温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

台湾最後の旧型客車 南廻線3672次普快車

2012年04月26日 | 台湾
※今回の記事に温泉は登場しません。あしからず。


(話の流れとしては、前回記事「知本温泉 AYA旺温泉渡假村」)の続きとなります)

この日は知本温泉で入浴した後、台東から高雄へと向かう予定を立てておりました。初めての土地で何も調べず行き当たりばったりで突撃しながら、なんだかんだで4軒(「龍泉山荘」「開天宮」「雲山湯屋」「AYA旺温泉渡假村」)もお風呂をハシゴできちゃいましたが、この日のメインイベントは寧ろ台東から乗車する列車なのであります。

台湾では旧型客車による定期列車が徐々に削減されており、2012年3月現在では南廻線・台東~枋寮の普快車(いわゆる普通列車)一往復のみとなってしまいましたが、旧型客車最後の牙城、風前の灯であるその一往復のうち、台東から枋寮へ向かう「第3672次」列車に乗車し、昔ながらの旅情にとっぷり浸ろうという算段なのです。


 
路線バスで知本温泉の内温泉エリアから台東市街へ。途中で下校する小学生を乗せながら、立客も出るほどの超満員。


 
夕方だからか市街へ近づくにつれ交通量が増え、バスは徐々に進まなくなり、渋滞や信号に引っかかりながら定刻より15分遅れて市街地にある鼎東客運山線の台東総站(バスターミナル)に到着しました(地図)

台東は市街地から鉄道駅がかなり離れており、相互間を連絡する路線バスも運行されていますが、接続時間の都合により、この時は駅へ急ぎたかったため、ターミナル前で待機していたタクシーに乗って(料金交渉の上で)台東駅へ向かうことにしました。車内で頻りに腕時計を見る私に気付いた運ちゃんは、先行く車やバイクを右へ左へと縫うように追い越したり、信号待ちの最右レーンからフライングスタートして一気に左折したりと、小林可夢偉も真っ青なハンドルさばきで渋滞を次々にクリアし、あっという間に台東駅へ。


 
相変わらず何もない台東の駅前。
タクシーの運ちゃんのおかげで列車出発の20分前に駅へ着けたのですが、運が悪いことに、窓口には長蛇の列が・・・。普快列車で枋寮へ向かうだけなら券売機で切符を買っちゃえばよいのですが、枋寮から先の乗り継ぎ列車の切符も買いたかったので、窓口でなくてはなりません。窓口に並ぶ客の多くは一人で行動する若い男性だったので、おそらく兵役の途中の休暇で実家などに帰る人だったんだろうと思います。駅は窓口をほぼすべて開けて対応していましたが、それでもなかなかスムーズに捌けず、私が窓口で発券してもらったのは出発時間の3分前でした。



普快車の切符。
旧型客車の列車だからと言って特別仕様というわけではなく、台鉄の他区間の区間車(ローカルの普通列車)同様、ごくごく普通の切符。



台東17:25発「第3672次普快車」。ホームへ駆け上がると、客車を牽引するディーゼル機関車はアイドリングしながら、信号が進行現示へ変わる時を待っていました。客車は3両編成。



3両のうち、機関車次位には日本製の客車「SPK32740」が連結。
サボ受けにサボは入っておらず、「往枋寮」のシールが車体に直貼り。


 
2・3両目はインド製の客車。日本の鉄道ファンには日本製客車の方が人気ですが、天邪鬼な私は敢えてインド製の方へ乗り込むことにしました。


 
車内の様子。日本製客車と異なり、通勤電車のような両開きドアの車体が特徴的。


 
蛍光灯と扇風機が並ぶ天井。冷房無し。蛍光灯は乗降口周辺を中心に、一車両につき4~5本しか点灯しておらず、車内はかなり薄暗い状態。昼間なら全く問題ありませんが、私が乗った3672次はほとんどが日没後に走行するため、その暗さたるや、日本の鉄道車両じゃなかなか味わえない独特の雰囲気でした。まさに夜汽車です。


 
日没後に撮影した座席の様子。フラッシュは焚いていません。
薄暗さがわかるかと思います。



ドアまわり。日本の近郊型車両のように、ロングじゃないロングシートがドアの両側に設置されています。


 
定刻より5分遅れて出発。車内には空席が目立っていました。
復興・キョ光・自強…今の台鉄の車両は悉く嵌め殺しの窓ですが、非冷房の旧型客車は当然ながら窓が開けられますから、思い切って窓を全開にしたいところです。しかし、この日は夕方から雨が降り出してしまったため、雨粒が入り込んでこない程度にしか開けることができませんでした。ベコベコな窓枠サッシが、この車両の古さを物語っています。


 
海岸線に沿って走る第3672次普快車。
南廻線はトンネルが多く、海が見えたと思ったらすぐにトンネルで視界が遮られちゃう…これの繰り返し。やがて日が暮れて真っ暗になり、夜の闇だかトンネル内だか分からない状態に。



知本駅出発から海岸に沿って走るまでの約8分(0:00~7:57)と、金崙から瀧渓へ向かう途中の海側の車窓(7:58~)をまとめました。夜汽車の風情たっぷりな列車です。発車時に聞こえてくるエグゾーストノートは、客車を牽引するディーゼル機関車の唸りです。片手でコンデジを持ちながら撮影したため、手ブレがひどく、風切り音も入り放題となっちゃいました。


 
太平洋側からグルっと廻って、台湾海峡側の枋寮へ。
途中の交換待ちで時間調整できたのか、出発時の10分遅れを回復し、定刻19:34に到着。
隣のホームには復興号の車両が停車中ですが、この列車は4分後に出発する区間車の高雄行。


 
区間車には乗らず、枋寮駅の改札を出てみます。暗くてわかりにくいのですが、屋根の上には蒋介石の立像。



駅前の通りにチョコチョコと屋台が並んでいました。


 
小腹が空いたので、屋台のたこ焼きを食べてみることに。
ホットケーキみたいな生地で甘かった…。


 
真っ暗な枋寮駅のホーム。


 
20:10発のキョ光号に乗車。



定刻の21:29、高雄駅に到着。
コメント (2)
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