経済なんでも研究会

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「米中合意」と「イラン緊迫」の はざまで

2020-01-07 10:34:21 | 株価
◇ 降って湧いた司令官殺害事件 = トランプ大統領は昨年12月31日、突如として「中国との間で、第1段階の合意に関する署名式を1月15日に行う」と発表した。市場は「これで米中の関税引き下げ競争に歯止めがかかった」と好感。ニューヨーク市場の株価は、年末から年始にかけて高騰した。ゴールドマン・サックスは「20年の株価は5%上昇」という予測を発表。なかには「ダウ3万ドルも視界に入った」という超楽観論も飛び出す始末だった。

ところが年明け2日、アメリカ政府は「イラン革命防衛隊のスレイマニ司令官を、空爆によって殺害した」と発表。イラクを訪問していた同司令官の車を、アメリカの無人機がミサイルで攻撃したことも明らかになった。トランプ大統領は「アメリカの外交官や軍人を襲撃する計画を察知したので、未然に防ぐため私が命令した」と説明している。

イラン側は猛反発。最高指導者であるハメネイ師は「必ず報復する」と言明。イラン国内の反アメリカ感情も、一気に高まっている。これに対しアメリカは、直ちに戦闘部隊3000人を中東に増派することを決定。事態は一触即発の状態に陥った。イラク側の報復に備えて、イスラエルやサウジアラビアでは厳戒態勢を敷いている。

市場の空気も、一瞬にして暗転した。ニューヨーク市場の楽観的な気分はすっ飛び、株価は大幅に下落した。原油の国際価格は急上昇。安全資産と目される金や国債が買われ、日本円の相場も上昇している。週明け6日にはやや反発し、トランプ大統領の言明通りならば15日には米中間で部分合意が成立する。にもかかわらず中東情勢の緊迫化で、市場のリスク回避ムードは継続する公算が大きい。

       ≪7日の日経平均 = 上げ +370.86円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

今週のポイント

2020-01-07 10:34:21 | 株価
◇ ダウ平均に思わぬ障害物 = ダウ平均は先週10ドルの値下がり。米中首脳が15日にも「第1段階の合意」に署名するというニュースが伝わり、年明け早々から史上最高値を更新。市場では「年内3万ドルも視界に」という超楽観論さえ現われていた。ところが週末になって、アメリカの空爆でイラン革命防衛隊の司令官が死亡。市場は一転して警戒感に覆われた。金と日本円が買われており、投資家の心理は安全ムードに傾いている。

東京市場は先週、大納会の取り引きだけ。日経平均は181円の値下がりだった。正月休み中に「米中の部分合意」と「イラン司令官の殺害」が伝えられた。好悪2つの材料をどうみるかだが、やはり悪い方を重視することになるだろう。はたして6日の大発会で、日経平均は一時500円を超す下落となった。

今後はニューヨークの動き次第だが、イランの出方を予想できないだけに警戒感は長引くに違いない。少なくとも今週は、売り物が増えるだろう。また原油と日本円が、どの程度まで上昇するか。ただ株価が下げ続ければ、トランプ大統領が新たな株価対策を打ち出す可能性がある。大統領選挙を控えて、株価の大幅安は絶対に避けたいからだ。

今週は8日に、11月の毎月勤労統計と12月の消費動向調査。10日に、11月の家計調査と景気動向指数。アメリカでは7日に、11月の貿易統計と12月のISM非製造業景況指数。10日に、12月の雇用統計が発表される。なお11日には、香港で総統選挙が実施される。

       ≪6日の日経平均 = 下げ -451.76円≫

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫


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