紅蓮(ぐれん)のポケット

子どもの本の作家・三輪裕子のふつうの毎日
2015年夏。三宅島で農業を始め、東京と行ったり、来たりの生活になる

物語の長さ、すなわち原稿枚数

2005-02-02 06:42:03 | 2・仕事の周辺
きのう、最初に書いた物語は、長すぎて話しにならなかったことを書いた。
では、新人賞の原稿「子どもたち山へ行く」は何枚だったか。
これは、約450枚だった。
でも、それでも、長すぎたのだった。
本にしてもらうために、まずやらなくてはならなかったこと。
この450枚の原稿を、250枚に(おおまけに、まけても270枚と編集の人にいわれた)書き直すことだった。

「えーっ、うそー。」と思った。ここが書けてないとか、ここをもっと書き込めというならわかるけど、短くするために書き直すなんて、考えもしないことだった。
さらに、もう一つ「うそー。」と思うことがあった。新人賞をもらった時に、審査員のM先生と話しをする機会があったが、私がアーサー=ランサムが大好きだというと、
「だから、あなたの物語は長すぎるんですね。ランサムの本は、私が書けば、200枚くらいで書ける」
といわれたことだった。

永遠に終わりがきてほしくない。長ければ長いほどいい。と私が思っていたランサムの物語を、そんな風にいう人がいるなんて、あいた口がふさがらない、というか、目が点・・状態だった。

けれど、新人賞をもらって、どうしても本にしてほしかった私は、言葉をのみこんだ。
発想をがらりと変えなくてはならないことがわかった。

そうして、いろいろなことがあった末、4年後に「ぼくらの夏は山小屋で」 として出版された時の原稿枚数は、320枚。最終的に担当してくれた講談社の金沢千秋さんからは、ほんとうに書くことの「いろは」を教わったが、枚数もだいぶおまけしてくれたのだった。(笑)
これが、私が書いた本の中では、今のところ、一番長い物語である。

その後は、2作目の「緑色の休み時間」 が220枚。他の物語も、高学年向きので、ほぼ200枚前後を心がけている。
いつか・・そう、いつか。例えば400枚とか、バカ長くてもいい。おもしろいから本にしよう。といってもらえるような物語を書けることを目指してみようかと思う。(こともある)

ということで、
「foggyな読書」 に、またまたトラックバック。
「緑色の休み時間」のことをBlogに書いてくださったことに、心からの感謝の思いを込めて。
でもね、枚数的には、ランサムの四分の一くらいですから。(って、何のことかわかるのは、かおるさんだけでしょう)

(5番目に好きなのは、「ツバメの谷」か「スカラブ号の夏休み」か「六人の探偵たち」か「ひみつの海」か「シロクマ号となぞの鳥」
写真は、ランサムの本の裏表紙。これをみるとわかるけど、私がこの本を買い求めたのは、700円の時代。今度岩波から重版されるのは本体で2400円ですね。12冊全部は、ちょっと子どものためには買うには高価な本ですね)

◆ランサムの物語に関連して
 「アーサー=ランサムとの出会い」
 「ランサムの物語に出会って」
 「その後」
 「新人賞に応募していた頃」 
 「物語の長さ、すなわち原稿枚数 」