温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

北投温泉 景泉浴室

2017年01月17日 | 台湾
 
前回記事に引き続き、昨年ブログで紹介し忘れた台湾の温泉をピックアップ致します。
台北市街の超有名温泉地である北投温泉は、あくまで私の個人的見解ですが、宿泊でも日帰り入浴でも、快適だけど極端に高いか、あるいは安いけど極端に狭い(あるいは古い)かのいずれかに分かれる傾向があるようです。昨年の某日に台北市内で滞在していた時、夕食を済ませてホテルへ戻る前に強酸性のお湯で身を引き締めたくなったので、MRT(地下鉄)で北投へ向かったのですが、単にひとっ風呂浴びるだけなので、後者に属する温泉施設を利用することにしました。その時訪れたのは、地熱谷の入口に建つマンション1階の「景泉浴室」です。駅から徒歩圏内で且つ未訪問であるという点でこちらを訪れたのでした。個室風呂専門の施設です。


 
お隣には以前このブログで取り上げたことのある「新北投温泉浴室」があり、こちらと同じように個室風呂を専業としているのですが、「新北投温泉浴室」の個室(一人用)は130元であるのに対し、こちらは150元と20元高いためか、宵の口だというのにお客さんの姿は見当たらず閑散としていました。個室には最もシンプルな個人湯(一人用)の他、二人用や家族用など利用人数に合わせた個室が用意されている他、花崗岩浴室なるものもあり、料金設定は普通の個室の倍となっていました。お風呂で花崗岩ということは、つまり御影石ということかな?
番台の前には「艶景美泉」と記された朱塗りの額が掲げられていますが、決してお風呂から景色が眺められるわけではありませんので悪しからず。


 
受付の前には天然温泉である証が掲示されていました。またカウンターの後ろには、料金表と並んで「石鹸は使わないで」という文言が掲示されていたのですが、北投の温泉は強酸性で石鹸が中和しちゃいますから、使用禁止どころか、使おうと思っても使えません。


 
カウンターでテレビを見ていたおばちゃんに入浴したいと申し出て料金の150元を支払うと、たくさんの個室が並ぶ薄暗い廊下を進んで、その中の一室へと案内してくれました。


 
浴室は台湾の個室風呂によくある典型的な構造。タイル張りの狭い浴室いっぱいに一人サイズのFRP製バスタブが据えられ、ドア脇には小さな棚、そしてドア内側には衣服を引っ掛けるフックが取り付けられていました。シャワーなどは無いので、桶でバスタブのお湯を直接汲んで掛け湯することになります。なお、室内に靴を置く場所は無く、掛け湯をしたら床は悉くビショビショになってしまいますので、靴はドア外側の廊下に置いておきましょう。
なお(上画像でも写っていますが)ドア内側に表示されているように、利用時間は40分間です。客が入室すると、おばちゃんが番台のホワイトボードに各室の終了時間を書いて、40分を超えないよう時間管理していました。


 
こちらの貸切風呂は利用する度にお湯を張り替えるため、入室時のお風呂は空っぽです。利用時間は限られていますから、入室してすぐにコックを開け、備え付けのスポンジで槽内を軽く洗ってから、栓をしてお湯を張りました。入浴できる嵩まで溜まるのに、5分強は要しました。



コックから吐出される時点の温度は41.6℃でしたから、湯船ではさらにぬるくなります。配湯や貯湯される過程で冷めちゃうのかな。温度はいまひとつ物足りませんが、さすが北投の青磺だけあり、pH計はpH1.18という強酸性を表示しました。日本では草津温泉や玉川温泉など遠方まで行かないと入れない強酸性のお湯が、台北では市街地で入れるのですから、台湾の温泉環境ってすごいですね。お湯からは酸っぱい匂いがほんのり香るものの、酸が強すぎてガスがお湯から遊離できないのか、無臭と言っても差し支えないほど匂いはかなり薄い状態です。しかしながら、お湯の雫がちょっとでも口に入ると、口腔の粘膜が一気にキュッと収斂する強烈な酸味が広がり、酸味のみならず、塩味、渋み、えぐみなど様々な味覚が波状攻撃のように粘膜を刺激してきました。このお湯を口に含んだら、歯が溶けちゃうかもしれませんね。
湯中では強酸性のお湯らしいヌルヌルを伴うツルスベ浴感がはっきりと全身に伝わり、肌がツルッと生まれ変わったかのような感覚になりました。天然のケミカルピーリングですね。でも湯上がりからしばらく経つと少々ベタつきます。シャワーなど上がり湯が無いため、強酸性のお湯が肌に残るんですね。この施設に限りませんが、肌の弱い方に北投温泉は奨められません。


 
余談ですが、以前拙ブログで取り上げたことのあるお隣の「新北投温泉浴室」は、ブログで紹介した当時は温泉施設専業でしたが、その後リニューアルされたらしく、昨年春の時点で表の姿がコンビニ「Hi-Life」に変わっており、コンビニのレジが温泉の受付となっていました。何らかのお店と兼業する温泉施設は日本でもたまに見かけますが、コンビニ兼業の温泉は珍しいですね。


氯化物硫酸鹽泉(直訳すると塩化物硫酸塩泉) 40.5℃(※) それ以外のデータ不明
(※)「温度」としか表記されておらず、源泉温度か使用位置温度か不明


MRT新北投駅より徒歩10分弱(約700m)
台北市北投區中山路30號
8:30〜24:00 無休
個人池(一人用)150元/40分、双人池(2人用)300元/40分など
ドライヤー(有料)あり

私の好み:★★
コメント (4)
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