鎌倉の谷戸に埋もれるように建つ大寺、日蓮宗の本山「長興山妙本寺」はある。創建は文応元年(1260)、開山は日蓮上人、開基は比企大学三郎能本、本尊は十世界曼荼羅である。ここは「比企の乱」で滅びたことで知られる比企一族の邸宅跡である。身延山久遠寺、池上本門寺と並ぶ日蓮宗最古の寺院である妙本寺は「二門」(総門と二天門)、「二堂」(本堂と祖師堂)の日蓮宗の典型的な伽藍を有しその格式の高さが窺える。「総門」を入って右側には寺院の形をした比企谷幼稚園、方丈門前の道を左に進むと二代将軍頼家の室=若狭局を祀る「蛇苦止明神」(蛇苦止堂)がある。方丈門を抜け苔むした石段を上ると「寺家所」と「書院」そして風格ある「本堂」がある。その前方には天保年間(1830~43)建立された朱色をした「二天門」が視界に入ってくる。仏教の守護神四天王のうち持国天と多聞天が祀られている。二天門を抜けると宗祖日蓮と日朗、日輪を祀った大きな「祖師堂」がある。現在の建物は天保年間(1830~43)再建されたと伝えられている。祖師堂の左手には日蓮像と釈迦如来立像が安置されている「霊宝殿」がある。広大な境内に立ち並ぶ伽藍の建造物、歴史の重みが伝わってくる。訪れた日、未だ紅葉残り寺域は美しく彩られていた。今日という有限の時間に全ての事象と自己と向き合い刺激を求め能動的な旅は脳を心を研ぎ澄まさせくれる。(1109)


















