経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

アブナイ 経済解説記事

2018-07-21 07:21:52 | 新聞
◇ アイスの世帯当たり支出額 = 日経新聞に「アイスの世帯当たり支出額  首位金沢、2位富山」という記事が載っていた。家計調査でアイスクリームとシャーベットの年間支出額を県庁所在地で比べると、トップは金沢市の1万1324円。第2位は富山市で、北陸地方でよく食べられていると書いてある。全国で最も少ないのは和歌山市だった。

北陸地方で支出が多いことについて、この地方には甘党が多いとか、冬もこたつを囲んで食べる習慣があるとか解説していた。読者は多分「なるほど」と納得してしまうだろう。しかし家計調査から、こういう結論を引き出すことには危険がある。総務省が毎月実施している家計調査は、全国の約9000世帯を対象にした抽出調査。

だから金沢市にしても富山市にしても、対象となる世帯数はそんなに多くない。したがって調査の対象になった世帯が、たまたまアイス大好きというケースもないではない。もっとありうるのは、新聞で報道されることにより、対象となった世帯が“責任感”を感じる可能性だ。通常よりたくさん購入したり、調査票に水増しして記入してしまう。

ギョウザについても、同様の問題が生じている。これは家計調査が悪いわけではなく、そこからこういう記事を書くマスコミの方が間違っている。アイスやギョウザの消費順位を調べるのなら、各地域の小売販売額を世帯数で割って算出すべきだろう。これには手間がかかるけれども。

       ≪20日の日経平均 = 下げ -66.80円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】   


円安は 持続するのか (下)

2018-07-20 06:50:09 | 円相場
◇ 最大のカギはアメリカの景気 = ドル高・円安の原因については、数多くの解説が流れている。たとえば原油高の影響で、東京市場ではドルの需要が強いという見方もあった。そうしたなかで注目されたのは、FRBによる国債の売却が加速しているという報道。FRBの保有資産圧縮は7月に400億ドル、従来の4倍になったという。これが事実ならば、ドル高・円安の大きな要因になってもおかしくはない。

このようにみてくると、すべての要因にからんでいるのは、アメリカの景気動向である。たとえば6月の雇用統計では、非農業雇用者数が前月比で21万3000人も増加。いぜんとして予想以上の成績が続いている。消費者物価も5月は前年比2.0%の上昇で、6年ぶりの高さだった。FRBが利上げを速める条件は整っている。

「アメリカの景気回復が続く限り、円安も持続する」--こんな仮説も立てられないことはない。ではアメリカの景気はどうなるのか。見方は大きく2分されるだろう。1つは貿易戦争がアメリカ経済に及ぼす影響は小さく、景気の回復が持続する。資金の還流も続いて株価は上昇。企業業績の好調も維持される。形としては、アメリカ経済の“ひとり勝ち”になるわけだ。

もう1つは貿易戦争の結果、アメリカ国内の物価が上昇。利上げのペースがもっと速まり、個人消費が伸び悩む。企業の収益も頭打ちとなって、ドルは売られる。この2つの見通しのうち、どちらが正しいのかはまだ予測できない。ただアメリカの個人消費に関連した指標に注目していれば、円相場を占うことができるかもしれない。

       ≪19日の日経平均 = 下げ -29.51円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ


円安は 持続するのか (上)

2018-07-19 07:56:07 | 円相場
◇ 突然3円はね上がった理由 = 長いこと膠着状態を続けていた円の対ドル相場が先週、急に動き出した。5月初めから先々週までは109-110円の範囲に収まっていたのが、突如として112円台にまで下落している。しかも「円高方向に進む」という事前の予想に反して、円安になった。その理由としては、実にさまざまな説が飛び交っている。まず、その整理から始めてみよう。

米中貿易戦争が実際に始まった。アメリカは6日、中国からの輸入品340億ドル分に対して25%の関税を追加すると発表。中国も同規模のアメリカ製品に対する報復関税を発動した。さらにアメリカは9月ごろまでに160億ドル分を追加。そのうえ2000億ドルにのぼる追加の品目リストまで発表した。中国も報復する姿勢を崩していない。

この貿易戦争が、為替市場にショックを与えたことは間違いない。ただ事前の予測では「貿易戦争はドル安・円高を呼ぶ」と考えられていた。アメリカ経済に悪影響が及び、景気も鈍化する。したがってドルは売られる。また市場ではリスク感が強まり、安全資産と目される円が買われる。多くの関係者が、こう読んでいたからだ。

ところが実際は逆に。中国の安い製品が流入しなくなって、アメリカの物価は上がる。するとFRBの利上げが速まり、ドルは高くなる。市場の読みが、百八十度変わったのだ。さらに利上げが速まれば、新興国からの資金逆流が続き、これもドル高要因になる。加えてトランプ大統領が自動車の輸入関税引き上げに言及したことも、円相場の下落につながった。

                               (続きは明日)

       ≪18日の日経平均 = 上げ +96.83円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ


成長の鈍化は 不可避 / 中国

2018-07-18 07:18:50 | 中国
◇ 6.5%目標を守れるか = 中国統計局は16日、4-6月期のGDP速報を発表した。それによると、前年比の実質成長率は6.7%で、前期より0.1ポイント低下した。同時に発表した主要な経済指標をみると、最も鈍化したのは固定資産投資。1-6月間では6.0%増となり、1-3月間の実績より1.5ポイントも縮小した。これは習政権が地方政府の債務膨張を抑えるため、インフラ投資をきびしく規制した結果だとみられている。

個人消費も伸びが止まった。1-6月間の小売り高は前年比9.4%増だったが、1-3月間に比べると0.4ポイント低下している。5月だけをみると、伸び率は8.5%で15年ぶりの低さだった。また輸出は1-6月間で前年比12.8%増加したが、輸入が19.9%も伸びたために、貿易の黒字幅は縮小している。

中国政府は地方政府の財政を再建するため、道路などのインフラ投資を抑制。また不動産価格の高騰を抑えるため、金融機関による不動産ローンを規制した。その一方、これらの政策による成長率の鈍化を防ぐ目的で、製造業を中心とした法人減税や預金準備率の引き下げを実行してきている。ところが、そこへ持ち上がったのが米中貿易戦争。

関税引き上げ競争による輸出の伸び悩みは、7-9月期になると表面化するに違いない。元安などで物価が上昇すれば、個人消費がさらに落ち込む可能性も大きい。とすれば、ことし後半の成長率がさらに低下することは避けられないだろう。ただ後半の成長率が6.3%に減速しても、年間を通せば政府が目標とする6.5%成長は達成できる。その成否が、今後の注目点になりそうだ。

       ≪17日の日経平均 = 上げ +100.01円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ


今週のポイント

2018-07-16 07:57:18 | 株価
◇ 円安という恵みの雨 = 米中貿易戦争が激化したにもかかわらず、株価は大きく上昇した。ダウ平均は先週563ドルの値上がり。終り値では1か月ぶりに2万5000ドルの大台に乗せている。ナスダックは史上最高値を更新した。貿易戦争の影響が測定しにくいなかで、企業業績は4-6月期も好調との予想が株価を押し上げている。新興国から引き揚げられた資金も、ドル高・株高の要因となった。

日経平均は先週808円の大幅高。ニューヨークの活況に引っ張られたうえ、円安が強力な買い材料となった。貿易戦争は円高につながるという予想が強かっただけに、予想外の円安で輸出関連株などが買い進まれた。週の終り値では、日経平均も2万2500円台を回復している。

アメリカの景気は、いぜん好調を維持している。唯一の不安材料は、貿易戦争の結果として物価が上昇し、それが個人消費を抑制すること。いつごろから、どの程度の強さで現われるか。また円相場には実に数多くの要因が作用しているが、その一つ一つの要因が、これから力を強めるのか、弱めるのか。注意して見て行くしかない。

今週は18日に、6月の訪日外国人旅行客数。19日に、6月の貿易統計。20日に、6月の消費者物価と5月の全産業活動指数。アメリカでは16日に、6月の小売り売上高。17日に、6月の工業生産。19日に、6月のカンファレンス・ボード景気先行指数。また中国が16日に、4-6月期のGDP速報、6月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ


Zenback

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