経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

回復はゆっくりがいい : インバウンド

2023-03-18 07:49:46 | 外国人
◇ 人手不足でサービス低下の恐れ = 観光局の発表によると、ことし2月の訪日外国人客数は147万5300人だった。コロナ前の19年2月に比べると56.6%にまで回復している。1月の水準とほぼ同じだが、日数が少なかった分だけ増加したと考えていい。3月は中国人に対する水際対策も解除されたので、150万人を超えることは確実だろう。この調子なら、23年は2000万人に達するという予測も出ている。

いちばん多かったのは韓国人で56万8000人、19年2月比では79%まで回復した。次いで台湾、アメリカの順。東南アジアの4か国は実数は少ないものの、そろってコロナ前の水準を上回った。なかでもベトナムからの旅行客は5万5800人で、19年2月の実績を41.7%上回っている。フィリピン、インドネシア、シンガポールもコロナ前を超えた。

大きく出遅れているのは中国。旅行客数は3万6200人にとどまり、19年2月比ではわずか5%にすぎない。これは中国が日本向けの団体旅行を規制、日本側もこの2月まで中国からの入国者に水際対策を実施していたため。この両方の規制が解除されたため、3月は中国からの旅行客が目立って増える可能性が大きい。

政府も関連業界も、ことしの外国人客数がV字型に回復することを期待している。だが重大な問題が1つ。それは受け入れる業界の深刻な人手不足だ。各種の調査をみても、飲食物の調理、接客、給仕の分野では、求人倍率がものすごく高い。この点はコロナ前と様変わりな状態となっている。V字型の回復はいいが、「コロナ後の日本の‟おもてなし”は悪くなった」と言われたら一大事だ。インバウンドはゆっくり回復し、長続きするのが何よりだろう。

        ≪17日の日経平均 = 上げ +323.18円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】       

「5%成長は容易でない」 : 中国新首相

2023-03-17 07:36:32 | 中国
◇ 雨は止んだが雲はまだ厚い = 中国統計局は15日、ことし1-2月の主要な経済統計を発表した。それによると、小売り売上高は前年比3.5%の増加。昨年10-12月のマイナスからプラスに改善した。ゼロ・コロナ政策を終了、移動制限のない春節(旧正月)を迎えたことが大きい。飲食業の売り上げは9.2%も増加した。しかし耐久消費財の売れ行きは不振で、自動車は9.4%の減少にとどまっている。

鉱工業生産は前年比2.4%の増加。昨年12月の1.3%増から、やや拡大した。ただ22年の3.6%増には及ばず、自動車は14.0%の減少だった。また固定資産投資額は前年比5.5%の増加で、22年の5.1%増を上回った。うちインフラ投資は9.0%も増加したが、不動産投資は5.7%の減少で、いぜんとして不況が続いている。

経済の正常化で、全体としては回復傾向に。だが移動規制が解除された割には、勢いが鈍い。「雨は止んだけれども雲は厚く、この先どんどん天気が良くなるかは見通せない」と言ったところ。新しい首相に任命されたばかりの李強氏も記者会見で「成長率5%という目標を達成するのは容易ではない」と述べている。新首相が最初の会見で、こんな弱音を吐くのも珍しい。

というのも現在の中国経済は、実に多くの問題を抱え込んでいるからだ。たとえば構造的な不況に陥った不動産業、地方政府の財政悪化・財源難、都市部と地方の格差拡大、若年層の高失業率。そして少子高齢化の進展と人口の減少、年金制度の破たん・・・。数え上げればキリがない。この難局をどうやって切り抜けるのか。新内閣の手腕が問われている。

        ≪16日の日経平均 = 下げ -218.87円≫

        ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
   

とうとう金融不安の影 / アメリカ

2023-03-16 08:03:23 | 金融
◇ FRBは金利を上げられるのか? = アメリカでは中堅の銀行が相次いで倒産、金融不安の影が色濃くなった。まず10日に倒産したのはカリフォルニア州のシリコン・バレー銀行。保有資産の総額は28兆円ほどで、全米16番目の規模。次いでニューヨーク州のシグネチャー銀行が12日に倒産。こちらの総資産は約15兆円、全米29位だった。財務省とFRBは直ちに「すべての預金を保護する」と発表、いまのところ金融危機とか信用不安といった雰囲気は出ていない。

FRBによる金融引き締めで金利が上昇、保有する国債などの価格が大幅に下落した。これが両行に共通する倒産の原因である。つまり引き締め政策の副作用が、初めて発生したと言っていい。ただ金融当局による素早い対応で、直接的な連鎖倒産の発生は避けられそう。しかし同じような原因で、いくつかの銀行が行き詰まる可能性は残っている。

さらに恐ろしいのは、金融不安が低格付けの債券に飛び火すること。そうなれば金融当局にも火消しは難しくなり、事態はリーマン・ショックと似てくる。その可能性は、決して小さくはない。そんな状況でFRBは来週21-22日にFOMC(公開市場委員会)を開くが、はたして政策金利を引き上げることができるのかどうか。

日本経済への影響も、すでに大きく現われている。安全資産として円と日本国債が買われ、円相場が上昇し金利は下落した。また日銀が3か月ぶりにETF(上場投資信託)を購入したが、株価は大きく下落している。この先FRBが利上げを見送るとすれば、アメリカではインフレの長期化が懸念されるだろう。その影響も、日本経済にはまた違った風圧となって及んでくる。

        ≪15日の日経平均 = 上げ +7.44円≫

        ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

3四半期ぶりにマイナス : 企業の景況感

2023-03-15 07:34:05 | 景気
◇ 先行き見通しは期待と不安が混在 = 内閣府と財務省は13日、1-3月期の法人企業景気予測調査の結果を発表した。それによると、大企業の景況判断指数はマイナス3.0で、3四半期ぶりにマイナスを記録。このうち世界経済の停滞を懸念した製造業はマイナス10.5、コロナ規制の解除を好感した非製造業はプラス0.6となっている。中小企業はマイナス17.4だった。

法人企業景気予測調査は、内閣府と財務省が約1万1000社を対象に共同で実施している。3か月前と比べて「景況感が上昇した」と回答した企業の割合から「下降した」と回答した企業の割合を差し引いた数値が景況判断指数。今回の調査で「上昇した」と回答した業種は、製造業では自動車、同部品、生産機械など。非製造業ではサービス、建設などだった。

景況判断の先行き見通しについては、大企業が4-6月期はプラス0.7、7-9月期はプラス5.2と急回復。製造業はマイナス0.7→プラス6.0、非製造業はプラス1.4→プラス4.8へ。また中小企業もマイナス3.1→マイナス1.2と、マイナスではあるものの改善する見通し。アメリカや中国の景気回復、あるいは国内での経済正常化に期待する形となっている。

ただ経常利益の予測をみると、企業の見通しはやや慎重だ。全産業の22年度の見通しは3.5%の増益だが、23年度は1.2%の減益となる。この調査では、その理由までは聞いていない。しかしウクライナ戦争の行く方など不透明な環境が続き、特にエネルギーや資源の価格動向には不安も多い。このため企業の先行き見通しには、期待と不安が混在しているのではないだろうか。

        ≪14日の日経平均 = 下げ -610.92円≫

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

パウエルFRB議長の イラ立ち

2023-03-14 07:38:56 | アメリカ
◇ 金融政策が行き詰まる恐れ = ついに金融機関の倒産が発生した。経営が行き詰まったのは、カリフォルニア州のシリコン・バレー銀行。総資産は約28兆円で、全米16位の規模。保有している国債などの値下がりで巨大な損失を被り、取り付け騒ぎにあって10日に倒産した。FRBの利上げで国債など債券の価格が急落、それが引き金となったのだから、金融引き締め政策の大きな副作用が出たことに間違いはない。

それより少し前の7日、パウエルFRB議長は議会で重大な発言をしていた。その内容は「インフレ圧力が想定を上回っているので、利上げペースを加速する用意がある」というもの。これで次回の利上げは0.5%になるという見方が強まり、株価は大幅に下落した。ただパウエル議長はイラ立ちを隠して「これから発表されるデータしだいだが」という条件を付けることも忘れはしなかった。

そこで10日発表の2月の雇用統計に、関係者の注目が集中した。ところが非農業雇用者は31万1000人の増加で予想を上回ったが、平均時給の伸びは前月比0.2%増に鈍化。景気の方向を示すデータにはならなかった。このため現在は、きょう14日に発表される2月の消費者物価に大きな関心が寄せられている。

もし物価の伸びが明確に鈍化していれば、銀行の倒産もあって、FRBは利上げのペースを加速する必要はない。だが仮に物価上昇の勢いが衰えなかったとしたら、FRBは0.5%の利上げに踏み切るべきなのか。そうした場合、さらなる銀行の倒産を誘発する危険はないのか。でも利上げを0.25%にとどめれば、インフレは収まらないかもしれない。こうして金融政策は袋小路に入り、行き詰まる危険性が高まってきた。パウエル議長がイラ立つのも、無理はない。

        ≪13日の日経平均 = 下げ -311.01円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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