温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯ノ花温泉 弘法の湯 2017年4月再訪

2017年07月17日 | 福島県
 
引き続き福島県会津・湯ノ花温泉の共同浴場を取り上げます。今回はガイドブックにもよく紹介されている「弘法の湯」です。この浴場に関しても拙ブログで2011年に取り上げており(当時の記事はこちら)、今回はそれ以来の再訪です。木造で趣きのある湯屋は前回訪問時と変わっておらず、記憶通りの姿が保たれていたことに感謝しながら訪いました。なお「弘法の湯」という名前は、弘法様が祀られていた場所に浴場が開かれたことに由来しているんだそうです。現在その観音様はどこにあるのかわかりませんが、通りから浴場へ上がる石段の上には馬頭観音の石碑が立てられていますから、少なくともこの浴場前の通りは古くから人々の往来があったことが偲ばれます。


 
「弘法の湯」の湯屋は天高く伸びる槇の巨木を囲むように建てられているのですが、この槇は樹齢120年と言われている高野槙で、根周り3メートルで高さ15メートル。明治33年に紀州の高野山から持ってきた苗を植栽したもので、湯ノ花集落のシンボル的な存在として古くから親しまれているんだそうです。


 
「弘法の湯」は当地区の他共同浴場と同じく無人施設であり、木造で渋い佇まいが郷愁をそそらせてくれますが、比較的新しい建物であるため、外来者でも戸惑うことなく利用できるような設備が整えられており、10畳ほどあるフローリングの玄関ホールには休憩用の腰掛けが置かれ、コインロッカーも設置されていました。
脱衣室はシンプルながらもカゴがたくさん用意されており、広さもそこそこあるので、ストレスなく着替えることができます。なお脱衣室と浴室を隔てる壁にはガラスの小窓が設けられているのですが、相互に目が届くようにすることで防犯対策を図っているのかもしれません。


 
浴室の様子も前回訪問時と変わりありません。上屋は総木造で足元はモルタルですが、単なるモルタルではなく、細かな砂利を混ぜて洗い出しのような仕上がりになっていました。室内の窓側には浴槽が据えられている他、その反対側には洗い場が配置され、シャワー付きカランが2基設置されていました。シャワーが備え付けられている共同浴場は、当地ではここだけです。湯銭200円という廉価ですし、カランのハンドルを回したらすぐにお湯が出てきましたので、シャワーから出てくるお湯は温泉なのかもしれません。


 
モルタルむき出しの浴槽は2m×2.5mで5〜6人サイズですが、コーナーが大きなRであるため扇形のようにも見えます。浴槽内は薄い緑色に染まっているように見えたのですが、私の気のせいでしょうか。あるいはそもそも浴槽の材質がそのような色をしているのか、はたまた藻類がこびりついていてしまったのか・・・。
壁から突き出た短いパイプよりお湯がトポトポと注がれており、浴槽を満たしたお湯は縁の上から溢れ出ていました。加水加温循環消毒の無い完全放流式の湯使いなのですが、湯加減調整のためなのか、投入量がやや絞り気味であり、それゆえ(あくまで私の体感ですが)お湯が若干鈍っていたように感じられました。浴槽の容量に対して投入量が少ないのかもしれません。でもそのおかげで万人受けするちょうど良い湯加減が維持されていました。熱い源泉を加水なしで温度調整することは、素人が考える以上に難しいことなのですね。

こちらに引かれているお湯は、前回取り上げた「天神の湯」と同じく「清滝の湯」源泉であり、当然ながら無色透明でほぼ無味無臭である点は同じなのですが、「天神の湯」で得られた大変滑らかなツルツルスベスベ感がこちらのお風呂ではなぜかパワーダウンしており、同じ源泉であるとは信じられないほど、没個性なお湯と化していました。あくまで私の勝手な推測ですが、「清滝の湯」源泉は相当デリケートであり、お湯の鮮度やコンディションがちょっとでも変わると、すぐ浴感に響いてしまうのかもしれません。源泉完全掛け流しであることには違いありませんので、今回はたまたまコンディションがいまいちなタイミングに遭遇してしまっただけなのでしょう。
しかしながら、湯ノ花温泉の共同浴場は、混浴だったり、古くて使い勝手の感じ方に個人差があったりと、昔ながらのお風呂に慣れていない一般的な観光客にとっては使い辛いため、ロッカーやシャワーなどが完備されている「弘法の湯」は、多くの外来客を満足させてくれるはずです。


清滝の湯
単純温泉 60.5℃ pH8.2 31.1L/min(自然湧出) 溶存物質575.7mg/kg 成分総計575.7mg/kg
Na+:146.3mg(73.27mval%), Ca++:40.2mg(23.15mval%),
Cl-:210.7mg(67.66mval%), SO4--:102.0mg(24.15mval%), HCO3-:17.4mg, CO3--:5.7mg,
H2SiO3:34.9mg,
(平成17年5月18日)

会津田島駅や会津高原尾瀬口駅より会津バスの檜枝岐行で「湯ノ花石湯前」下車すぐ
福島県南会津郡南会津町湯ノ花321番地  地図
紹介ページ(南会津町観光物産協会公式サイト内)

6:00〜22:00
200円(現金利用不可。あらかじめ地区内の商店・飲食店・旅館などで各共同浴場共通の入浴券を購入してください)
ロッカー(100円有料)あり、他備品類無し

私の好み:★★+0.5


コメント
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