演歌の世界で歌われる日本人の心に従えば、失恋した人間は北へ向かうもの。
昨年末のこと。不惑を目前にしてハートブレイクした私は、しばらくの間、日々の生活ですら迷わんばかりに心が千々に乱れていたのですが、ある日その演歌の法則に則って行動することを決意し、どうせなら北へ向かうなら最北端の宗谷岬へ行ってやれと、思いつきで飛行機に乗り、極寒の稚内へ向かいました。
羽田発の 全日空機 降りた時から
宗谷の街は 雪の中・・・
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まずは稚内空港から稚内駅へ行き、駅前から浜頓別行きの路線バスに乗って・・・
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寒風吹きすさぶ宗谷岬の日本最北端モニュメントで記念撮影。
実は私、ここを訪れるのは初めてではなく、今回で3度目。しかも、全て失恋と関係しているんですから、自分でも嗤っちゃうほど始末に負えません。なにやってんだ、俺…。
でも、ここから宗谷海峡の対岸に広がる樺太(サハリン)の地が肉眼で見られたのは初めて。島国に住む人間にとって、肉眼で異国を眺める機会なんて滅多にありませんから、海峡の向こうに広がる白い山々の姿にすっかり感動し、恋に破れた心もこの景色を見てすっかり癒されました。
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さて、絶景に感動し、そのおかげで哀しい想い出を海峡に流し棄て終えた私は、稚内駅へ戻った後にこの日の宿へ向かうべく…
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「最北端の線路」の上で停車中の特急「スーパー宗谷」に乗り…
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2つ目の停車駅である豊富駅で下車しました。
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氷に包まれた極寒の街、豊富。人っ子一人歩いていない駅前ロータリの上で、ご当地の観光地名を掲げた大きなゲートが、照明で煌々と照らされています。その光にどこか虚しいものを感じつつ、ゲートを眺めながら駅前でしばらく待っていると、ツルッツルのアイスバーンの道を路線バスがやってきました。このバスに乗って向かったのは…
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豊富温泉です。このブログをご覧の方でしたら、豊富という地名が出てきた時点で、もう既にお気付きですよね。この日お世話になったのは「ニュー温泉閣ホテル」です。お宿の外観は翌朝撮影しました。ホテルと名乗っていますが、実質的にはお手頃価格の温泉旅館であり、ロビーをはじめとした館内に気取った空気は無く、どこかアットホームな佇まいが感じられました。お宿のスタッフさんもみな明るく親切に対応してくださいます。そんな雰囲気のお宿だからか、私が宿泊した日には、工事関係者の利用が多く見られました。
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今回は2食付きの割安プランでお願いしました。通された客室は8畳の和室。トイレや洗面台などの水回りは共用ですが、冷蔵庫・テレビ・Wifiなどひと通りの設備は備わっており、冷蔵庫の中には冷水がストックされていました。この冷水は、豊富温泉で湯浴みする上で、とっても重要なのです。その理由は後ほど。
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通常の料金設定より安いプランでお願いしたにもかかわらず、夕食は部屋出しで提供してくれました。温泉旅館によくある豪華な食事が苦手な私は、程々のボリュームで抑えられているこの晩のメニューにほっと安心。程々とはいえ、お刺身・西京漬・風呂吹き大根、そして味噌仕立てのキムチ鍋など、家庭的で十分な量と心温まる味付けに満足し、おかげさまでビールも大変おいしく飲み干すことができました。
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ちなみにこちらは朝食の様子。朝は会場で他の宿泊客のみなさんといただきます。
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お食事のお話を済ませたところで、本題のお風呂へと参りましょう。
浴室はフロントから奥へ進んだところにあり、男女別の内湯が一室ずつ用意されています。平成24年に行われた改修工事のおかげで脱衣室内は綺麗にまとめられており、使い勝手も良好でした。
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浴室も全面タイル張りで実用的ですが、お手入れがしっかりしているのか、綺麗で快適な入浴環境が保たれています。男湯の場合は正面奥に逆さにしたL字型の大きな浴槽がひとつ据えられ、その手前の左右両側に洗い場が配置されています。なお洗い場に設置されているシャワー付きカランの数は計10基で、カランから出てくるお湯は真湯です。
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逆さL字型の浴槽は最大寸法で奥行き6m、幅2m弱といったところ。湯船に張られたモスグリーンを帯びたラクダ色のお湯は、底が見えないほど強く濁っています。また浴槽の縁は温泉成分の付着によってデコボコになっており、お湯の濃さがビジュアルからもよく伝わってきます。そして、湯船の湯面を見ますと、ところどころで油膜が浮いていました。
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温泉成分の影響でベージュ色に濃く染まった湯口からは、加温されたお湯が注がれており、浴槽を満たしたお湯は、壁際の溝へと流れ落ちていました。排湯が流れるその溝は赤茶色に染まっています。お湯の投入量は決して多くないのですが、やや過度に加温されているためか、湯面で適度に冷めることによって湯船ではちょうどよい湯加減になっていました。なお湯使いは放流式のようです。
温泉ファンならご存知の方も多いかと思いますが、豊富温泉は油田の試掘中に湧出した温泉であり、現在のお湯も強い石油臭を発しています。実際に浴室内には鼻をツーンと刺激する石油臭、そしてハロゲン系の臭いやアンモニア臭が漂っており、特に湯口に鼻を近づけると、思わず噎せそうになるほど強い匂いを嗅ぎ取ることができました。お湯を口に含むと大変塩辛く、すぐに真水で口を濯ぎたくなるほどです。湯船に浸かってみますと、ヌルヌルを伴うツルスベ浴感がはっきり肌を覆うほか、若干の引っ掛かりもあり、濃厚なお湯ならではの、一言では表現できない複雑なフィーリングが得られました。また塩辛いお湯ゆえ、湯上がりは強烈に火照り、極寒な時期にもかかわらず、しばらくは発汗が止まりませんでした。上述の客室に関する箇所で、客室の冷蔵庫に用意されている冷水が重要な役目を果たすと申しましたが、湯上がりは強く発汗するので水分補給が欠かせないんですね。さすが豊富のお湯はパワフルです。
お手軽な料金で豊富温泉の濃厚なお湯を楽しめる、アットホームで居心地のよいお宿でした。
R4号井・R1A号井混合
ナトリウム-塩化物温泉 31.5℃ pH7.9 溶存物質12.05g/kg 成分総計12.07g/kg
Na+:4023mg(95.06mval%), NH4+:31.6mg, Mg++:30.3mg, Ca++:80.0mg, Fe++:2.1mg,
Cl-:5438mg(83.05mval%), HCO3-:1866mg(16.73mval%), CO3--:11.3mg,
H2SiO3:38.6mg, HBO2:473.9mg,
(平成21年3月25日)
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
JR宗谷本線・豊富駅もしくは幌延駅から沿岸バスの豊富留萌線で「豊富温泉」下車
北海道天塩郡豊富町字豊富温泉 地図
0162-82-1243
ホームページ
日帰り入浴11:00~21:00
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★
昨年末のこと。不惑を目前にしてハートブレイクした私は、しばらくの間、日々の生活ですら迷わんばかりに心が千々に乱れていたのですが、ある日その演歌の法則に則って行動することを決意し、どうせなら北へ向かうなら最北端の宗谷岬へ行ってやれと、思いつきで飛行機に乗り、極寒の稚内へ向かいました。
羽田発の 全日空機 降りた時から
宗谷の街は 雪の中・・・
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まずは稚内空港から稚内駅へ行き、駅前から浜頓別行きの路線バスに乗って・・・
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寒風吹きすさぶ宗谷岬の日本最北端モニュメントで記念撮影。
実は私、ここを訪れるのは初めてではなく、今回で3度目。しかも、全て失恋と関係しているんですから、自分でも嗤っちゃうほど始末に負えません。なにやってんだ、俺…。
でも、ここから宗谷海峡の対岸に広がる樺太(サハリン)の地が肉眼で見られたのは初めて。島国に住む人間にとって、肉眼で異国を眺める機会なんて滅多にありませんから、海峡の向こうに広がる白い山々の姿にすっかり感動し、恋に破れた心もこの景色を見てすっかり癒されました。
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さて、絶景に感動し、そのおかげで哀しい想い出を海峡に流し棄て終えた私は、稚内駅へ戻った後にこの日の宿へ向かうべく…
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「最北端の線路」の上で停車中の特急「スーパー宗谷」に乗り…
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2つ目の停車駅である豊富駅で下車しました。
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氷に包まれた極寒の街、豊富。人っ子一人歩いていない駅前ロータリの上で、ご当地の観光地名を掲げた大きなゲートが、照明で煌々と照らされています。その光にどこか虚しいものを感じつつ、ゲートを眺めながら駅前でしばらく待っていると、ツルッツルのアイスバーンの道を路線バスがやってきました。このバスに乗って向かったのは…
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豊富温泉です。このブログをご覧の方でしたら、豊富という地名が出てきた時点で、もう既にお気付きですよね。この日お世話になったのは「ニュー温泉閣ホテル」です。お宿の外観は翌朝撮影しました。ホテルと名乗っていますが、実質的にはお手頃価格の温泉旅館であり、ロビーをはじめとした館内に気取った空気は無く、どこかアットホームな佇まいが感じられました。お宿のスタッフさんもみな明るく親切に対応してくださいます。そんな雰囲気のお宿だからか、私が宿泊した日には、工事関係者の利用が多く見られました。
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今回は2食付きの割安プランでお願いしました。通された客室は8畳の和室。トイレや洗面台などの水回りは共用ですが、冷蔵庫・テレビ・Wifiなどひと通りの設備は備わっており、冷蔵庫の中には冷水がストックされていました。この冷水は、豊富温泉で湯浴みする上で、とっても重要なのです。その理由は後ほど。
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通常の料金設定より安いプランでお願いしたにもかかわらず、夕食は部屋出しで提供してくれました。温泉旅館によくある豪華な食事が苦手な私は、程々のボリュームで抑えられているこの晩のメニューにほっと安心。程々とはいえ、お刺身・西京漬・風呂吹き大根、そして味噌仕立てのキムチ鍋など、家庭的で十分な量と心温まる味付けに満足し、おかげさまでビールも大変おいしく飲み干すことができました。
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ちなみにこちらは朝食の様子。朝は会場で他の宿泊客のみなさんといただきます。
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お食事のお話を済ませたところで、本題のお風呂へと参りましょう。
浴室はフロントから奥へ進んだところにあり、男女別の内湯が一室ずつ用意されています。平成24年に行われた改修工事のおかげで脱衣室内は綺麗にまとめられており、使い勝手も良好でした。
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浴室も全面タイル張りで実用的ですが、お手入れがしっかりしているのか、綺麗で快適な入浴環境が保たれています。男湯の場合は正面奥に逆さにしたL字型の大きな浴槽がひとつ据えられ、その手前の左右両側に洗い場が配置されています。なお洗い場に設置されているシャワー付きカランの数は計10基で、カランから出てくるお湯は真湯です。
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逆さL字型の浴槽は最大寸法で奥行き6m、幅2m弱といったところ。湯船に張られたモスグリーンを帯びたラクダ色のお湯は、底が見えないほど強く濁っています。また浴槽の縁は温泉成分の付着によってデコボコになっており、お湯の濃さがビジュアルからもよく伝わってきます。そして、湯船の湯面を見ますと、ところどころで油膜が浮いていました。
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温泉成分の影響でベージュ色に濃く染まった湯口からは、加温されたお湯が注がれており、浴槽を満たしたお湯は、壁際の溝へと流れ落ちていました。排湯が流れるその溝は赤茶色に染まっています。お湯の投入量は決して多くないのですが、やや過度に加温されているためか、湯面で適度に冷めることによって湯船ではちょうどよい湯加減になっていました。なお湯使いは放流式のようです。
温泉ファンならご存知の方も多いかと思いますが、豊富温泉は油田の試掘中に湧出した温泉であり、現在のお湯も強い石油臭を発しています。実際に浴室内には鼻をツーンと刺激する石油臭、そしてハロゲン系の臭いやアンモニア臭が漂っており、特に湯口に鼻を近づけると、思わず噎せそうになるほど強い匂いを嗅ぎ取ることができました。お湯を口に含むと大変塩辛く、すぐに真水で口を濯ぎたくなるほどです。湯船に浸かってみますと、ヌルヌルを伴うツルスベ浴感がはっきり肌を覆うほか、若干の引っ掛かりもあり、濃厚なお湯ならではの、一言では表現できない複雑なフィーリングが得られました。また塩辛いお湯ゆえ、湯上がりは強烈に火照り、極寒な時期にもかかわらず、しばらくは発汗が止まりませんでした。上述の客室に関する箇所で、客室の冷蔵庫に用意されている冷水が重要な役目を果たすと申しましたが、湯上がりは強く発汗するので水分補給が欠かせないんですね。さすが豊富のお湯はパワフルです。
お手軽な料金で豊富温泉の濃厚なお湯を楽しめる、アットホームで居心地のよいお宿でした。
R4号井・R1A号井混合
ナトリウム-塩化物温泉 31.5℃ pH7.9 溶存物質12.05g/kg 成分総計12.07g/kg
Na+:4023mg(95.06mval%), NH4+:31.6mg, Mg++:30.3mg, Ca++:80.0mg, Fe++:2.1mg,
Cl-:5438mg(83.05mval%), HCO3-:1866mg(16.73mval%), CO3--:11.3mg,
H2SiO3:38.6mg, HBO2:473.9mg,
(平成21年3月25日)
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
JR宗谷本線・豊富駅もしくは幌延駅から沿岸バスの豊富留萌線で「豊富温泉」下車
北海道天塩郡豊富町字豊富温泉 地図
0162-82-1243
ホームページ
日帰り入浴11:00~21:00
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★