温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯ノ花温泉 天神の湯 2017年4月再訪

2017年07月16日 | 福島県
 
前回に引き続き福島県湯ノ花温泉の共同浴場を巡ります。当地にある4つの共同浴場のうち、2つは一般的な男女別ですが、残る2つは昔ながらの一室のみの混浴で、いずれも川のそばに位置しているという共通点も持っています。湯ノ花地区の中心部を貫く県道350号線は「湯ノ花大橋」で湯ノ岐川を跨ぎますが、この大橋の橋詰の真下で、橋桁に隠れるようにして頭部だけをちょこんと覘かせている浴場が、今回取り上げる「天神の湯」であり、昔ながらの混浴スタイルを護っている共同浴場の一つでもあります。なお拙ブログでは2011年にこの浴場を一度取り上げたことがあります。その時の記事はこちらですので、宜しければご覧ください。前回訪問時には浴場の存在を知らせる標識類はありませんでしたが、いつのまにかわかりやすい標識杭が立てられており、また浴場名がプリントされた暖簾も提げられ、以前よりはるかに見つけやすくなっていました。


 
引き戸を開けるといきなり目の前にお風呂が現れる造りは以前と全く変わっていません。つまり脱衣室と浴室が一体化している昔ながらのスタイルなのです。「湯端の湯」と同じく、上屋は総木造で床などはモルタルという渋くて素朴な構造ですが、湯気抜きがある「湯端の湯」とは違ってこちらは天井が低く、それが余計に室内を狭く見せています。しかしながら、川に面して窓が連なっており、窓を開ければ川を見下ろすことができるので、意外と開放的です。また、もし湯気が篭っても窓を開ければ川風の力で容易に換気ができるでしょうから、高い湯気抜きなんて不要なのかもしれません。


 
下足場の左右に脱衣ゾーンがありますので、どちから自分の相性にあった方で着替えて、そのまま入浴ゾーンへと進みましょう。なお脱衣ゾーンには料金入れのような箱がありますが、これは入浴券入れであり、他の共同浴場と同じく現在は現金での利用を受け付けていませんので、入浴の際には事前に地区内の商店や旅館などで共同浴場共通の入浴券を購入しましょう。


 
手書きの注意喚起が共同浴場らしい味わい深い風情を醸し出しています。なおこちらの浴場は夜10時から翌朝5時まで地元の方専用になるんだとか。ということは、朝5時という早朝から外来者も入れるってことですね。


 
モルタル塗りの浴室には2つの浴槽があり、中央に据えられている浴槽は2人サイズ(詰めれば3人入れるかも)、その奥で申し訳なさそうにひっそりと佇んでいる小さな浴槽は1人サイズです。床も浴槽もモルタルなのですが、浴槽に関しては表面が滑らかに仕上げられており、特に底部は洗い出しのような施工がなされていました。一見地味に見えるお風呂ですが、実は細部に趣向を凝らしているのですね。


 
主浴槽は表面の仕上がりに凝っているだけでなく、コーナー(四隅)がRなので、より一層見た目に優しい印象を受けます。
白いトゲトゲした析出が付着している湯口から、トポトポと熱いお湯が注がれており、湯船を満たしたお湯は後述する小さな浴槽へと流下していました。前回訪問した時にはこの主浴槽のお湯が篦棒に熱く、懸命に湯もみをしてから歯を食いしばって熱さを怺えながら入ったのですが、今回の湯船は文句のつけようがない適温が維持されており、湯もみをすることなく、そのまま難なく入浴することができました。



主浴槽からのお湯を受けている下流の小さな浴槽は、前回訪問時には適温でしたが、今回は上流の主浴槽が適温だったからか、こちらはかなりぬるくなっていました。



このお風呂に引かれているお湯は「清滝の湯」源泉。無色透明でほぼ無味無臭ですが、ツルツルスベスベの浴感が比較的強く、湯船の中ではまるで化粧水の中に浸かっているかのような、しっとり且つ滑らかなフィーリングに包まれ、適温であることも相まり、極上の湯浴みを堪能することができました。あまりに素晴らしいお湯だったため、時間を忘れていつまでも入っていたくなり、後ろ髪を引かれて湯船から出るのが躊躇われたほどです。そんな気持ち良さをお伝えできればと思い、湯船で快楽に浸っている私を自撮りしてしまいました。本当に素晴らしいお風呂でした。私個人の評価で申し上げれば、湯の花温泉の共同浴場の中で最も気に入っています。


清滝の湯
単純温泉 60.5℃ pH8.2 31.1L/min(自然湧出) 溶存物質575.7mg/kg 成分総計575.7mg/kg
Na+:146.3mg(73.27mval%), Ca++:40.2mg(23.15mval%),
Cl-:210.7mg(67.66mval%), SO4--:102.0mg(24.15mval%), HCO3-:17.4mg, CO3--:5.7mg,
H2SiO3:34.9mg,
(平成17年5月18日)

会津田島駅もしくは会津高原尾瀬口駅より会津バスの檜枝岐行で「湯ノ花石湯前」下車、徒歩1分
福島県南会津郡南会津町湯ノ花382番地  地図
紹介ページ(南会津町観光物産協会公式サイト内)

5:00〜22:00
200円(あらかじめ地区内の商店・飲食店・旅館などで各共同浴場共通の入湯券を購入する必要あり)
備品類無し

私の好み:★★★
コメント
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