温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

虎杖浜温泉 民宿500マイル

2012年04月02日 | 北海道

コストパフォーマンス抜群で味ボリューム共に料理が最高という評判でもちきりの虎杖浜温泉「民宿500マイル」に、冬の某日宿泊してきました。一見すると国道沿いに建つ目立たない民宿にすぎませんが、なぜこの渋いお宿が人気を集めるのか、自分の目で確かめてみたかったのです。平日でも予約を取れないことがあるという情報を目にしたこともありましたが、さすがに厳寒期だからかこの時は1週間ほど前の連絡ですんなり
お部屋を予約できました。



今回通された部屋は2階の浜辺に面した一室。石油ストーブもテレビも完備。



窓を開けると、すぐ目の前に太平洋の浜が広がっていました。宿に到着したのは日没直後。部屋に荷物を下ろして一息ついていると、窓外の洋上にはポッカリと満月が上がり、海面に月光の筋を作っていました。



翌朝も良い天気。朝日が海から上がってきます。部屋にいながらこんな眺望を楽しめるのですから、とっても幸せです。



館内では3匹のニャンコがお客さんを出迎えてくれました。こちらはエビちゃん。訪問時は帳場の前からなかなか動こうとせず、ズングリムックリな体をじっとその場に据えながら廊下を行きかう客に一瞥をくれていましたが、オーナーご家族が夕食の時間を迎えると、そそくさとその食卓へと姿を消していきました。憎めない愛くるしいキャラクター。



こちらはトビちゃん。活発な子で、館内を何やら忙しそうに動き回っていましたが、そのうちに私の部屋にも入ってきて、女将の代わりにお部屋にてご挨拶してくれました。かわいらしいニャンコです。


・食事
腹が減っては戦も湯めぐりもできません。当ブログの趣旨であるお風呂のレポートの前に、お宿ご自慢の料理を取り上げてみます。なお料理内容によって料金プランが7,700円と8,900円の2つに分かれていますが、今回私は8,900円の方をチョイスしました。



夕食。食事はお部屋出しなのですが、眼前に出されたとき、この圧倒的なボリュームに目玉を丸くしてしまいました。毛蟹一杯、イカのしゃぶしゃぶ、煮魚、刺身(ホッキ・昆布〆のヒラメなど)イクラ、焼きタコ、ツブ貝、たまご豆腐などなど、魚介大好きな私には夢のような献立です。



こちらはイカのしゃぶしゃぶ


そして毛蟹! あのお値段でこの毛蟹が含まれているだなんて!
無芸大食な私ですら、あまりのボリュームにギブアップ寸前でした(なんとか平らげましたが)。



こちらは朝食。地元産の椎茸のホイル焼きの他、虎杖浜名産のタラコを多用した献立です。朝からタラコ尽くし。贅沢しすぎ、魚卵の食べ過ぎで、このままだと痛風になっちゃうな。


・お風呂
さて、前置きが長くなりましたが、当ブログの本来の趣旨である温泉浴場について、ようやくここから取り上げさせていただきます。こちらのお宿のお風呂は内湯2と露天1の計3室あり、いずれも貸切利用となっているので、他のお客さんの影を気にせず入浴することができました。内湯から見ていきましょう。


上述の通り内湯は2室あるのですが、単にシンメトリで作られているのではなく、双方はそれぞれ趣向が異なっています。まずは右側の浴室にお邪魔します。



脱衣所はこんな感じ。観葉植物が無機質になりがちな脱衣室内に視覚的な潤いを与えています。なおどの浴室でも利用時は内側からカギをかけましょう。貸切利用が前提なので、せいぜい2~3人が同時利用できる程度の広さです。室内にはドライヤーが用意されていました。


 
縦長の窓が2枚嵌められ、窓越しに砂浜と海を一望できる浴室。海は臨める上にとっても明るい、なかなか居心地の良い室内です。浴槽はタイル貼りの方形で2~3人サイズ、洗い場にはシャワー付き混合栓が1基。浴槽用の蛇口から源泉が投入されています。当然ながら湯使いは掛け流し。



次に左側の内湯へ入ってみます。こちらの脱衣室にも観葉植物の鉢植えがたくさん置かれていました。


 
右側内湯と異なり、黒いタイルが印象的な造りで、窓が小さいため入浴しながら海を眺めることができません。浴槽は1~2人サイズで、洗い場のカランはシャワー付き混合栓が1基と普通の蛇口が1組ずつ。全体的に右側内湯よりも小さく作られており、右側が主だとすればこちらは副といった関係なのかもしれません。でも浴槽のサイズの影響なのか、後述する露天を含めても、3つあるお風呂の中ではこの左側浴室のお湯が鮮度感などのフィーリングで最も優れているように感じられました。源泉がパイプから絶え間なく落とされ湯船を満たしており、人が湯船に入ると勢いよく溢れだして浴室内が大洪水状態になり、その都度私は興奮してしまいました。



湯船はやや深めのつくりなのですが、底にはステップが沈められており、これを使えば楽に出入りできます。パイプから出てくる源泉の温度はちょうど良い塩梅になっているので、加水しなくてもそのままで快適に入浴できました。
お湯は無色透明無臭でごく薄い塩味を帯びています。硫化水素イオンを2.1mg含んでいるため泉質名には「含硫黄」の文字が燦然と輝いていますが、あまり硫黄らしさは伝わってきませんでした。一方、塩味は薄いものの、食塩泉らしい浴感は明瞭に感じられ、特にスベスベ感がはっきりと肌に伝わってきました。ちなみに使用源泉は「柏透湯」。ほほぉ、あの怪しげな柏透湯から引いているのかぁ。


・露天

露天の入口。こちらも内湯同様貸切で利用するので、利用時には内側から施錠します。ドアを入ってすぐの
狭い廊下状の空間が脱衣エリア。


 
浜へ出る戸を開けて露天風呂へ。太平洋の眺望を独り占め。漁具がオブジェとして置かれており、磯らしい雰囲気も抜群。頭上には屋根がかかっているので、余程の悪天や時化じゃなければ雨や雪でも利用可能。



外気に冷やされるためか若干ぬるめの湯加減。でもそのおかげで大海原を臨みながらじっくりと長湯することができました(他のお客さんも使う貸切風呂ですから、利用時間は程々に)。浴槽内には人工芝が敷かれていましたが、これにはツルツル滑るのを防ぐ目的があるのかしら。


 
夜に入ると猶一層ロマンティック(寒いけど)。この時はたまたま満月だったので、海原は遥か彼方まで月に明るく照らされていました。地元の海の幸を胃袋に収めた後に、浜に打ち寄せる波の音を聞きながらじっくりのんびり浸かる露天の温泉。もう最高ですね。



ちなみに温泉水は持ち帰り自由なんだそうです。廊下には持ち帰り用の空容器がたくさん置かれていました。

風呂よし飯よし眺め佳し。国道を挟んだ向かいにはコンビニ(セイコーマート)もあるので便利。リーズナブルなお値段でたっぷり北海道の海の幸と温泉を満喫できる、とっても利用価値の高い民宿でした。ネット上での皆さんの高評価は至極ごもっともです。


柏透湯温泉
含硫黄-ナトリウム-塩化物温泉 46.6℃ pH8.4 300L/min(動力揚湯) 溶存物質1.113g/kg 成分総計1.113g/kg
Na+:337.0mg(96.29mval%),
Cl-:368.6mg(72.44mval%), HCO3-:166.6mg(19.02mval%), HS-:2.1mg(0.44mval%),
H2SiO3:163.5mg,

JR室蘭本線・虎杖浜駅より徒歩20分
北海道白老郡白老町字虎杖浜2-4  地図
0144-87-2682
ホームページ

日帰り入浴不可
宿泊料金など委細はホームページ参照のこと

私の好み:★★★
コメント (7)
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