温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

台東県 金崙温泉 河原の野湯 2017年3月

2017年07月28日 | 台湾
2017年3月に私が実践した、1日で4つも野湯をハシゴする台東県野湯の旅。ラストの4湯目は金崙温泉の河原に湧く野良湯です。金崙温泉の温泉旅館は川に並行して伸びる県道沿いに点在しているのですが、そもそも源泉自体が川に沿って分布しているらしく、熱い温泉が気まぐれに河原で自噴することがあります。拙ブログでもそのような野湯を以前取り上げたことがありますが(当時の記事はこちら)その野湯は後日河川工事に伴って埋められてしまいました。その後も、河原の随所でお湯が湧いたようですが、河川工事や川の増水などによって短期間で砂利に埋もれてしまい、恒常的に楽しめる状態でないのが残念なところです。さて、2017年3月の台湾旅行を計画しているとき、何となく金崙温泉についてネットで調べていたら、河原に再び野湯が出現しているらしいという情報を得たので、ダメ元で行ってみることにしました。


 
まずは金崙温泉のシンボル的存在である赤いアーチ橋へと向かいます。
前回記事で取り上げた「金峰温泉」の後に金崙を目指したのですが、「金峰温泉」で熱い簡易露天風呂に入っている頃から空の低い位置に鉛色の雲が広がり、私が金崙に到着すると同時に雲からポツポツと雨が降りはじめました。あまり野湯を楽しめる状況ではありませんが、さほど歩くわけでもないので、折りたたみ傘をさしながら野湯を探索することにしました。


 
アーチ橋の真下(左岸側)に設けられている歩道を上流に向かって歩くと、やがて丘の方からせり出している岩にぶつかって道は途絶えてしまいます。しかしながら、この歩道終端の一部は手すりが外されており、そこから川の方を見下ろすと、歩道の下から河原に向かってロープが垂らされていました。下りてくださいと言わんばかりのこのロープを使って、河原へおります。


 
今回目指す野湯はロープ場から上流へ遡った左岸の河原にあるらしいのですが、そのためには上述の歩道を行き止まりにさせていた岩を乗り越えなければなりません。岩の下は川の淵になっているため、川に入って遡ることは難しく、岩の上を越えてゆくのが無難なのですが、先ほどから降り出した雨のために、岩の上は滑りやすく、ひとたび足を滑らせたら川へ落ちて捻挫しちゃうことは必至。仕方なく傘をしまい、頭から雨に濡れるのを覚悟の上で、両手を使いながら岩をよじ登って慎重に進んだところ・・・


 
やっとのことで岩の下へおりたら、その足元に早速湯溜まりを発見することができました。この時は雨が降っていたので少々手間取りましたが、晴れて入ればかなりイージーにたどり着けることでしょう。お湯が溜まっている窪みには、モスグリーンの温泉藻が生えているため、単に川水が溜まっているだけなのか、あるいは温泉なのか、すぐに判別できます。また底の藻は生え方が薄くて弱いため、ちょっとでもお湯を動かすことで容易に剥がれて流れていきました。


 
上流側から野溜まり群を撮ったのが上の画像です。私が越えてきた岩に沿って、砂利の河原に大小様々な湯溜まりがいくつも連なっているのが一目瞭然。野湯好きの方々が湯脈を見つけ、スコップなどで掘って作ったのでしょう。


 
大きな湯溜まりの一つに持参した計器を入れたところ、温度とpHは、44.4℃・pH6.87でした。お湯は無色透明で、匂いや味にこれといった特徴は無かったように記憶しています。各湯溜まりにおいて温泉は砂利の下から自然湧出していましたから、この辺りの河原を掘ればお湯が地面から湧いて出てくるのでしょう。


 
湯溜まりの温度は場所によって様々。熱いところでは47℃もありました。そこで、いくつもある湯溜まりのうち、適度な大きさと温度を兼ね備えている箇所を見つけて・・・


 
水着に着替えて入ってみました。とはいえ、姿勢を工夫して入ってもせいぜい腰湯がいいところ。先人がこの湯溜まりを掘った時にはそれなりのサイズがあったのでしょうけど、所詮は河原の砂利ですから時間の経過とともに崩れていき、それに伴って穴が徐々に小さくなってしまったのでしょうね。お湯の温度は42.6℃という適温なので、もしスコップを持って入れば、自分で穴を拡大すれば最高な露天風呂ができたのでしょうけど、私は掘る道具を持っていないので、これで我慢するほかありません。



もう少し大きな湯溜まりを見つけたので、そちらに移ってみたのですが、多少湯嵩が上がった程度で、腰湯状態であることに違いありませんでした。「働かざる者食うべからず」ならぬ「掘らざるもの湯浴みするべからず」という、容易に湯浴みをさせてくれない野湯なのかもしれません。また、すぐ目の前に川の本流が流れていますから、夏季の増水時には河原ごと川に飲み込まれてしまうでしょう。
でも、以前からこの河原では野湯が楽しまれていたようですから、今夏に増水などで湯溜まりが消えてしまったとしても、渇水期に河原の砂利を掘れば、再び温泉が出てくるのかもしれません。どうしてもここで野湯を楽しみたければ、スコップ必携ですね。



台東県太麻里鄉金崙村
GPS座標:22.528760, 120.937722
24時間アクセス可能。無料。ただし川の増水によって消失してしまう可能性あり。

私の好み:★★
コメント
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