経済なんでも研究会

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忍び寄る恐怖 緩和政策の終了 / NY市場

2021-01-19 08:06:12 | 株価
◇ FRBの理事が次々と言及 = パウエルFRB議長は先週14日、プリンストン大学のセミナーに参加。「必要ならば利上げするが、そのときはすぐには来ない」「物価が2%に達しても、一時的ならば引き締めはしない」などと強調した。コロナ不況の真っ最中なのに、なぜ金融緩和政策の縮小について説明したのだろう。それは最近、FRBの理事たちが緩和政策の終了について言及、市場に動揺がみられたからである。

FRBは現在、毎月800億ドル(約8兆円)の国債を市場から買い入れている。これについてダラス連銀総裁は「減額の可能性がある」と明言した。またシカゴ連銀総裁は「今年の末から来年にかけて、金融緩和は縮小されるだろう。6月になれば、もっと明白になる」と述べている。一方、セントルイス連銀総裁は「この議論は時期尚早だ」とコメントした。

あす20日には、バイデン新政権が誕生する。そんなときに金融緩和の終了が議論されるのは好ましくない。パウエル議長はこう考えて、緩和の終了論にクギを刺したに違いない。だがパウエル議長の発言にもかかわらず、この日の株価は下落した。市場では、議長と理事たちは役割分担をしたのではないか、という疑念まで生まれている。

とにかく、いまの株価高騰は金融緩和のうえに成り立っている。その緩和が終了することは、最大の恐怖であることに間違いない。バイデン新大統領による未曽有の財政支出、ワクチンの普及によるコロナの終息。うまく行けば、景気は近く急回復するかもしれない。市場にとっては明るい材料になるが、同時に金融緩和もテイパリング(しだいに消える)可能性が大きくなる。いまの市場にとっては流行し始めたテイパリングという言葉が、恐ろしい呪文のように聞こえるようだ。

       ≪18日の日経平均 = 下げ ー276.97円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 

今週のポイント

2021-01-18 07:31:18 | 株価
◇ 考え込んだニューヨーク市場 = ダウ平均は先週284ドルの値下がり。5週間ぶりの下落で、終り値は3万1000ドルを割り込んだ。さすがに高値警戒感が強まり、利益確定売りが出て調整した形。加えて20日の大統領就任式を控えて首都ワシントンの厳戒ぶりも、投資家の心理を冷やしたようだ。さらにFRBの理事たちが「金融緩和政策の終了時期」について言及したことも、売り材料になった。

日経平均は先週380円の値上がり。3週連続の上昇で、終り値は2万8500円を維持している。アメリカの長期金利が上昇し、ドル高・円安が進んだこと。日銀のETF買い入れが、株価を押し上げた。その一方、ワシントンの混乱やFRBの裏情報は、海の向こうの話なのであまり響かなかった。ただニューヨークも東京も、猛威を振るうコロナについては無関心。奇妙である。

バイデン次期大統領が、総額1兆9000億ドル(約200兆円)にのぼる追加のコロナ対策を正式に発表した。しかし市場は織り込み済みで、反応しなかった。またパウエルFRB議長が「利上げのチャンスはずっと先だ」と発言したが、株価は上がらなかった。FRBの緩和政策終了に関する問題は、今後に尾を引くことになるかもしれない。

今週は21日に、12月の貿易統計。22日に、12月の消費者物価。アメリカでは20日に、1月のNAHB住宅市場指数。21日に、12月の住宅着工戸数。22日に、12月の中古住宅販売。また中国が18日に、10-12月期のGDP速報、12月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。なお20日は、アメリカの大統領就任式。

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (44)

2021-01-16 07:34:33 | なし
◇ 中国で8か月ぶりに死亡者 = 新型コロナ・ウイルスの流行に、終息の気配はない。世界の感染者は9235万人、死亡者は197万人。間もなく200万人に達する。最も重篤なアメリカは感染者が2308万人、死亡者は38万4794人に。1日4000人以上の人が亡くなっている。次いでブラジルの感染者は825万人、死亡者は20万5964人。インドは感染者が1061万人、死亡者は15万1727人に達した。

日本時間15日午前0時の集計で死亡者数をみると、メキシコが13万人台、イギリスとイタリアが8万人台。続いてフランスとロシアが6万人台。さらにイランとスペインが5万人台。ドイツが4万人台と続いている。アメリカやイギリスをはじめイタリア、ドイツでも厳しい都市封鎖を実施しているが、その効果はまだ現われてこない。各国ともワクチン頼みの状況だ。

こうしたなか、中国では昨年5月以来8か月ぶりに死亡者が発生した。この間、中国では感染者数が4900人ほど増えているが、死亡者は1人も出なかった。それが最近、北京に隣接する河北省で感染者が多発、政府は石家荘市などを都市封鎖したが、死亡者が出てしまった。中国流の厳しい対処法で、今後の流行を抑制できるか。注目して行きたい。

日本の感染者は31万1355人、死亡者は4355人になった。この1週間で死亡者は457人も増えた。わずか3か月前には30人程度の増加だったから、状況は急速に悪化している。重症者も急増しており、医療崩壊に片足を突っ込んだ格好。政府は慌てて11都府県に緊急事態宣言を発令したが、遅きに失したことは歴然だ。今月末の状態がどうなるか、心配である。

       ≪15日の日経平均 = 下げ -179.08円≫

       【今週の日経平均予想 = 1勝3敗】   

菅さん! 国民の心理を読みなさい

2021-01-15 08:25:25 | 政治
◇直さないと支持率は下がるばかり  = 政府は13日、緊急事態宣言の対象地域に、大阪・愛知・福岡などの7府県を追加した。福岡県を除く6府県の知事が数日前から官邸に対して実施を強く要請、菅首相が受け入れたもの。先に首都圏1都3県に緊急事態宣言を出したときも、小池都知事らが官邸に押しかけて直訴。はじめは宣言の発令に慎重だった菅首相が、結局は押し切られた形となった。

国民の目から見ると「菅首相はいつも知事たちに尻を叩かれて、重い腰を上げている」ように映る。つまり「菅首相にはリーダーシップがなく、決断が遅い」とも感じてしまう。しかも最後は必ず「専門家会議に検討してもらう」と言うが、こんな“儀式”をのんびり開いているヒマはあるのか。専門家会議で政府の諮問内容が修正されたことなんか、一度もないじゃないか。行政の無駄をなくそうとおっしゃったのは、どなたか――という感想になる。

コロナ対策特別措置法の改正も、完全に遅れてしまった。緊急事態宣言でもコロナの拡大が収まらない場合に備えて、店舗の休業や時間短縮をしない企業に罰則を科すことが改正の趣旨。以前から議論されてきたが、政府はようやく18日に召集される通常国会に改正案を提出する。これでは泥棒を捕まえてから縄をなうようなもの。菅首相が主導して昨年のうちに国会で審議を始めていれば、内閣支持率は上がったに違いない。

変異ウイルスが、世界で蔓延し始めた。それなのに、海外11か国からはビジネス客を入国させていた。これもようやく全面禁止にしたが、いかにも対応が鈍い。たしかに、コロナの撲滅と経済活動の維持を両立させることは難しい。欧米諸国でも、軒並み失敗している。だから菅首相だけを責めるのは酷ではある。しかし非常時の日本を率いる総理大臣としては、もっと機敏に対処してもらいたい。そうしないと、支持率は下がり続けるだろう。

       ≪14日の日経平均 = 上げ +241.67円≫

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫     

バブル症状くっきり : 株式市場 (下)

2021-01-14 08:00:58 | 株価
◇ バブル状態が長続きする可能性も = 日経平均についても、バブル状態だと診断できる。もっとも東京市場の場合は、ニューヨークと異なる点がないではない。その1つはアメリカの長期金利が上昇して、ドル高・円安が進んだこと。もう1つは、日銀が大量のETF(上場投資信託)を市場から買い続けていることだ。ただコロナ禍が拡大し、緊急事態宣言が発令されたにもかかわらず、株価は30年ぶりの高値を回復した。やはり異常な現象と言えるだろう。

バブルを生んだ根本的な原因は、各国中央銀行による超金融緩和政策。主要な世界の9中央銀行は、20年だけでも合計9兆7000億ドル(約1000兆円)の資金を市中に放出した。ちなみに日銀は129兆円の資金を供給している。こうした資金の多くが株式市場に集まり、世界全体の時価総額は100兆ドル(約1京円)を超えた。

こうしたバブルが崩壊する原因は、何だろう。いま市場で取りざたされているのは、国債の増発で金利が上がること。資金が株式市場から債券市場に移転する可能性がある。しかし中央銀行が国債を買うことで、金利の上昇は抑制されるに違いない。もう1つはリーマン・ショックのように、金融不安が起きること。だが市中には大量の資金が滞留しているから、少々の不安なら呑み込んでしまうだろう。

致命的なのは、インフレの発生だ。中央銀行は緩和政策を止め、引き締め政策に転換しなければならない。株式市場にとっては大元の資金供給源を断たれるわけで、バブルは確実に崩壊する。しかしインフレが生じるまでに時間がかかるとすれば、株価バブルは意外に長続きする可能性もないではない。その場合は21年も、株高の年になる。

       ≪13日の日経平均 = 上げ +292.25円≫

       ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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