温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

木賊温泉共同浴場「岩風呂」 2017年4月 黄昏時にまた独り占め

2017年07月20日 | 福島県
前回記事まで連続して南会津・湯ノ花温泉の共同浴場を取り上げてまいりましたが、湯ノ花から峠を一つ越えた西側の谷には木賊温泉がありますので、せっかく当地まで来たからには足を伸ばしたいところです。私は木賊温泉の河原にあるプリミティブな共同浴場「岩風呂」が大好きであり、2012年の夏には拙ブログでも一度取り上げていますが、その際には、混んでいることが多いこの浴場を独り占めできて幸せだったことを述べさせていただきました(その時の記事はこちら)。果たして今回も独り占めできるかどうか、二匹目の泥鰌を狙うべく、淡い期待を抱きながら再訪してみることにしました。


 
黄昏時の木賊温泉に到着。駐車場に車をとめて、川の対岸の斜面に残る雪を見ながら、川岸のお風呂へ向かう階段を下ります。


 
川岸の歩道の先に見える湯小屋が目的地。先客はいらっしゃるのでしょうか…。


 
湯小屋に到着です。中を覗いて見たら・・・
よし、誰もいないぞ。このまま誰も来なければ、今回も独り占めできちゃいそうです。



川岸の岩盤から自然湧出しているお風呂の上に屋根掛けしただけのプリミティブな共同浴場であるため、男女別に分かれていない混浴です。でもそれでは女性客がなかなか利用しにくいため、こちらでは湯浴み着を貸してくれるんですね。しかも女性専用更衣室まで用意されているのですから素晴らしい。無人の施設なのにここまで親切なのは珍しいかと思います。


 
上画像は湯小屋の中の様子。川岸に屋根を掛けただけという表現がぴったりな、実に簡素な共同浴場です。川岸という立地なので、過去には増水した川に上屋が流されちゃったこともありましたが、流される度に有志の方々が出資して建て直されてきたという不撓不屈のお風呂なのでもあります。シンプルとはいえ足元はコンクリでしっかり固められているため、増水に呑み込まれても基礎はちゃんと残り、それゆえ再建しやすいのかもしれませんね。


 
屋根の下には岩盤を鑿って作られたお風呂が二つ、川の流れに沿って並んでいます。上画像は下流側の浴槽。後述する上流側の浴槽から流れ込んでくるお湯を受けており、いつもは若干ぬるめなのですが、この日は万人受けするちょうど良い湯加減でした。


 
湯小屋のすぐ外側は西根川が流れています。いつもは清らかで穏やかな清流であり、夏になればお風呂で火照った湯浴み客が水風呂代わりに川へ飛び込む光景も見られるのですが、私が訪れた4月は雪解けの水が川に集まって濁流と化しており、湯小屋はその奔流に呑み込まれそうでした。実際に川の水が若干浴場側へ入り込み、湯小屋の出入口付近は水溜まりができていたほどです。


 
こちらは上流側の浴槽。主浴槽と言ってもよいでしょう。この湯船に近づくだけで温泉由来の硫化水素臭が嗅ぎ取れます。清らかに澄んだお湯が張られている浴槽内部は青黒く光っており、気泡を上げながら温泉が自然湧出していました。



はぁ、気持ち良い。ちょっと深い作りなので入り応えがあり、湯中には腰掛け用の岩がいくつか沈められているので、これに座るといい塩梅です。肩まで湯に浸かるとゆで卵の卵黄のような芳醇なイオウ臭に包まれ、全身に細かな気泡が付着し、ツルツルスベスベの大変滑らかな浴感が伝わってきました。言わずもがな完全掛け流し。しかも実に心地よい湯加減。まさに極上のお湯です。こんな素晴らしいお風呂を独り占めできるのですから、私は本当に幸せ者だぁ。


 
上2枚の画像は川上側から湯小屋の中、および外側を撮ったものです。湯船に浸かって体が火照ったら、夏は目の前の川に飛び込めば良いですし、この日のように川へ入れない時でも、河原に出て岩の上に腰掛ければ、しっかりクールダウンできます。私は湯船と河原を何度も行き来しながら、温浴とクールダウンを繰り返して、木賊の湯浴みを存分に楽しませてもらいました。



「岩風呂」ありがとう。また来るよ。


福島県南会津郡南会津町宮里字湯坂1986番地  地図
紹介ページ(南会津町観光物産協会公式サイト内)

24時間入浴可能
200円
備品類なし

私の好み:★★★
コメント (2)
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