近代的な香林坊から数分のところにかつて加賀藩士が住まいを構え暮らした長町、今も数多くの武家屋敷跡が点在する。「長町武家屋敷跡」は、敵の侵入を防ぐために造られた袋小路といい、複雑に折れ曲がった石畳の小路といい、その両側に趣きある長屋門が続き、黄土色の土塀や武者窓の長屋はまるで藩政期の江戸時代の街角に紛れ込んだかのような、タイムスリップしたかのような錯覚を起こす風景が残っている。土塀の隙間から見える庭園や重厚な屋敷はまさに加賀百万石の城下町であったことを窺わせる。そして界隈を挟むように流れる大野庄、鞍月の二つの用水のせせらぎを聞きながら、しっとりとした情緒・風情に浸っていると、角から今にも武士でも現れてきそうな雰囲気である。無料公開している旧加賀藩士高田家跡の屋敷を見学、往時の生活・暮らしぶりの一端を垣間見ることができた。(1203)




















