ボゴール(Bogor)の東に聳えるパンチャール山(Gunung Pancar)は、自然豊かで且つ首都ジャカルタからのアクセスが良好であるため、山麓にリゾート施設やゴルフ場などが点在しており、現地に滞在する日本人も週末レジャーでこの界隈をよく訪れるんだとか。この山の周辺にも温泉がいくつか湧いているのですが、その中でも「ギリティルタ・ホットスプリングリゾート」(Giritirta Hotspring Resort and Spa。以下「ギリティルタ温泉」)はネット上で日本語の情報がたくさん検索されたので、どんなところか行ってみることにしました。
ギリティルタ温泉を含むパンチャール山の各温泉は自然公園のエリア内にあるため、アクセス路の途中に設けられた公園のゲートで入園料を支払います。でも外国人料金Rp100,000って、いくらなんでも高すぎないか! ボッタクられたのかな?
ゲートを入ってしばらく進むと、途中で道が分岐しており、その分岐点には各温泉など様々な看板が立っていました。まっすぐ進むと他の温泉へ行けるようですが、今回はここを左折します。
左折するとすぐに未舗装路となるのですが、この道がとっても酷い。いわゆる砂利道なのですが、随所が大きくえぐれており、凸凹も激しくて非常にバンピー。しかも急勾配の登り下りが連続するのです。パワーの弱いセダンだったら途中で立ち往生しちゃうかも。とてもリゾートと名乗る施設へのアクセス路だとは思えません。途中に立つ看板で更に左折するのですが、奥へ行けば行くほど道が狭くなり、荒れ具合も悪化し、この道で本当に大丈夫なのか心配になってきます。
訪問時は薄曇りだったので路面の砂利は乾いていましたが、とんでもなく荒れた勾配路なので、もし雨が降ったら車高の高い四駆車以外はアクセスできないかもしれません。それほどの悪路をひたすら進んで行くのです。
心配な面持ちで車に乗る当方を、路傍で草を食む水牛が呑気に見つめていました。
自然公園のゲートから約20分で「ギリティルタ温泉」に到着です。
熱帯雨林と棚田に囲まれたとても麗しい環境です。悪路の先にある施設とは思えないほど建物は綺麗で、スタッフの対応もしっかりしています。レセプションで入浴したい旨を伝え、料金を支払うと、スタッフが貸切風呂へと案内してくれました。
山の斜面に広がる敷地内にはいくつもの貸切風呂が設けられており、それぞれには目隠しの塀が立てられていますので、お風呂の中では思い思いのスタイルで入浴することができます。
今回私が通された貸切露天風呂はこちら。トロピカルな植物に囲まれてリゾート感たっぷり。
各露天風呂にはシャワーというか打たせ湯があり、バルブを開けるとれっきとした温泉のお湯が出てきました。またお風呂の脇には、能舞台みたいな板敷きの東屋が建てられていますので、湯船から上がった後に、そこでのんびり過ごすこともできます。
ハート形の石風呂は2〜3人ほど入れそうなほど余裕があり、肩までしっかり浸かれる深さも確保されているので、入り応え充分。湯加減も42.5℃というインドネシアでは珍しい高温なので、お風呂にうるさい日本人でも満足できるかと思います。なおpH値は8.06でしたので、弱アルカリと言えるでしょう。
湯船のお湯は暗い青白色に微濁しています。お湯は全量完全掛け流し。湯船を満たしたお湯は惜しげもなく排水口から捨てられていました。
筧から注がれるお湯の温度は43.5℃。薄い塩味と石膏系の味が感じられますが、匂いはあまり嗅ぎとれませんでした(強いて言えば石膏臭があったかも)。湯中では弱いツルスベ浴感とともに、土類泉のようなグリップも得られました。
掛け流しのお湯が注がれる広い露天風呂。貸切ですから誰にも邪魔されず裸で入れるし、足はしっかり伸ばせるし、湯加減も良い。そして周囲の自然も麗しい。うん、とっても気持ち良いぞ。フルーツを絞った美味しいジュースのサービスもあり、湯浴み中は極楽気分でくつろげました。これでアクセス路が良ければ皆さんにおすすめしたいのですが、それにしてもあの道はひどすぎる…。
●奥の方を探索
お風呂を満喫した後、山の傾斜地に広がるリゾート内の中を散歩していると、坂道を登った奥へ方で、何やら怪しい建物を発見。リゾートというポジティヴイメージな言葉とは縁遠い地味で薄汚れたな建物の中を覗いてみたら、なんとそこは浴室だったのでした。内部には大きな浴槽が設けられており、中は空っぽでしたが、でも配管からはお湯が出続けていました。
その隣の部屋にはもっと大きな浴槽が据えられ、こちらにはお湯が張られていました。そして温泉が勢い良く供給されていました。これは地元民用のお風呂なのかな? 言葉がわからない私は、面倒なことに巻き込まれたくなかったので、ここでは湯浴みせず見学だけにしておきましたが、このお風呂は一体何なんだろう?
「ギリティルタ温泉」に引かれている温泉は、周囲の源泉からお湯を集めているらしく、上述の薄暗い浴室棟から更に山を登ると、温泉を集めてストックする中継槽が数ヶ所設置されていました。先ほど私が入った露天風呂のお湯もここから供給されていたのでしょう。なお「ギリティルタ」はあくまでリゾート施設名であり、現地ではこの温泉を"Kawah Hitam"と呼んでいるんだとか。Google翻訳によれば"Kawah"は火口やクレーター、"Hitam"は黒色を意味するそうです。直訳の「黒い火口」では意味が通らないので、おそらく暗い青色を帯びて見えるこの温泉の色合いをそのように表現しているのでしょう。言われてみれば、上画像の中継槽に溜まっている温泉は、ちょっぴり黒く見えますね。
Taman Victoria, Jl. Mahkota Raja No. 76 Babakan Madang Sentul City
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入浴料Rp70,000
(宿泊も可能)
私の好み:★★+0.5