経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

“アキレス腱”は 少子化の進行 / 中国 (下)

2021-08-13 07:23:17 | 中国
◇ これではアメリカに勝てない! = 少子化が進めば、人口は減少する。すでに中国の生産年齢人口(15-64歳)は14年から減り始め、昨年は13年に比べて4%減少した。この傾向は日本の例をみても判るように、経済成長の大きな阻害要因になる。習近平政権にとっては一大事。だから少子化を止めるために、3番目の子どもを産んでもよいことにした。保育所の増設や教育費の軽減なども、すぐに実現されるだろう。

しかし40年にわたった産児制限で、社会の風潮はすっかり変わってしまった。若者は結婚したがらず、晩婚化ガ進む。結婚しても、子どもを欲しがらない。また一人っ子だから、いい大学に入れて給料の高い会社に就職させたい。この親心が、激烈な競争社会を生むことになった。教育費も高騰した。

最近、若者の間で「寝そべり主義」という言葉が流行っている。競争を止めて、一生をのんびり過ごした方がいいという主張だ。こんな風潮が広まった根底には、貧富の格差がある。ごく一部の金持ちがタワマンに住み、高級車を乗り回す。その一方で大部分の国民は、貧困から脱せない。そんな状況を冷めた目で見た結果が「寝そべり主義」なのだろう。

人口が減少するうえに、国民がやる気をなくせば、経済は明かに衰退するだろう。習近平主席が最大の目標に掲げる「アメリカに追い付き追い越す」ことも出来なくなる。ところが少子化の元凶となった「一人っ子政策」は、もともと共産党の発想だった。だから「少子化は悪である」とまでは言えない。せいぜい「第3子はOK」が限度だろう。習政権のジレンマである。

        ≪12日の日経平均 = 下げ -55.49円≫

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

“アキレス腱”は 少子化の進行 / 中国 (上)

2021-08-12 07:08:50 | 中国
◇ 一党独裁でも子どもは増やせない? = 「このままだと、22年にも人口は減少に転じる」「極端な少子高齢社会に突入する」--いま中国では、こうした専門家の警告が大々的に報じられている。1979年に始めた“一人っ子政策”の悪影響が、ここへきて一気に出始めた。このため習近平政権は7月、3人目の子ども出産に対する罰金を廃止、子育て環境を改善するための総合政策を策定することになった。

中国の人口は、いま14億人を超えている。1981年には10億人に達したが、その当時の政権は食料不足などを心配して、人口の増加を抑えることになった。それが“一人っ子政策”である。2人目の出産は罰金や強制手術などで、厳しく抑え込んだ。その後16年からは2人目までを認めたが出生数は増加せず、20年の出生数は1200万人。前年より18%も減少している。

そこで今回は、3人目の出産まで認めることになった。しかし“一人っ子政策”で減少した子たちが、いま子どもを産む年代を迎えている。だから基本的に母数が小さくなっている。加えて結婚や子育ての環境が、きわめて悪くなった。不動産価格の高騰で、結婚するのに住宅が取得できない。教育費がかさみ、とても複数の子どもは育てられない。保育所の数が足りない・・・。

習政権は、保育サービスの拡充・教育の公平性・教育費の軽減など、少子化の進行を食い止めるための総合政策を策定する方針。一党独裁の国家だから、その実現は可能かもしれない。だが実効が上がるかは、きわめて疑問とみる専門家も多い。一人っ子に慣れた社会は、急に生活スタイルを変えられないとみるわけだ。それに結婚・出産は、いかに中国でも強制は不可能だと思われる。

                            (続きは明日)

        ≪11日の日経平均 = 上げ +182.36円≫

        ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

金融緩和の縮小開始は 11月 : アメリカ

2021-08-11 07:58:33 | アメリカ経済
◇ 利上げは来年後半になる? = 金融緩和政策の縮小については「今後、複数回の政策決定会合で議論し決める」--アメリカの中央銀行であるFRBは先週、こんなナゾナゾのような声明を発表した。次の決定会合は9月だが、そこでは決めない。10月は休みだから、その次は11月になる。つまり緩和政策の縮小は11月からだ。市場はこう読み解いた。だが株価はほとんど動かなかった。というのも投資家の多くが、すでにそう考えていたからである。

中央銀行がここまで手の内を明かしても、株価が動かない。これはFRBが時間をかけて、市場に説明を続けてきた成果だろう。たとえば物価や雇用情勢、金利と緩和政策の関係など。市場は十分に洗脳された。物価にしても雇用にしても、重要なのは9月の状態。それが判明するのは10月になるから、11月に政策を決定するのは当然だと考えるようになった。

追い討ちをかけるように、クラリダ副議長が金利引き上げの時期についても言及した。講演で「22年末になれば、利上げの条件は整うだろう」と予想したのである。緩和政策の縮小を完了するまでには、時間がかかる。だから約1年後には、利上げで引き締め政策に転換する。そのころには、景気も順調な上昇過程に入っているだろうというわけだ。

これもFRBの市場説得作戦。いまから来年後半の利上げを、納得させようとしている。だが1年後のことになると、コロナの勢いとも関連して景気の状態がどうなっているのか不鮮明だ。さらにFRB内部でも「インフレに備えるため、利上げは急ぐべきだ」と主張するタカ派と「雇用の回復を図るため、急ぐべきではない」と考えるハト派が対立していることも確か。だから市場もなかなか洗脳されない。FRBは今後どういう説得作戦を展開するのだろうか。

        ≪10日の日経平均 = 上げ +68.11円≫

        ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫         

今週のポイント

2021-08-09 07:20:07 | 株価
◇ ダウは着々と新高値を更新 = ダウ平均は先週273ドルの値上がり。終り値は3万5209ドルで、またまた史上最高値を更新した。利益確定売りをこなして一進一退しながらも、確実に水準を切り上げている。コロナの再拡大は重荷だが、プラス志向は衰えない。FRBによる金融緩和政策の縮小は11月からという見方が固まり、市場は織り込んだ形。このため7月の雇用統計が予想以上に好調だったことも、緩和修正の前倒しにつながるとは受け取らず、素直に好感した。

日経平均は先週536円の値上がり。だが終り値は、まだ2万8000円に届かない。ニューヨークの株価が上がると東京の出遅れ感が強まり、日経平均も買われる。しかし4-6月期の企業決算が予想を上回っても、反応は鈍い。オリンピックの効果も結局は出なかった。それもコロナの再拡大で、景気の先行きが再び不鮮明になったためである。

市場を取り巻くこうした状況は、今週も続きそうだ。ダウは3万5000ドルを踏み固め、さらに上を目指すだろう。一方、日経平均はいぜんとしてコロナに頭を抑えられ、大きくは上がらない。だがニューヨークが堅調な限り、大きく下げることもない。そして市場の次の関心事は、総選挙と政局に移って行く。

今週は10日に、7月の景気ウオッチャー調査。12日に、7月の企業物価。アメリカでは11日に、7月の消費者物価。12日に、7月の生産者物価。13日に、8月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が9日に、7月の消費者物価と生産者物価を発表する。

        ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (73)

2021-08-07 08:14:23 | なし
◇ 感染者は世界2億人、日本は100万人 = 世界の感染者数は累計2億0024万人、この1週間で427万人増加した。死亡者数は425万6850人で、前週より6万9404人増えている。感染者の増加は4月下旬から縮小傾向にあったが、6月末からは再び拡大した。感染者が1億人に達するまでは約1年、そこから2億人になるまでは半年しかかかっていない。最近はインド発症のデルタ型変異ウイルスが猛威を振るっており、新型コロナ・ウイルスの逆襲が始まったようだ。

国別の死亡者数をみると、アメリカが61万4815人でいぜん断トツ。この1週間で3002人増えており、勢いが強まっている。次いでブラジルが55万人台、インドが42万人台、メキシコが24万人台。さらにロシアが15万人台、イギリスが13万人台、イタリアが12万人台、フランスが11万人台。そしてインドネシアが10万人台、ドイツが9万人台と続く。インドネシアは1週間で1万3716人の増加。最悪の状態が続いている。

日本の感染者数は累計98万6453人、この1週間で8万3125人増えた。来週は100万人を超えるだろう。死亡者は1万5241人で、前週より66人増えた。ワクチンのおかげで死亡者の増加は抑えられているが、感染者は全国で1日1万人を突破。東京都は5000人を超えている。政府は緊急事態宣言やまん延防止措置の適用を拡大したが、急激な拡散は収まりそうにない。都市封鎖のための法制整備を急ぐ必要があるだろう。

デルタ型変異ウイルスは、なかなか手ごわい。WHO(世界保健機構)によると、デルタ型の発症は世界135か国で確認された。またアメリカCDC(疾病対策センター)の発表によると、マサチューセッツ州で起きた集団感染の場合、感染者の74%がワクチン接種済みだったという。こうなると、3回目の接種が必要になってくるのかもしれない。コロナの反撃力は、想像以上に強い。

        ≪6日の日経平均 = 上げ +91.92円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     

Zenback

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