温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

台東県 台東紅葉温泉の野湯 その2(紅葉橋付近)

2017年07月24日 | 台湾
台東紅葉温泉エリアでは、前回記事で取り上げた「松楓橋」付近にある大きな湯溜まりの他、そこからちょっと川を遡ったところにある旧温泉公園跡地付近でも温泉が自然湧出しており、そこでも野湯を楽しめるらしいので、どんなお湯に巡り会えるのか確かめるべく、行ってみることにしました。


 
前回記事の冒頭で紹介した「松楓橋」は川の左岸に架かっていましたが、今度は同じ川の右岸(つまり上流に向かって左側の岸)を走ります。台東県道36号線を川に沿って走ってゆくと、やがて赤いアーチの「紅葉橋」を渡ります。


 
橋を越えた先には「紅葉温泉」を示す標識が立っているのですが、2008年に当地を襲った台風の影響で台東紅葉温泉は濁流に飲み込まれてしまい、それ以来温泉入浴施設は現在に至るまで閉鎖されたままです。



このように紅葉温泉のゲートもまだ残されたままですが、施設は完全に廃墟になっていますので、このゲートを潜っても何もありません。


 
かつて川沿いには「紅葉温泉公園」という温泉プールを主体とした公営施設がありましたが、水害に遭った後は放置されたまま。跡地には作業用の塀が立てられており、そこには工事中であるような文言が記されていますが、私が見た限り、工事は全く行われていないようでした。公園跡地に入ってみます。


 
温泉公園跡地は荒れ放題の廃墟。もう再開発するつもりは無いのかもしれませんね。


 
温泉公園跡地から河原へ下りると、礫だらけの広い河原の一部に、オレンジ色に染まった帯状の浅い流れを発見。


 

その帯状の流れに近づいてみますと、河原の小石の下から滲み出るようにして少しずつ温泉が湧き、それらが集まって一筋の流れを形成していました。つまり源泉が河原で帯状に現れているのでしょう。湯気を上げながら流れる温泉の温度は45℃というなかなかの高温。上から眺めた時にはオレンジ色一色に見えた石は、よく見ますとオレンジ色のほかモスグリーンにも染まっています。温泉に含まれる金気がこびりついているほか、高温でも繁殖できる温泉藻がびっしりとこびり付いていたのでした。誰かさんがスコップで掘ったと思しき小さい湯溜まりがいくつも連続していましたが、いずれも小さい上に浅く、しかも熱くて藻類の繁殖も酷かったので、入浴には不向きでした。


 
さらに川下の方へ歩いてゆくと、断崖の下に湯気を上げている湯溜まりを発見。


 
こちらの湯溜まり群は一つ一つが入浴できるほど大きく、しかも藻類が発生していないため、藻の気持ち悪さを気にせず野湯を楽しめそうです。先人がこの湯溜まりを掘ってから、まだあまり時間が経過していないのでしょうね。


 
温泉は各湯溜まりの底よりプクプクと気泡をあげながら自然湧出しており、湯面に同心円の波紋を作っていました。お湯は無色透明でとてもクリアに澄んでいますが、底の礫はほんのり赤く染まっていました。おそらく金気の影響でしょう。


 
41℃という素晴らしい湯加減。pH6.98。塩気やイオウ感は無いのですが、その代わりとにかく金気(匂い・味ともに)の主張が強い。前回記事で取り上げた「松楓橋」付近の湯溜まりでは、お湯を白濁させるような硫黄感と少々の塩気、そして金気が感じられましたが、そこから数百メートルしか離れていないにもかかわらず、全く異なる泉質なんですね。


 
最高の湯加減と開放的なロケーションにすっかり魅了された私は、その場で水着に着替えて実際に入浴しました。全身浴するには若干浅いのですが、うまく寝そべれば肩まで湯に浸かることが可能。お湯の温度は絶妙。体が火照ったら川風でクールダウン。それを何度も繰り返して、存分に野湯を楽しませてもらいました。また「松楓橋」の湯溜まりと異なり、こちらにはテントを張っているような人がおらず、ひたすら独占できたので、余計に気持ち良く、野湯ならではの魅力を堪能することができました。
それぞれの湯溜まりは、一見すると単に礫の河原を掘っただけのようですが、よく観察すると、お湯が漏れないよう石の積み方が工夫されていたり、あるいは湯加減調整のため川水を取り入れたり、熱いお湯を排出すべく塩ビ管を埋め込んでいたりと、入浴に適した状態にするべく、器用に上手く作られていることがわかります。素晴らしい湯溜まりをつくってくれた先人に感謝です。


 
さて、私が入浴した湯溜まりの前にはまっすぐ伸びる階段がありました。かつては遊歩道が整備されていたのでしょうか。コンクリ基礎の形状から推測するに、ここには橋が架かっていたのかもしれません。


 
この階段を登って見ます。途中で振り返ると河原の全体を見下ろせ・・・


 

階段を上りきると、紅葉橋へ続く道に出ました。上画像に写っている車は、私と入れ違いに野湯を楽しみにやってきたファミリーのものです。ここで野湯を楽しむならば、上画像のようにここで車をとめ、目の前の階段を下るだけで、すぐに野湯へアクセスできちゃいます。なおこの場所から東へ約200mで当記事の冒頭で触れた「紅葉温泉」の標識(つまり紅葉橋)、北西へ約150mで温泉公園跡地です。

車かバイクがあれば簡単にアクセスできる上、素晴らしいロケーションで本格的な野湯を楽しめる、とってもブリリアントなスポットでした。



台東県延平郷
GPS座標:22.889952, 121.070172
24時間アクセス可能。無料。

私の好み:★★★

コメント
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