温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

礁渓温泉 森林風呂

2017年01月13日 | 台湾
 
ちょうど1年前ですが、私は台湾の宜蘭にある台湾屈指の温泉地、礁渓温泉をウロウロしていました。雨がそぼ降る平日の温泉地は人の影もまばら。でもせっかく当地を訪れたなら温泉の露天風呂に入りたいので、傘をさしながら温泉街を北へ向かって歩くことにしました。


 
礁渓を訪れるのは久しぶりだったのですが、しばらく来ないうちに街の様子が変わっており、温泉街の北のはずれにバスターミナルが新設されていたことを、この時初めて知りました。台北への高速バスもここから発着するのですが、温泉街の中心部や鉄道駅から中途半端に離れています。たしかに、温泉街ならどこでも徒歩で行けることには違いないのですが、宿泊先のホテルによってはタクシーを使いたくなるようなロケーションです。さすがに温泉街の中心では、操車に必要な広い敷地を確保できなかったのでしょうね。
なお、台北から礁渓へ行くには、遠回りする上に週末は満席が常態化している鉄道よりも、安くて頻繁に運行されている高速バスの方がはるかに便利です。詳しくは当記事の下部をご覧ください。


 
バスターミナルに隣接する緑豊かな礁渓温泉公園には足湯が設けられており、雨に濡れる心配がない屋根の下では、湯気に包まれながら足湯を楽しむ観光客の姿が見られました。


 

公園に隣接して公営の温泉プールもあるのですが、冬季は閉鎖されるのか、誰もおらず閑散としていました。


 
園内の歩道を奥の方へ進むと、「30分で台北から日本へ 5つ星 森林風呂裸湯」と書かれた看板が立っており、その看板が指し示す方向には「森林風呂」と記された扁額がかかるコリドーが設けられていました。「30分で日本」ってどういう意味?


 
池畔のコリドーを歩いて「森林風呂」へ向かいます。池は灰色に汚く濁っており、そこで暮らすアヒルが可哀想に思えてきました。


 
目的地の「森林風呂」に到着です。ここは日本の温泉をイメージして2010年に開業した比較的新しい温泉入浴施設。既に多くの日本人旅行者によってネット上で紹介されていますが、私はまだ行ったことがなかったので、どんなお風呂なのか体感すべく訪れたのでした。赤い暖簾がかかる受付前には、白い湯気(を模した演出。ドライアイスかな?)が上がる桶や、日本の郵便ポストをイメージしたと思しき赤いポストのオブジェが置かれています。


 
受付窓口を挟んで右手が女湯、左手が男湯。先ほどの看板に「裸湯」と書かれていたように、こちらのお風呂は日本のように裸で入浴します。それぞれの出入口に大きな暖簾がかかっており、その脇には礁渓温泉おなじみの、利用中の人数を表示するカウンターが取り付けられていました。下足場で靴を脱いで浴室へ。


 
広い浴室は吹きさらしの半露天状態。常夏の台湾ならではの開放的なつくりと言えそうですが、嵐の日には容赦なく風雨が吹き込んでくるでしょうし、台湾でも冬には10℃近くまでしっかり冷え込みますので、天候によっては我慢を強いられそうな感じです。
しかしながら、まだ開業して6年しか経っていないので、これといった老朽箇所は見当たらず、余程のことがなければ問題なく湯浴みできそうです。男湯の場合は中央に正方形の中庭湯(訪問時には水風呂でした)が据えられ、その向こう側に洗い場が配置されています。洗い場にはシャワー付きが6基、スパウトのみが2基、計8基のカランが取り付けられていました。ボディーソープとシャンプーはカランの横に備え付けられています。


 
浴場内には様々な浴槽が設けられています。内湯に相当する浴槽は、角の奥まったところにある「光之湯」と、横に長い「天女湯」の2つ。前者はその名の通り浴槽をスポットライトで照らすことにより、光線を強調しているようでした。一方、後者は壁に天女の羽衣をイメージしたと思しき壁絵が施されていました。いずれの浴槽もぬるく(40℃未満)、後者に至っては湯面にゴミのようなものが浮遊しており、しかもお湯から生臭さを感じたので、私は入っておりません(たまたま運悪くそのような状態に遭遇してしまったのでしょう)。でもぬるくて体への負担が軽いからか、ここに長時間浸かって談笑するお客さんが数名いらっしゃいました。


 
浴場内は庭園をイメージした誂え。このお庭には、後述する露天浴槽のほか、「風之湯」と称する小さな浴槽、離れ小屋のサウナ、水風呂、そして休憩用の東屋が設けられており、ゆとりある空間を存分に活かして様々な設備が配置されていました。近年の台湾では裸で入浴する温泉が増えてきましたが、裸で入れる露天風呂なのに、これだけ開放感がある施設は確かに貴重かもしれません。


  
岩風呂風の露天風呂は3つに分かれており、それぞれ大きさや温度が異なっています。左側の一番小さな浴槽(左or上画像)はぬるく、真ん中の大きな浴槽は適温(40℃強)、右側の浴槽(右or下画像)はやや熱めの湯加減となっていました。


 

3つの岩風呂はまとめて「雙龍湯」と名付けられていました。またこの岩風呂と並んで設置されている休憩用の東屋の名前も「雙龍棟」。その名前からして風水に関係しているのでしょう。龍に因んでいるのか、中央の大きな浴槽では一定時間ごとに、まるで上から龍が下りてくるかのようにお湯が落とされていましたが、ほかの浴槽では底面から供給されていました。そして各浴槽においても切り欠けからお湯が溢れ出ており、溝へと排湯されていました。内湯浴槽のお湯はあまり良い状態ではありませんでしたが、これら露天各浴槽のお湯はまずまずのコンディション。どのような湯使いかは不明ですが、新鮮源泉の投入は随時行われているようです。特に中央の浴槽はお湯の状態が良かったので、私はひたすらそこで湯浴みし続けました。
こちらに引かれているお湯は典型的な礁渓温泉のそれ。つまり、無色透明でほぼ無味無臭ながら、わずかに重炭酸土類泉のような感覚を有しています。湯船に入ってしばらくはトロミを伴うツルスベ浴感に包まれるのですが、やがてキシキシと肌に引っかかる感覚も得られます。でもそうした個性は、このお風呂では鳴りを潜めていたような気がしたので、掴み所の無いお湯と言えるかもしれません。受付に掲示されていた成分表示によれば湯温は33.6〜33.8℃なんだそうですから、これが本当ならば各浴槽においては加温されたお湯が供給されていることになります。

果たして入浴して「30分で日本へ」行った気分になれるかどうかは、人それぞれの感性に依るのでしょうけど、礁渓温泉で、比較的きれいで且つリーズナブルな露天風呂に入りたければ、ここか「湯囲溝公園」のいずれかを選べば良いかと思います。特にこのお風呂はバスターミナル至近なので、台北からやってきてすぐに温泉へ入りたい方にはもってこいです(バスターミナルにコインロッカーがありますので、大きな荷物はそこへ預けられます)。一方、多少ボロくてもお湯を重視するならば、次回記事で取り上げる「春和日式大浴池」がおすすめかな。


碳酸氫鹽泉(日本語では重曹泉) 33.6〜33.8℃ pH8.4 溶解固体量510〜629mg/L
HCO3-:510〜620mg,

台北駅前の台北轉運站から葛瑪蘭客運の礁渓行バス(104元)、もしくは台北の市政府バスターミナルから首都客運の羅東行1572番バス(90元)に乗車。両社とも高頻度(10〜20分毎)で運転。所要1時間前後。バスターミナルの目の前が礁渓温泉公園。
台鉄・礁渓駅から徒歩10分(約800m)
宜蘭縣礁溪郷玉石村公園路70巷60號


24時間営業
150元(貸タオル付きは250元)
ロッカー(20元有料)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント (2)
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