食事が始まろうとする寸前に、気分不良でダウンしたMさん。
現地ガイドのKojiさんが、右手首の脈を診ようとするのだけれど、脈が取れない。
介護経験のあるFさんに交代しても脈が取れない。
首の大きな動脈を探して、やっと脈拍の計測ができたけど、なにしろ脈圧が弱いらしい。
心拍数は1分間70回程だし、胸が痛いとか苦しい訳ではないのだけれど、寒気と冷や汗、それに頭のふらつきを訴えているんです。
もう、ホテルのオーナーやレストランスタッフのおばさん(おねぇさんかな? 40代くらいにみえたから、おばさんでいいか)も含めて、食事会場は騒然です。
(そういえば、その時、隣のテーブルにいた外国人夫婦はどうしてたかな? まったく記憶に残っていませんね)
救急車を呼んで、一晩入院させるしか無いのか? でも、言葉の通じないユタの病院で一人置いてけぼりになるし、その上、せっかくのツーリングも当然中止になるよね。
でも、命には代えられないし、救急車を呼ぶかなぁ。 【でも】ばっかりですが。
それを嫌がるMさんは、『大丈夫だから』と言い張りますが、気持ちはわかるけどねぇ。 無理して大事に至ったりすると、大変な事だし。
レストランのおばさんは、「いつでも救急車を呼べるけど、どうするの?」と聞いてくるし。
さて、決断を下さないといけないのだけれど。
突然Mさんが、『痛てて 足がつった』というので、さわってみるとふくらはぎがカチカチに硬直しています。 下腿三頭筋といわれる部分ですね。
足首を曲げる方にゆっくりと力をかけて、筋肉をゆっくりとのばして行きます。同時に、筋肉を圧を加えて、硬直をとってやると、なんとか回復しました。
ところが、次に太ももが(大腿四頭筋といわれる部分ですね。)、次にもう一方の足のふくらはぎ、そして太ももと、脚全体が大変な事になってきました。
これは、水分や塩分が不足した症状で、カチカチに硬直しています。 こりゃあ、痛そうだ。
冷静になれ!慌てるな、俺!
ここで、冷静に症状の分析。って、慌てていなければ、すぐに判る事なんだけど、その場では、なかなか冷静な判断ができなかったんですよ。
外国でのツーリング中という、特殊な環境だったし。(と言い訳のような)
めまいでしょ、立ちくらみでしょ。こむら返りなどの筋肉の硬直に、大量の汗でしょう。
それに、頭痛と吐き気がして、体がだるくて力が入らない、そして集中力の低下
そうか、熱中症の症状そのままじゃないか。
あまりの暑さで、水分や塩分、糖分などが失われて、脱水症状を起こしかけているんだ。
意識障害や運動障害まで出ているようだと、速効で救急車要請、そして入院させるところですが、この程度なら熱中症としては中度の症状のようだし、一晩様子をみてから判断することでも良さそうです。
そこで、カップに水を貰って、テーブルの上にあった食塩とコーヒー用の砂糖をぶち込んだ簡易スポーツドリンクを作製。 頭を上げられないMさんのために、Hさんがストローで少しずつ飲ませてやります。
一番冷静だったのは、すぐ隣に座っていたYさん。 ビールを楽しんで鱒をメインにした食事もしっかりと食べていましたね。
このあとも、煙草も焼酎も楽しめましたけど、Yさんはその後が大変でした。って、ここらあたりの結末は、また後からブログに書き込みます。
大量に飲まさないといけないのだけど、幸い、アメリカサイズのカップはでかい。
日本のLLサイズは十分にあるんです。 Mさん、良かったねぇ。
コップ2杯のドリンクを飲ませて、少し体調が改善したMさんをベッドで休ませる為に、少し離れたキャビンに連れて行かなければいけません。
症状を心配してくれるレストランスタッフのおばさんに、「救急車はいらないから」と連絡して、現地ガイドのKojiさんが小型の4輪バギーを手配しに行ってくれた。
ホテルのオーナーが運転してきたのは、なんとKawasakiの4輪バギー車。 それに、『一人で歩ける』と介助をいやがるMさんを強引に乗っけて、キャビンまで運びました。
今夜、一晩中介護するのは、同室のHさんです。 頑張ってね。
とりあえず今夜一晩様子を見てみる事
明朝、症状の改善がなかったら、病院に入院になること。
症状が改善しても、明日1日はバイク禁止、サポートカーで移動すること。
を納得してもらいました。 なかなか、説得は大変でしたけどね。
その後、参加者全員で安全運転と体調管理、特にのどが渇かなくてもこまめに水分補給 !を確認しあって、部屋に戻りました。
翌日からのツーリングで、一人も脱水症状を訴えるメンバーが出なかったのは、Mさんのおかげなのかもしれませんね。(笑)
さすがに、この間の出来事は、だれも写真をとっていません。 それだけ泡を食っていたと言うことでしょうか。
誰かひとり、記録係を指名しておけば良かったかな。と、今だから言えます。
さて、満天の星でも眺めてから、寝ましょうかね。 ミルキーウェイがきれいな夜です。