湯口に置かれているコップでお湯を飲んでみると、微たまご味+石膏味+芒硝味、石膏臭+芒硝臭、お湯に入ると微かにピリッとする刺激が走る、極めてわかりやすい典型的な硫酸塩泉です。弱いスベスベの中に引っかかりのある浴感で、トロトロとしたお湯の表面は青白く光り、浴槽の底のタイル目地が虹色に輝いて見えます。湯中では少しですが白い微細な湯の華が浮遊しており、お湯の中でじっとしているとやがて肌に細かい気泡が付着します。硫酸塩泉好きの方なら病み付きになってしまうとても心地の良いお湯で、その気持ちよさゆえに、一度入ると後を引いてなかなか出られなくなってしまいました。

シンプルでこじんまりとしながら、料金が安くちゃんとした施設で、お湯も良質であるためか、訪問時(夕方)は入れ替わりながら常時浴室内に5~6人が中にいるほどの人気ぶりでした。こんなお風呂なら毎日入りたいなぁ…。


大葛温泉2号井
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉 42.2℃ pH不明
陽イオン Ca:459.8mg/kg Na:204.9mg/kg Ba:5.6mg/kg K:3.1mg/kg Sr:1.6mg/kg NH4:0.2mg/kg
陰イオン SO4:1399mg/kg Cl:116.9mg/kg HCO3:6.8mg/kg CO3:3.0mg/kg F:2.7mg/kg



秋田県大館市比内町大葛字牛ケ岱30-2  地図
0186-57-2206

6:00~21:00
100円
ドライヤーあり

私の好み:★★★
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大湯温泉 旅館岡部荘

2011年04月26日 | 秋田県
 
秋田県鹿角市大湯温泉の老舗旅館「岡部荘」に宿泊したときのレポートです(半年以上前のことですが…)
いつも安宿を渡り歩いている私には珍しく、この日は立派な旅館にお世話になりました。
↑画像右側はロビーの様子。全体的にゆとりのある造りです。


じゃらんでたまたまこちらのお宿の廉価プランを見つけたので、それを予約して現地へ赴いたのですが、実際にはお部屋に余裕があるとのことで、そのプランで宛がわれるはずの旧館ではなく、トイレが付いた新館の綺麗な部屋にグレードアップしてくださいました。ラッキー! こんな部屋に男一人が泊まるだなんて、とっても勿体無いですよね。


この日の食事は、夕食がお部屋出しで、朝食は座敷で他のお客さんと一緒でした。
廉価プランでしたが、夕食はしゃぶしゃぶやきりたんぽ鍋、ヒメマスなど、郷土色を活かしたとても充実した献立で、ボリュームもたっぷり。美味かったぁ!

こちらのお宿には4つのお風呂があり、それぞれでは別の源泉が使われており、宿泊客はその全てに入ることが出来ます。ただし各浴室とも1室ずつしかないため、男女時間交代制となっています。今回はこのうち、大正風呂、桜風呂、渓流露天風呂に入りました。


◆大正風呂
 
 
岡部荘のお風呂で一番の「売り」である大正風呂。一番小さいのですが、最も歴史があるもので、岡部荘創業以前の大正期から存在しており、今でも松材を刳り貫いた配管が使われているんだそうです。洗い場にはシャワー付混合栓が5基。
浴槽も大正期から使い続けられている石造りのこじんまりとしたもの(2~3人サイズ)、投入される源泉は2種類がMIXされており、40℃ぐらいの絶妙な湯加減がキープされています。


湯口はこんな状態。手前の真っ直ぐな水路は35℃位の源泉で、木の蓋が被せられたところから投入されるお湯は60℃近いかなり熱めです。

無色透明、マイルドな塩味+たまご味、浴室に入った途端に分かるタマゴ臭が特徴的。ツルツルスベスベの気持ちよい浴感で、まるで包み込まれるかのような柔らかい肌触り。湯中には白い繊維状の湯の華が舞い、肌にも薄っすら気泡が付着します。お湯は浴槽の縁からしっかりオーバーフローしており、その様を眺めているだけでも嬉しくなります。
ややぬるめの湯加減と優しい浴感が相俟って、いつまでも浸かっていたくなる秀逸なお湯です。

元湯温泉
ナトリウム-塩化物温泉 49.0℃ pH7.8 15L/min(自然湧出) 溶存物質1140mg/kg 成分総計1162mg/kg



◆桜風呂
 

新館のお風呂で、大正風呂と並ぶ内湯のひとつです。浴室に入ると軽く仄かにタマゴ臭が香ってきます。洗い場のカランは6基で、硫黄のためか水栓の金属は黒く硫化しています。広い浴室の真ん中に四葉のクローバーを模したような形の浴槽がひとつ据えられています。

 
こちらも2つの源泉を混合させた上で浴槽へ投入しており、熱い源泉をもうひとつのぬるい源泉で温度を下げることにより、湯船は40℃ぐらいの入りやすい湯加減に保たれています。無色澄明、微塩味、無臭で、白っぽい大小の湯の華が沢山浮遊しています。 弱めのスベスベ浴感を有し、柔らかく優しい肌触りです。

桜風呂温泉
ナトリウム-塩化物温泉 68.9℃ pH8.0 9.0L/min(自然湧出) 溶存物質1424mg/kg 成分総計1446mg/kg


◆渓流露天風呂
 
大潟川に面したロケーションの露天風呂です。川側は羽目板を格子状に立てて目隠しにしていますが、その隙間から川を眺めることは可能でした。でも奥に長い浴槽で、空間のほとんどをその浴槽が占めているため、お風呂から上がってゆっくりできるようなスペースはあまりありません。
こちらのお湯は一つの源泉を使用しており、知覚的には「桜の湯」に似ているように感じられましたが、屋外で拡散しているためか、タマゴ臭は若干弱めでした。でも他のお風呂同様に入浴中は優しい浴感に包まれ、外気に冷やされて若干ぬるめの湯加減であるため、いつまでも浸かっていられます。湯中では褐色の小さな湯の華が浮遊しています。川面から吹いてくる風で火照った体をクールダウンしながら、せせらぎの音を耳にしてのんびり湯浴みするひとときは、まさに夢心地でした。なお、こちらの宿には他に庭園露天風呂もあります(未入浴)。

渓流温泉
ナトリウム-塩化物温泉 67.4℃ pH7.7 溶存物質1522mg/kg 成分総計1532mg/kg


伝統のお湯を守る宿の方はさすがに温泉に対する造詣が深く、曰く、たまご的な知覚が明瞭な大正風呂と、どちらかといえば無味無臭に近く固めのお湯である上の湯公衆浴場とでは、源泉位置が100m程しか離れていないにもかかわらず、両者の間にはかなり異なった特徴が見られ、これは源泉数が多い大湯ならではの面白い点であると仰っていました。また、この一帯は5mも掘ればお湯が湧いてしまうので、生活用水のための井戸が掘れず、水道が敷設される以前は沢の水を生活用に使っていたんだそうです。

こちらのお宿の風呂は、すべて源泉掛け流しで加水加温消毒循環一切無し。素晴らしいですね。一人旅の客でも暖かく迎え入れてくれ、しかも多種多様なお風呂に入れる純和風旅館、おすすめです。


秋田県鹿角市十和田大湯字上の湯1-1  地図
0186-37-2245

日帰り入浴10:00~15:00
500円
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品帳場預かり

私の好み:★★★
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