パパと呼ばないで

再婚した時、パパと呼ばないでくれと懇願した夫(←おとうさんと呼んで欲しい)を、娘(27)「おやじ」と呼ぶ。良かったのか?

ボケ日和

2023年02月28日 | 本・マンガ・テレビ・映画
2月28日(火)


矢部太郎氏の漫画が好きで、ツイッターもフォローしている。
新刊が出たようで、ダメ元で図書館に予約したらすぐ入手できた。
さすが鹿児島!と悦に入っていたら、読み進めども漫画に到達しない。
ん?と思い、よくよく見るとこれは同じ「ボケ日和」でも、表紙のイラストのみ矢部太郎氏で、中身は認知症専門医の長谷川嘉哉先生著のものであった。
ワタクシが欲しかったのは、この先生原案で、矢部太郎氏がマンガにした方だったのだが・・・
借りてしまったからには読んでみようとページを繰る。

「認知症」
なりたくない病気だ。そもそもなりたい病気というものもないけど。
長生きはしたいが、「認知症」になってしまったらおしまいと思ってしまう。
親が認知症になった友人達は口を揃えて「あたしは絶対ガンで死にたい」と、ガン罹患者のワタクシの前で言い放った。
それくらい怖い病気なのだ。
この本を読み進めながら、認知症に立ち向かう家族は、知識とか病院との関係、ドクターとの関係がつくづく大事だと思う。
今でこそ、介護者自身のケアを重視すべきと言われだしているけど、少し前まで、そう、ワタクシの両親が祖父母達の介護をするくらいの頃は今ほど介護施設も充実していなかったし、嫁の負担が大きかったりした。
ワタクシが小学生の頃、お隣のおばあちゃんが裏口から裸足でやってきて、ガタガタ震えながら「誰かが来た」みたいな事を言った。
母がうちに入れてあげて、布団敷いて寝かせてあげて、話を聞いてあげてたけど、
ワタクシは、そんなのんびりしてないで早く警察に連絡しなきゃ!泥棒が入ってるんじゃないの?と焦っていた。
しかし、少し笑いを噛み殺しながら、母が「大丈夫大丈夫」とワタクシに目配せした。
そして、お隣のおばちゃんが帰って来て、おばあちゃんを迎えに来た。
この時が、ワタクシが初めて「幻覚」を見た人を見た時だ。
幸か不幸か、祖父母達は介護に困るほどの認知症(その昔は痴呆症と言ってた)を患う事なく亡くなっていった。
亡父も最後はワタクシのことはわからなくなったが、それでも時々正気になっては会話が成立したりする程度だった。
老母に至っては、未だワタクシと同等レベルの記憶力を誇り、パワーはワタクシ以上である。
よって「認知症」の心配は全くしていない。
ただただ矢部太郎氏のマンガを読みたいがためが発端で、そこにワタクシの「ボケ」が炸裂してこれを借りてしまったというだけだった。

でも、読み進めると、ああ読んで良かった、知ってれば良いことってあるなあと思う。
気持ちも楽になれる。
少し反省もする。
優しい文章を綴られる先生だが、ただ、これはしない方がいいですよとおっしゃることが、「患者さんを試すこと」
あゝワタクシしょっちゅう父に「ねえ、あたしが誰かわかる?」って聞いてたわあ。
今日は何月何日?とかこの花は何?とかも聞かない方がいいと。
ただでさえ不安なのだから、情報を教えてあげるべきですと。
こういうのを読みながら、実家の裏のデイサービスで「今日は何日ですか〜」と聞いてるのを思い出し、プロですらやっちゃうんだからねえ、知っておくべきだねえと思った。
怒りっぽくなる症状が出た時には、それを抑える薬もあるし、時々お医者様でもご存知なくて逆効果の薬を処方される事があるとも。

親戚の叔父達や、友人の親御さん達に認知症が見られるようになってきた。
その渦中にいる人たちは余裕が無かったりするだろうから、サポートする際に少しでも介護するおばちゃんや友人達の気持ちを楽にできる情報を仕入れることができた気もする。
そして、これは、みんなが読んでおくべき本だなあと思うのだ。
幸か不幸か人生百年時代になって、親が、配偶者が、友人知人がこの病になる率は非常に高くなってきた。
(もちろん自分がなる可能性もあるが、その場合は配偶者や子供に丸投げになるけど)
そうなった時に、知らないより知っていた方が良いことがたくさん書かれている。
これを読み終わってから、マンガを読むと一段と沁みるだろうなあと思うことである。

昨夜映画「ドライビング Missデイジー」を見た。
全く知らない映画だったが、モーガンフリーマン氏が出てるから見てみた。
途中「グリーンブック」を思い出してみたり。
最近映画を見ても劇的に感動することがなくなっているのでそこらへんは年のせいとご容赦いただくとして、
印象的だった場面は2箇所。
主人公のデイジー、気難しい老女なのだが、近所のご友人の淑女達と麻雀をするシーン。
なかなかにカッコいい。
ワタクシ、麻雀も囲碁も将棋も挫折した。
いや、挫折というレベルにまで達していないし、今となっては並べ方すら覚えていない。
そもそも対戦型のゲームが苦手。
羽生氏や藤井君、中邑菫さん達につくづく感心する(・・・)
もう1箇所は、後半、デイジーに認知症が発症。
「ボケ日和」を読み終わったばかりのワタクシ、ついついそちらの方が気になって・・・
この映画は1989年のもので、映画内の設定は1948年から1973年。
そして日本だろうがアメリカだろうか人間が生きて死んでいくとはこういうことなのだ。
同じ人間なのに差別したり戦争したりテロを起こしたり、なんと愚かなことよ。
何もわからなくなってしまった時に「貴方は一番のお友達よ」と言える相手がいるだけで、何もわからなくなった人に会いに来てくれる人いるだけで、幸せなことだ。
未だに、ボケることも死ぬことも怖いワタクシだが、少しだけその方向性のようなものを掴んだような気もする。
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