経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

各国政府の借金 コロナ対策で急膨張

2020-09-11 08:03:17 | なし
◇ 第2次世界大戦時を上回る = 世界中の国が、コロナ対策のために財政支出を拡大している。医療体制の充実や企業・個人への所得補償など。その総額はすでに11兆ドル(約1170兆円)を超えた。このため先進27か国の債務残高はGDPの128.2%に達したが、これは第2次世界大戦が終わった1946年の124.1%よりも大きい。IMF(国際通貨基金)が、こんな報告書を発表した。

この報告書によると、コロナ財政支出がいちばん大きいのはアメリカ。そのGDP比は12.3%となっている。次いで日本が11.3%、財政規律に厳しいドイツも9.4%、オーストラリアが8.8%などとなっている。もちろん新型コロナ・ウイルスのパンデミック(世界的大流行)はなお続いており、各国の財政支出がさらに増大することは確実だ。

各国の債務が増え続けると、どうなるのだろう。借金が返せなくなれば、国も破産する。だが日本を含めて先進国は膨大な対外債権を保有しているから、破産はしない。新興国の場合は債務が過剰になると危ない。現在もアルゼンチンとレバノンは、国債の償還が出来ず、いわゆるデフォルト(債務不履行)の状態に陥っている。

次に国債の発行が多くなると、長期金利が上昇しやすい。だが日本の現状をみても判るように、中央銀行が国債を買いまくるから金利は上がらない。あとは為替相場の下落も心配されるが、各国が一斉に国債を増発している状態では、大きな不均衡は起こりにくい。要するに「みんなで借りれば怖くない」のだ。こうして各国の膨大な借金は、将来の世代に持ち越されて行く。

       ≪10日の日経平均 = 上げ +202.93円≫

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

正常or異常? : JRの終電繰り上げ

2020-09-10 08:00:17 | なし
◇ コロナ抑制の効果は大きい = JR東日本は、東京周辺の終電時刻を30分ほど繰り上げると発表した。東京駅から半径100キロ以内の全路線で実施する。詳細な時刻表を10月中に作成し、来年春のダイヤ改正で実現する予定。新型コロナで乗客が減ったことに加えて、保守・点検の作業効率を高めてコスト削減を図ることが狙い。その影響は予想以上に大きいと考えられる。

東京周辺の在来線は、熱海・水戸・高崎・高尾などが終着駅。山手線を含めて、これらの駅に到着する終電の時刻を午前1時までとする。まだ発表はないが、連絡する私鉄も終電時刻を繰り上げるに違いない。当然ながら、途中駅に着く時刻はもっと早くなる。すると数多くの駅の周辺に立地する飲食店の営業時間にも、かなりの変化を生じるだろう。

その影響は、予想以上に大きいと言えそうだ。コロナ対策としては、国や自治体が要請した飲食店の営業時間短縮よりも、はるかに大きな効果を挙げるのではないだろうか。しかし終電時刻の繰り上げは、私企業であるJRが経営上の理由で実施すること。だから営業時間が短くなったとしても、補助金は出ない。

JR東日本の深沢社長は「コロナが収まったとしても、乗客は戻らない」と発言。終電の繰り上げは恒久的な対策であることを示唆した。これまで一般人は「終電がさらに繰り下げられ、終夜運転になることが進むべき方向」だと考え、それが正常化だと信じてきた。それがむしろ異常で、終電繰り上げが正常化だと考えるべきなのか。コロナは文明のあり方まで、変えてしまうのだろうか。

       ≪9日の日経平均 = 下げ -241.59円≫

       ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

コロナが蝕む 消費支出

2020-09-09 07:06:10 | 景気
◇ 将来不安も増大している = 総務省は8日、7月の家計調査を発表した。それによると、2人以上世帯の消費支出は26万6897円で前年比7.6%の減少だった。コロナの第1波に襲われた3月は6.0%減、4月は11.1%減、5月は16.2%減。そのあと緊急事態宣言の解除もあって6月は1.2%減まで改善したが、7月は再び減少幅が拡大してしまった。これは夏休みなどの影響で、コロナの第2波が襲来したためだと思われる。

項目別にみると、教養娯楽が21.0%減、被服・履物が20.2%減。次いで交通通信が19.6%減となっている。そんななかで家具・家事用品は16.6%も増加した。品目別では、パック旅行が89.1%、航空運賃が86.9%、映画・演劇など入場料が85.2%と、大きく減った。また飲酒代は54.0%、外食代は26.7%減少した。洋服や靴の購入が減ったのは、在宅勤務が増えたせいか?

コロナの感染者数をグラフにしてみると、3-5月に一つの山を描いている。そして6月は一息ついたが、7-8月には二つ目の山。家計調査からみる限り、消費支出はこの山の逆数となっているようだ。したがって今後もコロナ感染者が増えれば消費支出が減り、感染者が減れば支出が回復することになるだろう。ただ支出項目の増減が今後どう変化して行くのか、見当はつけにくい。

消費者の行動は、当面する外出自粛や店舗の営業規制などによって、大きく左右される。だが消費支出の動向をよくみると、その根底には強い節約意識も流れているようだ。コロナ世界を生き抜くためには、もっと貯蓄をしておく方が安心だ。そんな将来に対する不安の増大が、消費支出をよりいっそう抑え込んでいるように思われる。

       ≪8日の日経平均 = 上げ +184.18円≫

       ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

菅義偉氏の 経済政策

2020-09-08 08:11:27 | 政治
◇ アベノミックス + α = 自民党の総裁選挙は来週14日に投開票が行われ、次期首相が事実上そこで決定する。立候補者は菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長の3人。その経済政策を一言で表現すれば、菅氏はアベノミックスの継承、岸田氏はアベノミックスの修正、石破氏はアベノミックスの転換ということになるだろう。現状では菅氏が圧倒的に有利だが、その菅氏もアベノミックスの単なる継承では新味がなさすぎる。そこでαを付け加えることになるのだが、その内容は?

力点を置くのは、地方再生とデジタル化の推進。地方再生では、中小企業の生産性向上を図るために、中小企業基本法を見直す。また地域金融を手厚くするため、地方銀行の合併を促進する方針だ。一方、企業の働き方改革や学校教育でも、これからはデジタル化ガ欠かせない。デジタル化の足かせともなっている官公庁の縦割りをなくし、一本化するためにデジタル庁を新設する。

このほかコロナ対策と経済再生の関係では、V字型の景気回復ではなく、緩やかな経済活動の回復を目指す。また国内的にも国際的にも、生産拠点の見直しと分散化ガ必要。さらに携帯電話の分野では、大手3社の寡占状態があってはならないと、従来からの持論を展開している。

ただ菅氏の経済政策には、何となく物足りない面がある。その1つは、オリンピックについての言及がないこと。言及がなければ、国民はやはり実現不能なのかと思ってしまう。もう1つは、エネルギー問題。石炭火力、原発、再生可能エネルギーをどうするのか。日本国のリーダーが、エネルギー問題について見識を持たなければ失格である。

       ≪7日の日経平均 = 下げ -115.48円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2020-09-07 07:59:50 | 株価
◇ 高値に怯えたニューヨーク市場 = ナスダック株価指数は先週、史上最高値を更新したあと急落した。アップルなどのIT銘柄やEVのテスラが売り込まれ、一般の銘柄もその波に包まれた。このためダウ平均も週間521ドルの値下がり。市場関係者によると、株価を下げるような悪材料は全く見当たらないという。投資家は株価が高くなりすぎたことに突然気づいて、一斉に売りに出たようだ。

日経平均は先週323円の値上がり。ニューヨーク株が大幅安となった割に、値を崩さなかった。これは特に悪材料がなく、ニューヨークは高値警戒感だけで下げたと考えられたからだろう。東京市場としては、次期首相に菅氏が有力となったことを評価した。菅氏はアベノミックスを忠実に継承するとみられるためである。

高値警戒感だけで下落したとすれば、ニューヨークの株安は一過性のものだろう。株価が下がれば、不安は解消するからだ。だが反発しても、株価が再び最高値に近づけば下げる公算は大きい。大統領選挙を間近に控えて、トランプ大統領が景気対策を打ち出せば、市場には新しいエネルギーが注入されるのだが。

今週は7日に、7月の景気動向指数。8日に、4-6月期のGDP確定値、7月の家計調査、毎月勤労統計、8月の景気ウォッチャー調査。10日に、7月の機械受注。11日に、7-9月期の法人企業景気予測調査、8月の企業物価。アメリカでは10日に、8月の生産者物価。11日に、8月の消費者物価。また中国が7日に、8月の貿易統計。9日に、8月の消費者物価と生産者物価を発表する。

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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