温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

上北温泉郷 玉勝温泉

2012年04月06日 | 青森県

青森県・上北温泉郷の中で最も鉄道駅(つまり上北町駅)に近い温泉銭湯はこの「玉勝温泉」でしょうね。駅から至近である上に、朝5時から夜10時まで営業しているので、鉄道旅行者にはとっても便利な施設かと思います(もっとも上北町で途中下車する旅行者は少ないでしょうけど)。かくいう私も今回のレポートでは、札幌から夜行急行「はまなす」に乗って早朝に青森到着後、青い森鉄道を乗り継いで上北町駅で下車し、この玉勝温泉へと向かったのでありました。太い木材の表札兼門柱が威風堂々として立派ですね。



昭和の風情を色濃く残す館内。玄関上には温泉名を染め抜いた横に長い暖簾が掛かっており、その下に置かれている券売機で料金を支払います。ちなみに券は昭和末期の食券によく見られたプラスチックの札です。



番台の前に広がる休憩室。まだ朝早い時間のためかどなたもおらず、薄暗くて哀愁たっぷり。館内の静寂に引きづられたのか、番台に座るおじいさんもうつらうつらと夢の世界へ片足を突っ込んでいました。



休憩スペースの片隅にはガチャガチャがズラリ。夕方の繁忙時には子供連れのお客さんもたくさん来るのでしょう。



広々とした更衣室は、籐の籠が積んであったり大きな腰掛が置かれていたりと、いかにも昭和の銭湯らしい佇まい。骨董品クラスの古いスピーカーからは演歌がエンドレスで流れていました。館内で演歌を流すのは青森県の銭湯ではよく見られることですね。


 
更衣室内に貼られた湯使いに関する掲示とモール温泉についての説明。完全放流式の掛け流しで夏季のみ加水するとのこと。一方、モール泉についての説明文を呼んでみると「モール温泉に含まれている『メタケイ酸』という成分が玉勝温泉の温泉にも含まれていることが判明しました。モール温泉の特徴の一つに『肌のツルツル感』があります。このことからも、玉勝温泉も『モール温泉』と呼んでもいいのではないかと考えております」と、モール泉についてちょっと誤解なさっているような節が見受けられました。ここの他にも上北温泉郷ではモール泉を自称する温泉施設があるので、おそらく誰か(行政か観光担当の人)が当地の温泉のアピールポイントとして「モール」という語句に目をつけて流布させたのでしょうけど、あながち間違いではないにせよ、決して正確でもないので、私個人としては当地でこうした文言を目にするたびに、小首をかしげざるをえません。でも、そんじょそこらの自称モール泉よりも良い浴感のお湯がここでは楽しめましたよ。委細は後述にて。


 
曇った画像でごめんなさい。
浴室もこれまた典型的な銭湯らしいレイアウトで、床面積も広ければ天井も高い。銭湯はこうでなくっちゃ。青森県の銭湯らしく、中央に大きな浴槽が据えられ、その周囲を洗い場が取り囲んでいます。浴槽は湯口のある仕切りを境に大小の二つに分かれており、手前側は10人同時利用も余裕だろうと思われる大きな槽です。



その大きな槽にはこんな青いキャップのヘンテコな機械が設置され、騒々しく作動音を唸らせていました。「セラピスト」という製品名のようですが、この機械からは強力な水流が生み出されて浴槽内に噴射されており、これによって銭湯に良くみられるジェットバスの代わりを果たしていました。セラピストという名前なんですから、水流で心地よいマッサージでもしてくれるのかしら。私は騒々しいジェットバスやジャグジーがあまり好きではないのですが、銭湯をよく利用する方は皆さん結構利用なさいますよね。特に青森県の銭湯では必需品かと思われるぐらい、愛好者が多いように思われます。



こちらは小浴槽。大浴槽の半分くらいのサイズでしょうか。大小の両浴槽は仕切りの下部の穴でつながっているためか、双方のお湯に差は無く、いずれも同じくらいの湯加減でした。私は騒々しいお風呂が苦手なので、もっぱらこちらを利用しました。



大小の双方にお湯を注ぐ湯口。この湯口へお湯をもってゆく配管は、男女の境界の塀を伝って洗い場の頭上を跨いでここへと接続されています。この配管レイアウトは姉戸川温泉にちょっと似ているかも。
お湯は薄い黄褐色透明で、ほうじ茶を薄めたような色と表現したらよいでしょうか。ほぼ無味無臭ですが、成分中の陽イオンはナトリウムが大部分を占め、且つアルカリ性に傾いているためか、ツルツル感がとても強く、とても肌触りの良い爽快な浴感でした。ただこの感触のため床が滑りやすいので要注意。


 
隅っこに立つ仕切りの中にあるのは打たせ湯かな。


 
浴槽を三方から囲む洗い場は、青森県の銭湯ではおなじみである古典的な押しバネ式カランと固定式シャワーの組み合わせが27ヶ所、シャワー無しが2ヶ所の計29ヶ所。水栓から出るお湯は源泉です。カラン上の鏡には広告が入っていました。いかにも昔の銭湯らしい雰囲気。



ちなみに道路を挟んだ向かいには玉勝温泉の別館があり、こちらでは宿泊が可能とのこと。この別館では原則的に立ち寄り入浴不可なんだそうですが、ネット上では立ち寄り入浴なさった方のレポートが散見されるので、交渉次第あるいは施設側の状況によっては受け付けてくださる時があるのかも。


南谷地泉6号泉(再分析)
アルカリ性単純温泉 47.3℃ pH8.62 湧出量測定不可 溶存物質0.552g/kg 成分総計0.559g/kg
Na+:137.8mg(95.99mval%),
Cl-:141.3mg(64.46mval%), HCO3-:69.4mg(18.42mval%),
H2SiO3:154.7mg, 遊離CO2:7.3mg,


青い森鉄道・上北町駅より線路際の道を歩いて徒歩2~3分
青森県上北郡東北町上北南1-31-1088  地図
0176-56-3007

5:00~22:00
210円
ロッカー(有料100円)・ドライヤー(たしか20円だったはず)、他販売あり

私の好み:★★
コメント
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