経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2023-03-13 07:57:46 | 株価
◇ 2度の衝撃で大幅安 = ダウ平均は先週1481ドルの値下がり。ことし最大の下落で、終り値は3万2000ドルを割り込んだ。週初と週末に大きなショックに見舞われたことが原因。最初は7日、パウエルFRB議長が議会で「利上げペースを加速する用意がある」と発言したこと。あとは10日に、SVBフィナンシャル・グループが巨額の損失を発表。さらにシリコン・バレー銀行が倒産したというニュースだった。

日経平均は先週217円の値上がり。ニューヨーク市場の軟調にもかかわらず、週の前半は連騰した。木曜日には、半年ぶりの高値を付けている。コロナによる行動規制の解除、インバウンドへの期待、それに円安の進行が、日本株の独歩高を演出した。金曜日には大きく反落したが、それでも2万8000円台は死守している。

FRBは来週21-22日のFOMC(公開市場委員会)で、利上げを決定する。上げ幅が0.5%に拡大されるかどうかが、最大の関心事。今週14日に発表される2月の消費者物価が、市場では注目のマト。さらにシリコン・バレー銀行の倒産が、連鎖を惹き起こすかどうか。いずれにしてもリスクは強まるに違いない。東京市場はそうしたニューヨークを眺めながら、独歩高の余熱を保持できるか。抵抗力が試される。

今週は13日に、1-3月期の法人企業景気予測調査。15日に、2月の訪日外国人客数。16日に、2月の貿易統計、1月の機械受注。17日に、1月の第3次産業活動指数。アメリカでは14日に、2月の消費者物価。15日に、2月の小売り売上高、生産者物価。16日に、2月の住宅着工戸数。17日に、2月の工業生産、3月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が15日に、2月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (152)

2023-03-11 08:30:17 | なし
◇ パンデミックは終息の可能性も? = 世界の感染者は累計6億7688万人、この1週間で79万人増加した。この週間増加数は過去最少。死亡者は680万4503人で、週間6233人の増加だった。増加数は8週連続で縮小している。最近のピークだった1月上旬に比べると、ほぼ3分の1になった。この数字からみる限り、コロナのパンデミック(世界的大流行)は確実に終息へと向かっている。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計112万3299人。この1週間で2451人増加した。続いてブラジルが69万人台、インドが53万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが22万人台、イタリアが18万人台、ドイツ・フランス・インドネシアが16万人台となっている。アメリカ・ロシア・ドイツが微増したほかは、みな減少した。イギリスは22万人台に乗せている。

日本の感染者は累計3332万6123人、この1週間で6万7553人増加した。前週より1万1662人少なく、増加数は8週連続で縮小した。死亡者は7万3068人、週間389人の増加だった。この増加数は最近のピークだった1月上旬に比べると、2割以下となっている。行動規制やマスク着用をほぼ解除したにもかかわらず、コロナの勢いは急速に衰えた。

世界でも日本でも、コロナは終息しつつあるように思われる。より強力なワクチンが開発されたわけでもなく、各国はむしろ経済の正常化を目指して規制を解除した。過去の経験からすると、コロナはピークを過ぎると自然に鎮静化する。ただ新しい変異種が生まれると勢いを取り戻してきた。今回はまだ変異種の発生はない。このまま行けばコロナの消滅も--と考えるのは、甘すぎるだろうか。

        ≪10日の日経平均 = 下げ -479.18円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     

賃上げ>物価高 は 藪の中

2023-03-10 07:34:05 | 賃金
◇ 1月の実質賃金は記録的な減少 = 実質賃金の減少率が、歴史的な水準にまで拡大した。厚生労働省が発表した1月の毎月勤労統計によると、1人当たりの現金給与総額は27万6857円で前年比0.8%の増加だった。しかし物価が5.1%も上昇したため、実質賃金は4.1%の減少となった。この減少率は14年5月と09年12月に、ほぼ並ぶ。14年は消費税の引き上げ、09年はリーマン・ショックの直後だった。

現金給与総額というのは名目賃金、つまり手取りの収入だ。しかし物価の高騰で、実際に買えるモノの数量は4%ほど減ってしまったわけである。さらに22年の統計をみても給与総額は2.0%増加しているが、やはり物価の上昇には追い付かず実質賃金は1.0%目減りした。それだけ日本人の生活水準は下がったとも言える。

政府はこうした状況を是正しようと、経済界に賃上げの実施を強く要請している。このため大企業のなかには、5%程度の賃上げを決めたところも出始めた。しかし中小企業の多くは1-2%程度の賃上げがやっと、賃上げできない企業が大半だ。したがって、働く人全部の賃金水準が物価上昇分を超えることは、どう考えても不可能に近い。

とすれば実質賃金をプラスにするためには、物価の上昇を抑えるしかない。そこで政府は電気・ガス料金や小麦の価格を引き下げるために、補助金を支出している。それも効果なしとは言わないが、いつまで続けられるのか。その一方で日銀は相変わらずゼロ金利に固執、円安が進んで輸入物価は再び上昇気味。政府には確固とした物価対策が、全く見受けられない。

        ≪9日の日経平均 = 上げ +178.96円≫

        ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

‟経済大国”から脱落する 日本 (下)

2023-03-09 08:08:35 | 景気
◇ ドイツとインドに抜かれ世界第5位に転落? = 主要国の22年のGDP統計が出揃った。ベスト5を並べてみると、①アメリカ 25兆3468億ドル②中国 19兆9116億ドル③日本 4兆9121億ドル④ドイツ 4兆2565億ドル⑤インド 3兆5347億ドル--となる。これをマラソンに例えると、トップのアメリカは順調な走り。ドイツとインドが猛烈に追い上げ。そして中国は遅れ気味、日本は顔が上がって苦しそう。と言ったところ。

ここからも判るように、日本とドイツの差はわずか6500億ドルほど。驚くべきことは、2002年時点では日本のGDPがドイツの2倍以上もあったという事実だ。その後の20年間、ドイツはGDPを2倍に拡大。一方、日本はGDPを1%しか増やせなかった。多数の専門家が「ことし中に逆転するだろう」と観測している。またIMFは「インドが27年には日本を追い越す」と予測しているから、そうなれば日本は世界第5位に転落することになる。

個人の豊かさを示す1人当たりGDPでみると、日本の状態はもっとずっと悪い。内閣府の集計によると、21年の1人当たりGDPは3万9803ドル。OECD(経済協力開発機構)に加盟している38か国中で20番目だった。韓国の1人当たりGDPはほぼ日本と並んだとみられ、ことし中には追い越されそう。またOECDには加盟していない台湾にも抜かれることは確実だ。

こんな状況では、とても‟経済大国”などとは言えないだろう。どうして、こんなことになってしまったのか。生産性の向上に失敗した企業経営者のせいなのか。それともおカネを貯め込んで使わない消費者のせいなのか。あるいは政策を間違えた政府・日銀のせいなのか。だれ1人として、こんなことは考えていないようだ。

        ≪8日の日経平均 = 上げ +135.03円≫

        ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

‟経済大国”から脱落する 日本 (上)

2023-03-08 07:52:14 | 景気
◇ 米中のGDP逆転はなくなった = 中国では5日に北京で開幕した全国人民代表大会の冒頭、李克強首相が「23年の経済成長目標を5%前後とする」と発表した。22年は「5.5%前後」を目標に掲げたが、ゼロ・コロナ政策の影響で景気が低迷、3.0%の成長に終わった。このため23年は確実に達成できるよう、目標を引き下げたものと思われる。どうやら中国も高度成長の時期を過ぎて、‟中成長国”の仲間入りをしたらしい。

国家統計局が2月末に発表した国民1人当たりのGNI(国民総所得)は1万2608ドル。GNIというのはGDPに海外で得た利益を加算した統計。世界銀行は現在、1人1万3205ドル以上のGNIがある国を「高所得国」と定義しているが、もう少しのところで届かなかった。中国政府はことし5.0%の成長を達成することで、この「高所得国」の仲間入りを目指すことになる。

ただ‟中成長国”になったことで、アメリカのGDPに追い付くことは難しくなった。たとえば日本経済研究センターは20年時点の予測で「早ければ28年にも米中のGDPは逆転」と推計。21年には「33年に逆転」と先延ばしした。これを22年時点の予測では「逆転する可能性はなくなった」と修正している。時間の経過とともに、中国の予想される成長率が低下したために他ならない。

代わって台頭してきたのがインド。22年の成長率は、コロナやエネルギー・資源の高騰にもかかわらず6.7%の高さを維持した。ドル・ベースの名目GDPは3兆3800億ドル。かつての宗主国だったイギリスを上回り、世界第5位に浮上。日本の約8割にまで増大している。インドの高成長はなお続くとみられ、IMF(国際通貨基金)では、27年に日本のGDPを追い越すという予測を発表した。

                       (続きは明日)

        ≪7日の日経平均 = 上げ +71.38円≫

        ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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