経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

株価バブルは いつ破裂する? (下)

2021-05-19 08:06:06 | 株価
◇ 恐ろしいのはリーマン型の再発 = 物価の大幅な上昇が続くと、市場はどこかの時点でFRBの緩和政策見直しを確信するようになる。そのとき株価は調整せざるをえない。しかし底が見えないほどの大暴落にはならないだろう。過剰な投資資金を背景に、下値拾いの買い物が入るからだ。ではバブルの崩壊はないのかというと、そうではない。リーマン・ショックのような金融不安が再発すると、株価は暴落する可能性がある。

膨大な投資資金が存在するなかで景気が回復すると、少なからぬ資金がより利回りの高い物件を求め始める。その一方では資金を集めようとして、高い利回りの債券が発行される。その発行元は、信用度の低い企業ということになる。こうした債券がどんどん発行されたときに株価が大幅に下落すると、信用度の低い債券は売り叩かれる。その結果、大手の金融機関が損失を出して行き詰まると、リーマン・ショックの再現になるわけだ。

FRBもこの問題を重視し、報告書の形で警鐘を鳴らした。そのなかで「リスク投資に傾斜する市場参加者の態度が急変した場合、資産価格は急落リスクにもろく、金融システムに幅広い負担をかける」と述べている。FRBによると、いわゆるダブルB以下の低格付け債の発行は、3月だけで1230億ドル(約13兆円)にのぼった。

低格付けのローン債権を集めたローン債権も、広範に売り出されている。この状況は、リーマン・ショック直前の様相と全く同じ。著名な個人投資家も、警戒論を口にし始めた。したがって当面は、市場の大半がいつFRBの政策修正を確信するのかが焦点。そのときリスク債権の急落で、金融不安が生じるかどうか。市場にとって、心配のタネは尽きない。

       ≪18日の日経平均 = 上げ +582.01円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

株価バブルは いつ破裂する? (上)

2021-05-18 07:36:39 | 株価
◇ 市場の不安はまだまだ続く = ニューヨーク市場の株価は先週、大幅に下落したあと急速に反発した。下落の主たる原因は、4月の消費者物価が予想をはるかに上回って前年比4.2%の上昇となったこと。これでFRBの金融緩和見直しが早まるだろうという観測が強まり、売りが殺到した。反発の主たる原因は、FRBがこの観測を強く否定したこと。市場の不安感が鎮まり、買い戻しの動きが活発になった。しかし市場の不安は、一掃されたわけではない。

実は4月の消費者物価が大きく上昇することは、前々から予想されていた。というのも昨年4-6月期はコロナの感染が激しく、アメリカの主要都市では人々の行動が厳しく規制されていた。このため物価は上がりにくく、たとえば昨年4月の物価上昇率は0.3%に抑制されている。このような特殊事情から、FRBも「4-6月の物価上昇は一時的。それで緩和政策を修正することはない」と、たびたび宣言していたほどである。

昨年5月の物価上昇率は、前年比0.1%。6月は0.6%だった。したがって、ことし5-6月の上昇率はやはり高くならざるをえない。だが、それにしても4月の上昇率は予想以上に高かった。5-6月はもっと上昇率が広がるだろう。さらに7月以降は景気の急拡大が見込まれ、物価も上昇する。それでもFRBは、緩和政策を維持できるのか。市場の不安は一向に払拭されない。

特殊事情は7月になると、ほぼ解消する。その7月の消費者物価は、8月に発表される。だから8月までは、現在の金融緩和政策が続けられる。市場では、こういう考え方も強い。しかし、それまでにインフレ傾向が明確に出てくれば、FRBは緩和政策の修正どころか、金融引き締めまでを視野に入れる。市場の大勢がそう考え始めれば、株価はもっと早い時点で大きな調整を余儀なくされる。それは、いつなのか。市場の関心は、この一点に集中している。

                          (続きは明日)

       ≪17日の日経平均 = 下げ -259.64円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2021-05-17 07:34:56 | 株価
◇ 日経平均が大きく反落 = ダウ平均は先週、月-水の3日間で2070ドルも下落した。いよいよバブル崩壊かと思われたが、あとは大きく反発。終わってみれば週間396ドルの値下がりにとどまった。日経平均も火-木の3日間で1190円の下落。こちらもあと反発したが、週間では1273円の大幅な値下がりとなった。日経平均は年初来2070円ほどの上昇だから、先週は3日間でその半分以上を失ったことになる。

アメリカでは先週、長期金利が上昇。また4月の消費者物価が前年比4.2%の上昇となった。このためFRBによる金融緩和政策の停止が早まるのではないか、という観測が市場で拡散。これがダウ平均の大幅安につながった。ただFRBはこうした観測を否定、またコロナの増勢が目立って衰えたことから、株価はすぐに反発した。

日経平均の反発が弱いのは、コロナの状況が悪化しているため。企業の決算発表でも、先行きを慎重に見通す経営者が増えている。だから下げ過ぎの訂正で反発するとしても、天井は低い。またアメリカでは、金融緩和の修正見通しがくすぶり続けている。したがって、さらなる株価の反落はもうないと断定するわけにはいかない。

今週は17日に、4月の企業物価。18日に、1-3月期のGDP速報と3月の第3次産業活動指数。20日に、4月の貿易統計と3月の機械受注。21日に、4月の消費者物価。アメリカでは17日に、5月のNAHB住宅市場指数。18日に、4月の住宅着工戸数。21日に、4月の中古住宅販売。また中国が17日に、4月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (61)

2021-05-15 07:44:59 | なし
◇ パンデミックは峠を越えた?? = 新型コロナ・ウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、ようやく峠を越えつつあるのかもしれない。世界の感染者数は1億6047万人、死亡者数は333万1823人となった。1週間の増加数は感染者が527万人、死亡者が9万0025人。まだ高水準ではあるが、この2週間は増加数がわずかながら縮小した。断定はできないが、あとから振り返ると現在がピークなのかもしれない。

インドは最悪の状態が続いている。感染者は1日で41万人、死亡者は4000人を超えている。1週間の死亡者数は2万8149人に達し、増勢は全く衰えていない。ブラジルやメキシコの状態も、改善の兆しはない。にもかかわらず世界の増勢がピークアウトしたのは、アメリカやイギリスの状態が著しく好転したためである。

死亡者数をみると、アメリカは累計58万3690人。1週間の増加数は4404人で、ピーク時の5分の1以下に縮小した。あとブラジルは42万人台の死亡者、インドは25万人台、メキシコは21万人台。イギリスは12万人台だが、この1週間では71人の増加にとどまった。このほかイタリアが12万人台、ロシアが11万人台、フランスが10万人台と続いている。

日本の感染者は累計66万7558人。この1週間では4万4863人の増加だった。前週の3万3655人より大幅に増えている。死亡者は累計1万1315人、前週より690人増えた。これも前週の408人増加より、かなり拡大している。政府は緊急事態宣言の延長や追加に大わらわだが、悪化の傾向は止まらない。感染者や死亡者の人数は少ないが、世界のなかでは状況が悪化している数少ない国の一つとなっている。

       ≪14日の日経平均 = 上げ +636.46円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     

こんどは 分裂の危機 / イギリス

2021-05-14 07:32:19 | イギリス
◇ コロナ鎮静で独立運動が再燃 = イギリスは大揉めに揉めたあげく、EUから離脱。そのとたん、コロナに襲われ大不況。ワクチンの効果でコロナが鎮静化したら、こんどはスコットランドと北アイルランドの独立運動に脅かされることになった。下手をすると、イギリスは分裂するかもしれない。ジョンソン首相は、またしても難しい問題を抱え込んだ。

スコットランドでは5月6日の議会選挙で、イギリスからの独立を標榜する民族党と緑の党が過半数を獲得。今後2年半のうちに、独立の是非を問う住民投票を目指すことになった。住民投票の実施には中央政府の承認が必要で、ジョンソン首相は絶対反対の姿勢。これに対して民族党は裁判にも訴える構え。コロナが収束したら、独立運動を一気に展開すると公約していた。

北アイルランドでも、独立の機運が高まっている。もともと宗教の違いなどから、イングランド派とアイルランド派が激しく対立。今回のEU離脱でアイルランドとの経済関係が強まり、独立運動に拍車がかかった形となった。スコットランドでも、EU離脱に反対する住民が圧倒的に多い。このようにスコットランドでも北アイルランドでも、イギリスのEU離脱が皮肉にも独立運動を起こすきっかけとなっている。

イギリスは、イングランド・スコットランド・ウエールズ・北アイルランドの4か国による連合体。このうち人口でみると、イングランドが全体の84%を占めている。また面積では、スコットランドと北アイルランドが4割を占める。仮に独立運動が成功してスコットランドと北アイルランドが離脱すると、残るはイングランドとウエールズのみ。大英帝国の面影は、ほとんど消え去ってしまうことになる。
えええ
       ≪13日の日経平均 = 下げ -699.50円≫

       ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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