経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2021-01-25 08:00:57 | 株価
◇ 目標を見失ったニューヨーク市場 = ダウ平均は先週183ドルの値上がり。週の半ばには3万1188ドルの史上最高値を付けたが、後半はやや反落した。IT企業が多いナスダックや上場銘柄数が多いSP500も、そろって最高値を更新。心配されたトラブルもなく発足したバイデン政権に、まずは“ご祝儀”を出した形となった。日経平均も先週は112円の値上がり。ほとんどニューヨークに追随した。

先週の最高値を年初に比べてみると、ダウ平均は582ドル上昇した。昨年初からは2650ドルも上昇している。この間、市場はあらゆる材料を飲み込んできた。最近でもバイデン大統領による未曽有の財政支出計画、ブルー・ウエーブ(大統領と上下両院を民主党が制覇)、そしてFRBによる超金融緩和政策の継続。さらにコロナ収束後の景気上昇まで。

これらの材料をすべて織り込んで、株価は上がってきた。しかし実際にバイデン政権がスタートしたいま、市場が目標とするべき新しい材料が見当たらない。それどころか国債の大増発が見込まれることから、早くも長期金利が上昇し始めている。市場が新しい目標を見付けるまで、株価は一休みするのではないか。こんな観測さえ出始めてきている。

今週は26日に、12月の企業向けサービス価格。28日に、12月の商業動態統計。29日に、12月の労働力調査、鉱工業生産、住宅着工戸数と1月の消費動向調査。アメリカでは28日に、10-12月期のGDP速報、12月の新築住宅販売。29日に、中古住宅販売。また中国が31日に、製造業と非製造業のPMIを発表する。

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (45)

2021-01-23 08:27:09 | なし
◇ 日本の死亡者数が中国を上回った = 世界の感染者数は9685万人に。1日70万人の勢いで増加しているから、来週は確実に1億人を突破する。死亡者も207万人に達した。最悪のアメリカは感染者が2444万人、死亡者は40万6196人となり第2次世界大戦の戦死者を上回っている。バイデン新大統領はコロナ対策を最重要課題としたが、就任100日後に成果ガ現われなければ評判を落とすことになりそうだ。

日本時間22日午前0時の集計で各国の死亡者数をみると、2位のブラジルは21万人台。次いでインドが15万人台、メキシコが14万人台。イギリスが9万人台、イタリアが8万人台、フランスが7万人台、ロシアが6万人台。さらにイラン・スペイン・ドイツが5万人台となっている。1日当たりの死者数が多いのは、アメリカ、メキシコ、イギリスの順だった。

WHO(世界保健機関)の発表によると、イギリス由来の変異ウイルスは世界60か国で発見された。また南アフリカ由来の変異ウイルスは23か国に広まっている。日本でも静岡県と東京都で確認されたが、伝染経路は分かっていない。おそらく他の地域でも、これから感染者が発見されるのではないか。要注意だ。

日本の感染者は累計35万2689人。この1週間で4万2000人増加した。死亡者は531人増えて4886人に。中国の累計4635人を超えてしまった。いま政府は首都圏など11都府県に緊急事態宣言を発令しているが、期限切れの2月7日にどの程度まで改善できるのだろうか。もし宣言が延長されることになれば、その経済的・政治的影響はきわめて大きい。

       ≪22日の日経平均 = 下げ ー125.41円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     

多重分断を修復へ : バイデン大統領

2021-01-22 08:01:25 | アメリカ
◇ 就任演説で国民に“団結”を訴え = 「私の魂のすべては、アメリカを一つにすること、国民を団結させ、国を結束させることに向けられている」--バイデン新大統領は就任演説で、こう力説した。就任式の直後に行われるこの演説は、新大統領が国民に呼びかける第一声。常に新大統領が就任した時点で、何を最重要な課題と考えているのかが訴えられる。バイデン氏の場合は、やはり“分断の修復”が、最大のテーマとなった。

有名なのは、1961年に行われたケネディ大統領の就任演説。このなかでは「国家が諸君のために何が出来るを問うのではなく、諸君が国家のために何が出来るかを問うてほしい」と訴えている。また4年前、トランプ大統領は「今日この日から、ひたすらアメリカ第一に徹する」と、強い信念を披歴した。

たしかに現在のアメリカは、ずたずたに分断されている。中道・左派とトランプ氏を崇拝する右派の分断で、バイデン氏の大統領就任式も戒厳令下の状態で行わねばならなかった。だが分断はそれだけではない。人種間の分断、地域間の分断、宗教的な分断。そして何よりも強い分断は、貧富の差であり、これが多重分断を助長する温床ともなっている。

アメリカでは上位1%の高所得層が富の40%を握り、下位90%の低中所得層が20%の富を分け合っているといわれる。今回のコロナ禍でも、年収4万ドル以下の家庭の4割が一時的にせよ失職し、所得上位10%の大金持ちは4-6月だけで資産を6兆ドルも増やしている。この貧富の差をどうやって縮めて行くのか。バイデン大統領は、どんな秘策を持っているのか。

       ≪21日の日経平均 = 上げ +233.60円≫

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

独り勝ちの 中国 (下)

2021-01-21 07:31:58 | 中国
◇ 試されている民主主義 = 中国共産党は昨年11月、経済の長期計画をまとめて発表した。そのなかでは「35年に1人当たりGDPを2倍にする」ことが、大きな目標となっている。この目標を達成するためには、年平均4.7%の成長が必要だ。したがって20年の2.3%という成長率では足りない。しかし中国政府は21年の成長率は8%に達すると予測しているから、20-21年を通してみれば長期目標の達成は可能になる。

中国経済は、いま数々の問題を抱えている。たとえば銀行が保有する不良債権は1兆5000億ドル。地方政府が持つ隠れ債務は50兆円、社債の債務不履行は昨年だけで25兆円にのぼるという推計もある。とにかく、政府も民間も借金漬けになってしまった。それに住宅を中心とした不動産バブル。これらの問題を解決しなければ、ことし8%の成長はムリになる。

だから、共産党の長期計画が達成されるという保証はまだない。しかし現時点でみる限り、主要国のなかで中国だけがプラス成長に戻ったことは事実である。それが中国流の厳しい統制で、コロナの封じ込めに成功した結果であることも確かだ。最近も河北省でコロナ患者が発生すると、ただちに1000万都市の石家荘市を完全封鎖してしまった。陽性者の行動は公開され、一般市民も健康コードなしには移動できない。

そこには個人の自由もプライバシーもない。一方、アメリカではマスクの着用も“自由の侵害”だと怒る人が少なくない。政府による強制的な個人の把握vs自由と民主主義。少なくともコロナに関する限りは、強権政治のほうが有効であり、それが経済の再生にも役立っている。この現実を、どのように評価したらいいのか。議論はまだ聞こえてこない。

       ≪20日の日経平均 = 下げ ー110.20円≫

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫/strong>

独り勝ちの 中国 (上)

2021-01-20 07:51:53 | 中国
◇ コロナ前の成長率を回復 = 中国統計局は18日、昨年10-12月期の実質経済成長率を発表した。それによると、前年同期比の成長率は6.5%に拡大。コロナ以前の水準に戻っている。政府の景気対策、自動車や半導体を中心とする工業生産、それに輸出の増加が大きく寄与した。ただ地方政府が抱え込んだ過剰債務、不動産バブル、あるいは個人所得の伸び悩みなど、習政権が対処すべき問題も少なくない。

中国の成長率は、コロナに見舞われた昨年1-3月期にはマイナス6.8%まで落ち込んだ。それが4-6月期はプラス3.2%、7-9月期はプラス4.9%と徐々に上昇。さらに10-12月期も拡大を続けたため、20年を通じた成長率は2.3%にまで回復した。欧米諸国や日本などは20年の成長率がマイナスとなる見込み。そうしたなかで、中国が独り勝ちの形となった。

同時に発表された20年の主要な経済指標をみると、政府のインフラ投資・企業の設備投資・民間の不動産投資を合計した固定資産投資額は前年比2.9%の増加。輸出も3.6%伸びている。ただ小売り売上高は3.9%の減少で、94年以降では初めてのマイナスで終わった。これは大都市以外での雇用が増加せず、全体として所得が落ち込んでいるためだと考えられる。

新型コロナ・ウイルスは一昨年12月に、中国の武漢で発生したといわれる。だが中国は昨年4月ごろまでに、コロナの封じ込めに成功した。過去8か月間に感染者の増加は5000人以下、死亡者は1人しか出していない。その一方、欧米諸国や日本はいまだにコロナの急拡大に手を焼いている。この差が、経済成長率の明暗にもつながった。だが成長率にとどまらず、この差はもっと重大な問題にもつながっている。

                          (続きは明日)
   
       ≪19日の日経平均 = 上げ +391.25円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

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