この度の、ホワイトハウスでの会談は、その背景となる状況なども含めて、およそ人間社会の理念は
見られず、動物の「強い者が勝つ」道理だけの世界であることが思い知らされ、まことに冷ややかな
淵に追いやられた感じがしています。
あれは、1980年頃のことでした。 40数年前のことで、詳細なことは忘れていますが、
当時私は、今日のインターネットのような情報通信サービスの開発に携わっていました。
このサービスの活用面としてネットを通してショッピングする、いわゆる通信販売を
カタログやテレビショッピング等と並んでネットで行う EC(Electronic Commerce=ネット
通販) の可能性に大きな期待を寄せていました。
ある時、流通・マーケティング関連の論文を広く観ていましたら「ネット活用による
新しい販売方式」に関する論文に出会いました。 今では全く当たり前のことですが、
当時はまだインターネットは普及しておらず、パソコンもまだでしたから、そのような
論文は先駆的だったのでした。
その論文の著者は、高校時代同期でクラブ活動も同じだった T君と同姓同名だった
ので、もしや彼かもしれない? と思いつつも、彼は文系で私は理系だったこともあり、
卒業後は全く音信が途絶えていて同一人物かどうか確かめるすべもないまま過ごして
いました。
(ネット画像より)
しかし、私の目指す新しいネットワークの活用分野に関する学術面からの取り組みが
発表されていることにたまらなく興味があり「これはチャンスの一つかもしれない」と
いうことから、この論文についてさらに意見交換したい(するべき?)と、面会の機会
を作ることにしたのです。
論文の著者は、神戸大学経営学部教授でしたから、面会の場所を大阪・法円坂のKKR
レストランとして、お昼の会食にお誘いするべく手配をお願いしました。 この時、
意見交換の目的は勿論ありましたが、同姓同名の著者が旧友であるかどうかを確かめる
ことも同じくらい重要な目的だったのです。
私は東京勤務でしたから、その日、少し早めに会食の場所にて待機していました。
約束の時刻少し前に、その人が姿を現したのです。 「いあやぁ、なつかしい~」高校
同期の T君だったのです! 20数年ぶりの再会というのに、二人ともただこの一言だけ
が相互の挨拶で、名刺交換すると、食事もそこそこにお互いが現在取り組んでいる事案
の紹介が留まるところを知らず、まるで発表会のような取り組み内容と将来に向けた
可能性・・つまりは新しいサービスの実現に向けた熱い思いが、販売市場動向と技術
動向の両面から合致した瞬間だったのです。 この時の感動は今でも思いを熱くして
くれるのです。
(ネット画像より)
それからというもの、相互にやり取りが頻繁になると共に、関西方面で彼と知己の
あるかなりのポストにある方々に紹介され、私のところにわざわざ訪ねてこられるよう
になりました。
私などとは分野の違う分野の、なかなかお目にかかれそうもない方々が、「先生の
ご紹介で・・」という先方からのアポイントを多くいただくようになり、私としても
知り得ない分野の情報を多く聞ける良い機会が得られたのです。
当時私は開発部隊の責任者をしていましたが、このような部外の方々をお通しする
ような応接室はなく、お茶出しも出来ない環境でしたので、一計を案じ、当時霞が関
ビル30階にデータ通信関連の展示ショウルームがあり、ここの所管とは組織が違って
いましたが、許可を取りつけて、もっぱらこのようなお客人の対応に「霞が関ビル30階」
を利用させてもらったものでした。立派な応接室に担当嬢のお茶サービスもしてもらっ
ていました。
このような T君(公では T先生とよんでしました)とのご縁で、これからの流通(物販)
とネットワークの活用に関するシンポジウムにも同席するようになり、関西地方のテレ
ビの番組にも鼎談で出演したり、大学研究発表会のコメンテータや更には商工会議所
での講演、兵庫県未来プロジェクト会議などにも参画するなど活動範囲が広がりました。
T君との交流は益々密になり、私がその後金沢に転勤してからも、現場社員の研修の
一環に彼(先生)の講話をお願いしたり、先生の活動のいくつかに同行させてもらったり
しました。
(ネット画像より)
あの大阪での会食から10数年にわたって相互の問題意識の提供と充足の為、あるいは
解決方法模索の為などで交流が続いて、もはや流通(物販)面だけでなく、広くマーケ
ティング分野とネットワークの役割みたいなコラージュへと進展していったのです。
何十年振りかの懐かしい出会いも楽しいかけがえのないチャンスではありますが、
このような旧友との出会いはあまりないかもしれません。この記事を書いている時も、
当時のトキメキが思い起こされてくるのです。
André Rieu - O Fortuna (Carl Orff - Carmina Burana)