経済なんでも研究会

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公明党の重みを計った 給付金

2021-11-11 07:48:21 | 政治
◇ 公明党が所得制限で譲歩 = 1人10万円の給付金を巡る自民党と公明党の交渉が、ようやく決着した。公明党は「18歳以下の子どもに1人10万円の支給」を強く主張。自民党が難色を示して、両党の幹事長が連日のように会談。結局は公明党が譲歩する形となった。政府が19日にまとめる新経済対策に織り込み、総額2兆円あまりの財源も明記する。

争点となったのは、3つの問題。前回のように大半が貯蓄に回ることを防ぐため、現金でなく商品券にするかどうか。バラマキだという批判を避けるために、所得制限を導入するかどうか。貧困世帯への支給をどうするか。このうち支給方法については「年内に現金5万円、来春にクーポン5万円」で決着した。クーポンを準備するには時間がかかる。だから取りあえず、年内は現金で半額という理屈だ。

貧困世帯への給付金は、自民党の選挙公約。これについては「住民税を免除されている世帯に10万円を支給する」ことで合意した。最も揉めたのは、所得制限の導入。自民党が年収960万円で線引きするよう提案した。この制限を設けると、給付金を受け取れる世帯数は1割ほど減少する。このため公明党内では反対論も強かったが、結局は呑むことになった。

仮に総選挙で自民党がもっと議席を減らしていたら、あっさり公明党の主張が通ったに違いない。ところが自民党だけで安定過半数に達したため、今回は自民党内でも強気の主張が多かった。公明党側も譲歩せざるをえなかったと言えるだろう。1人10万円の給付金問題は、図らずも公明党の重みを計る結果となってしまった。

        ≪10日の日経平均 = 下げ -178.68円≫

        ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

金利引き上げは いつ? / アメリカ (下)

2021-11-10 08:17:28 | 金融
◇ 円安が進行しやすくなる = 金融緩和政策の縮小に関して、FRBは苦い経験をしている。それは13年のこと、当時のバーナンキ議長が議会で突然「緩和の縮小」を発表。株価は暴落、ブラジルやインドなどの新興国から大量の資金が流出。世界経済は大混乱に陥った。現在のパウエル議長は、そのときFRBの理事を務め、緩和の縮小を積極的に推進している。

こうした経験もあって今回、パウエル議長は長い時間をかけて緩和縮小の必要性を説明してきた。このため株式市場はFRBの政策を織り込み、株価は下落しなかったと言える。しかし金利の上昇は抑えられず、たとえば10年もの国債の利回りは1.4-1.6%にまで上昇した。すると金利に惹かれてドル資産が買われ、為替市場では各国通貨に対してドルが高くなる。

新興国からは資金が流出し、その国の通貨が下落する。輸入価格が上昇してインフレになるから、各国は防衛のために金利を上げる。今回もロシア・ニュージーランド、・ブラジル・メキシコ・韓国など23か国が、すでに利上げに踏み切った。当然ながら、これらの国では景気の回復にブレーキがかかる。仮にFRBが緩和縮小のテンポを速めれば、新興国への悪影響も増大するわけだ。

日本円の対ドル相場も、1ドル=114円前後にまで下落している。ただ日本の場合はこれまで貿易の黒字基調が続いてきたため、下落の程度は比較的小さい。それでも原油価格の上昇もあって、このところガソリン価格、電気料金のほか、小麦粉や食用油などの値上げが続出。大きな社会問題になりつつある。FRBが予定通りに緩和の縮小を続ければ、さらに円安が進行しやすくなることは明かだ。しかも日銀は利上げが出来る状況ではない。

        ≪9日の日経平均= 下げ -221.59円≫

        ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫


金利引き上げは いつ? / アメリカ (上)

2021-11-09 08:48:00 | 金融
◇ 金融政策は緩和から引き締めへ = アメリカの中央銀行であるFRBは先週3日の政策決定会合で「今月から金融緩和政策の縮小を始める」ことを決定した。FRBはコロナ不況に対処するため、昨年3月から毎月800億ドルの国債と400億ドルの住宅ローン担保証券を市場から買い入れてきた。それを今月から国債は100億ドル、住宅証券は50億ドルずつ減らして行く。いよいよ緩和政策の手仕舞いが始まったわけだ。

この方針通りに緩和の縮小が進行すると、来年6月には買い入れ額がゼロになる計算だ。そこからは国債や住宅証券の売り戻しと政策金利の引き上げ、つまり金融引き締め政策が始まることになる。市場では早くも「来年後半に2回の利上げ」という見方と「中間選挙の前にはないから、年末に1回の利上げ」説が交錯している。

だがFRBが開示したのは、あくまでも現時点での方針だ。実際この方針通りに進んで来年6月に量的緩和が終了する可能性は、きわめて小さい。というのも仮にアメリカ経済の回復が予想より強く物価の上昇が大きければ、FRBは緩和の縮小テンポを速めるに違いない。逆に回復が弱く物価が低下すれば、縮小のテンポを遅くすることになるだろう。

アメリカ経済がどちらの方向に傾くかは、まだ判らない。今後その判断を下すには、毎月の雇用統計と物価指数を注視して行く必要がある。ちなみに10月の失業率は4.6%、非農雇用者の増加数は53万1000人。また9月の消費者物価は前年比5.4%の上昇だった。特に物価の上昇率が高いと、FRBは緩和縮小のテンポを速めることになる。

                          (続きは明日)

        ≪8日の日経平均 = 下げ -104.52円≫

今週のポイント

2021-11-08 07:59:00 | 株価
◇ 怖いもの知らずのNY市場 = ニューヨーク市場の株価は、どこまで上がるのだろうか。ダウ平均は先週508ドルの値上がり。5週間の連騰で、この間の上げ幅は2000ドルに達した。ナスダック、SP500指数とともに、連日のように史上最高値を更新している。特に3日はFRBが量的金融緩和の縮小を発表したにもかかわらず、株価は上昇した。

その日、ダウ平均は朝方から160ドルほど下げていた。ところが午後になってFRBの発表があると、急速に反発した。「FRBの発表は予想通り、パウエル議長は利上げに慎重な姿勢をみせた」というのが、反発の理由だ。怖いものなし。何でも呑み込んでしまう。こうしてニューヨーク市場は、中国経済の不安・エネルギー価格の急騰・コロナの再発・金融緩和の終了など、いくつもの障害を乗り越えることになった。

日経平均は先週719円の値上がり。終り値は久しぶりに3万円に近づいた。予想に反して、総選挙で与党が大勝したことを好感した。さらにニューヨークの活況が、東京にも波及している。ただFRBの緩和縮小で、円相場は下落しやすい。加えて原油価格も高値を維持しそう。今後の景気と企業収益に悪影響を及ぼしそうだから、株価の上値は重い。

今週は8日に、9月の景気動向指数。9日に、9月の毎月勤労統計、10月の景気ウオッチャー調査。11日に、10月の企業物価。アメリカでは9日に、10月の生産者物価。10日に、10月の消費者物価。12日に、11月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、10月の消費者物価と生産者物価を発表する。

        ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (86)

2021-11-06 07:46:52 | なし
◇ ウイルス自殺説は本当なのか = 世界の感染者は累計2億4812万人。この1週間で310万人増加した。死亡者は502万2162人で4万9431人の増加。感染者の増加数は4週間ぶりに300万人を超え、10月以降はやや増加の傾向を強めている。また死亡者の増加数は前週とあまり変わらなかったが、累計は500万人台に乗せた。ロシアと東欧諸国、イギリス、中国、韓国などで悪化している。

アメリカの死亡者は累計75万人台に。この1週間で9193人増えたが、前週に続いて1万人を割った。ブラジルの死亡者は累計が60万人台、インドは45万人台、メキシコは28万人台。あとロシアが23万人台、インドネシアとイギリスが14万人台、イタリアが13万人台、イランが12万人台、フランスが11万人台と続いている。このうち8月には週間1万人を超えていたインドネシアが、この1週間は167人にまで減少したのが目立っている。

日本の感染者は累計172万3249人。この1週間で5593人増加した。死亡者は1万8294人で58人の増加。感染者の増加数が拡大したのは東京都の集計ミスを修正したためで、増加数の縮小はまだ続いている。一方、死亡者の増加数は9月上旬の週間433人から、8週連続で縮小した。ここまでは劇的な改善を実現してきたが、冬を控えてどう推移するのか。

日本でコロナ流行の勢いが急停止したことについて、ワクチン接種が進んだ結果だとみる人が多い。だが日本より接種率が高い韓国での再拡大、接種率が低いインドネシアでの急速な鎮静化をどう説明できるのか。またウイルスの自殺説も紹介されているが、なぜ日本やインドネシアのウイルスだけが自殺するのか。要するに真相はまだ不明。世界的には勢いを強めつつあるので、日本も安心は禁物だろう。

       ≪5日の日経平均 = 下げ -182.80円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】    


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