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前回記事で「駒の湯温泉」の今季オープンに関して紹介しましたので、今回はそのご近所である新湯温泉「くりこま荘」を取り上げます。「駒の湯温泉」へ向かう途中にあり、右手に見える赤い大きな屋根が目印です。宿泊や食事のほか、日帰り入浴も可能です。ちなみに温泉名の新湯は言うまでもなく新しいお湯という意味ですが、新に対する旧あるいは元に相当する存在は、言わずもがな「駒の湯温泉」であります。
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玄関ではクマの剥製がお出迎え。お宿を切り盛りしている若夫婦に料金を支払い、廊下を右に折れてどんどん進んでゆくと、その突き当たりに浴室があります。オーナーさんは源義経が大好きなんだそうでして、館内の至る所で義経や判官にまつわる物品やネーミングが見られるのですが、浴室も義経関係の名前になっており、男湯は「義経の湯」、女湯は「静乃湯」と名付けられていました。
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なお浴室手前のスペースには共用洗面台が設けられており、ドライヤーも用意されています。またこの洗面台の奥には貸切風呂(要別途料金)もあります。
●内湯(男湯)
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木造の浴室「義経の湯」は日中でも明るさが抑えられ、落ち着いた雰囲気です。室内には湯気と共に温泉の匂いがフンワリと篭っていました。
洗い場にはシャワー付きカランが2基並んでおり、ボイラーの沸し湯が吐出されます。
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総木造の浴槽は4~5人サイズで、手前側の角が曲線を描いており、ビジュアル的に柔らかな印象を与えてくれます。白い結晶がこびりついた箱状の樋から、加温された温泉が注がれている他、その隣には「冷泉」と書かれたコックも突き出ており、任意でその「冷泉」を投入することもできます。私が訪れた時(2015年)の湯船のお湯は底が見えないほど白濁しており、湯口のお湯からは軟式テニスボールのような硫化水素臭と、ゴムっぽい味が感じられました。
●露天風呂(男湯)
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男湯の露天風呂「クロベ乃湯」。クロベとは義経関係のワードではなく、栗駒山中に自生する日本一太いクロベ(黒檜・別名ネズコ)の大樹にちなんだネーミングなんだとか。
山の木立ちの中に設けたウッドデッキ上に、小さな四角い総木造の湯船が据え付けられています。標高が高い場所ですからとても爽やかな環境で、私の湯浴み中も四方から小鳥のさえずりが頻りに聞こえてきました。
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露天の浴槽はコンパクトな2人サイズ。木の樋から加温された温泉が注がれている他、冷泉のコックが取り付けられている点も内湯と同様です。またお湯の特徴も内湯と同様です。源泉温度が低いため、内湯・露天ともお湯は加温されていますが、循環や消毒などの無い放流式の湯使いです。弱いながらもゴムのテニスボールみたいな硫黄感を有している他、石膏感もあり、湯船に浸かるとスルスベと引っかかりが混在する浴感が得られました。
●内湯(女湯)
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先日(2016年4月)の夜、ちょっとした事情があって、特別に女湯「静乃湯」を貸切で使わせていただく機会を得ました。
浴室は男湯とシンメトリーの造りであり、洗い場に取り付けられたシャワーの数も同じです。
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湯船の造りも男湯と同じで、完全なシンメトリーであり、白い結晶がこびりついた木の樋から加温されたお湯がチョロチョロと注がれている点、そしてその横に「冷泉」のコックが突き出ているのも同じです。
でも前回訪問時と明らかに違うのがお湯の濁り方です。男湯を利用した時、お湯は内湯・露天ともしっかりと白濁していましたが、今回はボンヤリと霞が掛かっている程度で、湯船の底がはっきりと目視できるほどの透明度があります。お湯からはゴムテニスボールのような匂いと石膏のような味が感じられましたが、匂い・味ともに以前よりもマイルドになっているようでした。硫黄泉の濁りはその時々のお湯のコンディションによって異なりますが、単なる状況による相違だけではここまで違いは生じないはずだと思って、帰宅後、前回訪問時に記録した分析書と、今回記録した分析書を見比べたところ、なんと前回訪問時の源泉は1号泉であるのに対し、今回の女湯では3号泉になっていたのでした。しかも3号泉の分析書は2015年11月の分析という新しいもの。ということは使用源泉が変わったのかな。詳しい事情はわかりませんが、図らずも「くりこま荘」で2つの異なる源泉に入ることができたのでした。
なお、男湯同様に女湯にも露天風呂(アズサ乃湯)もありますが、この日は悪天候のためクローズされていました。
●名物「岩魚丼」
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「くりこま荘」は岩魚料理のお宿でもあります。先日訪問時にはお宿ご自慢の「岩魚丼」をいただきました。宿のすぐ裏に生簀があり、そこから採ったばかりの岩魚をさばいて揚げ、自家製のタレをかけた上で提供されます。イワナは川魚とは思えないほど肉厚で臭みなど全くなく、しかも骨までいただけて実に美味でした。主役の丼のほか、春の彩りを添える山菜の小鉢もおいしかったですよ。このほか「岩魚定食」や「岩魚定食」などもあるんだとか。詳しくは公式サイト(当ページの下部にリンクあり)をご覧ください。
「駒の湯温泉」でひとっ風呂浴びた後は、こちらにも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
1号泉
含硫黄-カルシウム-硫酸塩泉(硫化水素型) 31.6℃ pH5.6 溶存物質1454.0mg/kg 蒸発残留物1546mg/kg 成分総計1554.3mg/kg
Na+:21.0mg(4.38mval%), Mg++:20.0mg(7.93mval%), Ca++:360.8mg(86.54mval%),
Cl-:8.5mg, HS-:0.2mg, S2O3--:<0.1mg, SO4--:943.0mg(97.18mval%), HCO3-:18.3mg,
H2SiO3:72.4mg, CO2:93.9mg, H2S:6.4mg,
(分析:平成18年5月30日、浴用許可:平成18年8月30日)
加水あり(源泉が減少したため)
加温あり(源泉が低温のため常時加温)、循環・消毒なし
3号泉
含硫黄-カルシウム-硫酸塩泉(硫化水素型) 28.6℃ pH5.9 溶存物質1190.1mg/kg 蒸発残留物1205mg/kg 成分総計1251.9mg/kg
Na+:19.2mg(5.16mval%), Mg++:17.4mg(8.79mval%), Ca++:277.4mg(85.06mval%),
Cl-:7.2mg, HS-:0.6mg, S2O3--:0.8mg, SO4--:781.1mg(95.53mval%), HCO3-:30.0mg,
H2SiO3:48.6mg, CO2:52.2mg, H2S:9.6mg,
(分析:平成27年6月27日、浴用許可:平成28年1月8日)
加温あり(源泉が低温のため常時加温)、加水・循環・消毒なし
宮城県栗原市栗駒沼倉耕英東95-2
0228-46-2036
<a href="http://kurikomaso.jp">ホームページ
ホームページ
日帰り入浴10:00~15:00
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★