経済なんでも研究会

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医療シミュレーションを : オリンピック

2021-05-13 08:26:41 | なし
◇ なぜ「中止すべき」が増えているのか = 読売新聞の世論調査によると、オリンピックは「中止した方がよい」が59%で、「開催した方がよい」の39%を大きく上回った。特に緊急事態宣言が発令されている6都府県では「中止する」が64%にも達した。ここからみても判るように、中止論の理由はただ1つ。オリンピックの開催で、コロナの状況がさらに悪化しては困るという点に尽きるだろう。

オリンピック・パラリンピックで来日する選手は約1万5000人。大会関係者は4万人以上。ほかにマスコミ関係者が2万人以上やってくると見込まれている。これらの人がウイルスを運んでこないか。政府はPCR検査などの徹底、一般人との完全な隔離で、感染は防げると説明。そのために専用の診療所を設置したり、病院のベッドをあらかじめ予約したりするとも言っている。

だが、それには多数の人手が要る。たとえば医師や看護師が何人必要なのか。そこに医療関係者を配置することで、一般人向けのコロナ治療やワクチン接種に支障が出ることはないのか。また来日外国人を一般人から切り離すためには、何人ぐらいの管理者が必要なのか。こうしたシミュレーションを、ぜひやってほしいものだ。

その結果、支障がないと判れば、国民の不安はかなり解消するだろう。支障が出るのならば、中止か延期はやむをえない。こんな机上のシミュレーションさえ出来ないというなら、菅内閣の支持率はもっと下がるだろう。支障がないと言っておいて支障が出れば、内閣の総辞職は避けられない。

       ≪12日の日経平均 = 下げ -461.08円≫

       ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

金融緩和時代の 終わり (下)

2021-05-12 07:51:18 | 金融
◇ EUは現状維持、日本は言行不一致 = ・EU = 4月22日の理事会で、ECB(ヨーロッパ中央銀行)は「緩和政策の継続」を決定した。景気の先行きが不安定なことを、その理由に挙げている。コロナの状況も、まだ安心できる状態ではない。ECBは現在、1兆8500億ユーロ(約240兆円)の購入ワクを設け、市場から国債などを定期的に購入している。したがって今後も当分は、この緩和政策が実行される見通しだ。

・日本 = 東京や大阪などに緊急事態宣言が発令。景気の先行きも、決して明るくない。このため日銀は政策決定会合では「緩和政策の継続」を決めている。ところが実際には、市場から買い入れる国債やETF(上場投資信託)の数量を大幅に減らしている。明らかに緩和政策の縮小だが、日銀は何も説明していない。言行不一致である。

日銀の国債保有額をみると、ことし1-3月期は3兆3000億円の減少。4月は3兆9000億円の増加となっている。償還との関係もあるが、やはり買い入れは大幅に減った。ETFについては、もっと極端だ。4月中の買い入れは1回だけ、わずか701億円にとどまった。株価が3万円に達してもう買い入れは不要と判断したのだろうが、緩和政策が大きく修正されたことは明かだ。

以上は主要な先進国の動向だが、新興国では金利を引き上げるところが続出している。4月以降、ブラジルやロシア、さらにトルコやウクライナなど11か国が利上げに踏み切った。これらの諸国は自国通貨安によるインフレの進行を抑えるために、やむなく利上げしたもの。コロナ不況のなかでの利上げだから、景気はますます悪くなる。

       ≪11日の日経平均 = 下げ -909.75円≫

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

金融緩和時代の 終わり (上)

2021-05-11 07:34:17 | 金融
◇ カナダは縮小開始、アメリカは市場が織り込み = 世界の中央銀行は09年から大規模な金融緩和政策を続け、株価の歴史的な上昇をもたらした。だがコロナ収束後の景気急回復がみえてきたいま、各国の中央銀行は緩和政策の縮小→停止→引き締め政策への転換を考え始めている。すでにカナダは緩和政策の縮小を開始した。ニューヨーク市場は、政策転換の時期を探り始めている。また日本銀行も、実質的な縮小に踏み切ったと言えるだろう。

・カナダ = カナダ中央銀行は4月21日、国債の買い入れを減額すると発表した。これまで週40億カナダ・ドル(約3400億円)を買い入れてきたが、これを30億カナダ・ドルに減らす。さらに購入額を段階的に減らす方針だ。理由について、カナダ中銀は「コロナの収束に伴って景気の急拡大が予想されること。また最近の住宅価格高騰に対処するため」と説明している。

・アメリカ = FRBのパウエル議長は「政策転換はずっと先のことだ。なぜならコロナ収束後に景気が急回復しても、雇用が完全に回復するまでには時間がかかる。また物価が上昇するかもしれないが、それは一時的な現象だからFRBは我慢して動かない」と、現状維持の方針を繰り返し述べている。しかし市場は、必ずしも納得していない。

なにしろコロナ対策としての現金給付や外出規制などの影響で、国民の消費意欲は膨れ上がっている。そこへバイデン政権の巨大な財政支出が加わる。ワクチンの効果で社会や経済が正常化すれば、消費は爆発的に増加するだろう。すでに1-3月期のGDP成長率は6.4%に急増した。物価も3月には2.3%の上昇。今週12日に発表される4月の消費者物価は、さらに上昇幅を広げるに違いない。FRBが緩和政策の修正を迫られるのは、そう遠くないのでは。市場の大勢は、そう考え始めた。

                      (続きは明日)

       ≪10日の日経平均 = 上げ +160.52円≫

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

今週のポイント

2021-05-10 07:36:55 | 株価
◇ なんでも呑み込むニューヨーク市場 = ダウ平均は先週903ドルの値上がり。終り値は3万4778ドルまで上昇して、またまた史上最高値を更新した。FRBが「市場の心理が悪化すれば、株価は急落する恐れがある」と警告し、4月の雇用統計が予想を大幅に下回っても、株価は急上昇する。景気の回復が遅れれば、FRBの緩和政策は長続きすると解釈してしまう。要するに、完全なバブルの状態だ。

パウエルFRB議長は、この状態を「フロス(粒の細かい泡)だ」と表現した。だから、なかなか破れないというわけである。ここで重要なのは、FRB議長がこの状態をバブルと認定したことだろう。フロスだから、まだ株価の上昇は続くという見方。いや、FRBは緩和政策を終わらせようとしているから、バブルは間もなく終了するという見方。この2つの見方が交錯し始めたことは確かだ。

日経平均は先週545円の値上がり。緊急事態宣言の延長や範囲の拡大で、株価は上がる状態ではない。それでもニューヨークの活況に引きずられて上昇した。しかし終り値は2万9358円どまり。4月5日以来、ずっと3万円の大台に頭を抑えられている。やはりワクチン接種の遅れが、最大のマイナス要因。オリンピックの開催にも、疑問視する声が強まってきた。

今週は11日に、3月の家計調査。12日に、3月の景気動向指数。13日に、4月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは12日に、4月の消費者物価。13日に、4月の生産者物価。14日に、4月の小売り売上高と工業生産、5月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が11日に、4月の消費者物価と生産者物価を発表する。

       ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (60)

2021-05-08 08:03:09 | なし
◇ インド型が東南アジアに拡散中 = 世界の感染者は1億5520万人、前週より556万人増えた。死亡者は324万1798人で、9万0655人増加している。ワクチンの接種が進んだアメリカの死亡者数は1週間で4943人の増加、イギリスは96人の増加にとどまった。その半面、インドの状況は壊滅的。感染者は1日で41万人も増え、死亡者も4000人に近い。1週間の死亡者は2万5336人にのぼっている。

そのインド型変異ウイルスが、東南アジア諸国に拡散し始めた。これまで比較的に感染が抑えられてきたネパール、タイ、カンボジアなどで、陽性者の数が急増している。このためマレーシア、インドネシア、シンガポールなどでは、最大級の警戒体制をとり始めた。東南アジア諸国はワクチンの供給も少なく、今後の推移を注視する必要がある。

日本の感染者は、7日午前0時の集計で累計62万2695人となった。前週より3万3655人の増加。死亡者は1万0625人、1週間で408人増加した。改善の兆しは見えていない。このため政府は東京・大阪・京都・兵庫に対する緊急事態宣言を31日まで延長、さらに愛知と福岡にも範囲を広げることになった。これでインド型ウイルスの拡散を防げるかどうか。

感染率が高く、ワクチンの有効性も下げるといわれるインド型の変異ウイルス。すでにアメリカは予防のため、インドからの入国を禁止に踏み切った。日本は現在、インドからの入国者に対して3日間の隔離を強制している。政府はこれを6日間の隔離に強化する方針だが、それで十分なのだろうか。どうにも手ぬるい感じは否めない。

       ≪7日の日経平均 = 上げ +26.45円≫

       【今週の日経平均予想 = 1勝1敗】     

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