蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

共想法  (bon)

2024-08-25 | 日々雑感、散策、旅行

 『共想法』は、2006年に大武美保子氏(理化学研究所革新知能統合研究センター、
チームリーダー)が提唱した「認知症予防を支援する」手法です。手元の会報記事
に発表されていました。

 認知症は防ぎようがない・・少し以前の話では、手指などをよく使うとボケない
などと言われていましたが、あまりそうとも言えないかもしれない・・何もしない
よりは良いかもしれませんが、その後これについての発表などはあまり聞かれなく
なりました。

 認知症有病率は、80~84歳で20%、85~89歳で40%、90~94歳で60%、95歳
以上で80%と推計されていますから、私などもどんどんと多数派の領域に近づいて
きていて、「どうすればいいの?」みたいな感覚に責められることがあります。

 認知症の原因の9割程度を占めるのは、アルツハイマー病と脳血管障害だそうで、
会報記事では、「共想法」に入る前に、一般的なこれまで言われている認知症予防
方法について述べられています。すなわち、

 認知症を予防する対策は、アルツハイマー病と脳血管障害を防ぐことで、これら
の対策は身体と脳の老化を防ぐことと同等であるとされ、①適度な運動をすること、
②食事を工夫すること、③十分な睡眠をとること で、極めて一般的なことですが、
これは「生理的アプローチ」と呼ばれています。
 つまり、適度な運動と十分な睡眠で、神経細胞内の老廃物を体外に排出される
ことが促進され、食事は抗酸化作用のある緑黄色野菜などを積極的に摂る、そして
運動に必要な骨と筋肉のためにタンパク質、カルシウム、ビタミンDを積極的に摂る。
血管の柔軟性を保ち、細胞の代謝が妨げられないように糖分を摂り過ぎないように
する‥ことなんですね。 生活習慣として取り入れることでアルツハイマー病と
脳血管障害の確立を下げることが知られています。

 そしてもう一つは、「認知的アプローチ」と呼ばれている、体験記憶、注意分割
機能、計画実行機能、言語流暢性などの認知機能を、知的活動や社会的交流によっ
て言語能力を高める方法だとあります。 

 一般に、高齢期に低下しやすく、極度に低下すると認知症の症状を示すとされる
のが、体験記憶、注意分割、計画力の三つの認知機能だと言われています。これら
をバランスよく活用することができれば、廃用性の機能低下を未然に防ぐことが
できると考えられているのです。


 これは、たとえ認知症にかかったとしても、認知症の症状が出るのを防ぎ、普通
の社会生活を送ることが出来る効果を持つとされているのです。そして、社会的
交流の多い人については、そうでない人に比べて認知症を発症する確率が低いこと
が実証されているとあります。

 このような実証を踏まえて、冒頭に述べましたように2006年に『共想法』が考案
されたというのです。共想法は、会話に一定のルールを設定し、特定の認知機能を
活用する会話を支援する手法だとあります。

        理化学研究所体験会
         (ロボスタより)

 具体事例としては、ディスプレイに向かって4人が参加し、設定されたテーマに
沿った写真を提示し、その写真について撮影時の体験を踏まえた話題を提供する。
これに対して、聴く、質問する、答える時間と順序を決めて行う‥というもので、
それをサポートする支援システム(ロボット)が開発されているそうです。

 写真を撮影した時の体験を説明することで体験記憶を、写真を見ながらお互いに
よく聞き、考え質問することで、注意分割機能を、決められた時間内に話すことで
計画実行機能を活用するのです。 この手法は、だらだらとおしゃべりするのでは
なく、順序を決めて時間内に説明したり質問したり・・と、一定のルールに従って
行うところに、適度な緊張を呼び起こし意識を確実にする効果があるのでしょうか? 
 ただ、質疑応答の時間は、ある程度の自由度がありそうで、長々話す人、ほとん
ど話さない人などが出ないように支援システム(ロボット)が介入するようです。 
4人グループで実施して、約30分程度で終わるとありました。

        (youtubeより)

 このような実験を週1回 3か月、計12回実施した結果の脳のMRI分析から、言語
流暢性に関する脳の領域間や大域的な領野間のつながりが良くなり、記憶機能や
実行機能を司る脳の領域の体積が増加する可能性があることが明らかとなったと
あります。また、語彙が豊かであるほど全般的な認知機能が高いことも分かった と。

 今後さらにこのような手法を広めて行くために、支援システムとして共想法対話
ロボットやスマホアプリを用いた遠隔共想法支援システムなども開発され実証研究
が進められているそうです。

                     

 かって、80歳まで20本以上の歯を残そう・・8020運動が知られていますが、これ
によって、55歳~64歳で歯がない人の割合が、1975年で20%であったのが2005年
にはわずか2%まで30年間で10分の1に激減したことに倣って、認知症予防に対して
認知ケア習慣を今後さらに普及促進して行きたいと結ばれています。

                

 2023年に、アルツハイマー病の原因物質(アミロイドβ)を除去できる画期的な
薬が承認されました。日本のエーザイとアメリカの会社が開発した新薬です。
しかし、この新薬はMCI(軽度認知障害)を含む早期患者でその効果を発揮する
そうですが、未だ高価であるようですし今後さらに新薬が開発されてくるのでしょ
う。 このような光明に期待しつつ、ここに述べられている『共想法』が、更に
一般的な形で普及して行くことは地味ではありますがボディーブローのように効い
てくると期待されているのです。

 

 活動事例の紹介(一部)です。https://shoutokukai.com/pages/43/

 

 

 

【暮らしに取り入れる認知症予防】対談-島田 裕之×大武 美保子 「年末年始こそ、認知症予防」

 

 

 

 


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