伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

サーズビイ君奮闘す

2008-09-13 21:01:26 | 小説
 知識経験がないのにいきなり法廷に立たされた新人弁護士が、クセの強い裁判官たち、わがままな依頼者たちに翻弄されながら事件をこなしていく法廷物コメディ。
 原作が1955年の出版で当時のイギリスの独特の弁護士制度・風習を前提にしているので、普通には違和感のあるところが多々あります(法廷には弁護士も法服を着てカツラをかぶるとか、法廷弁護士は事務弁護士の紹介なく依頼者と直接会えないとか、もちろん法律・規則の内容も今の日本とはかなり違うし・・・)。
 しかしそれを置いても、強権的な裁判官やわがままな依頼者の前に立たされた弁護士という設定は、弁護士であれば誰しも経験のあるところですし、それをどうやり過ごしていくかという課題は共通のものがあります。そういう観点で見ると同業者としては笑えないところもありますが、他人事として読む限り面白く読めます。全くの新人にここまで押し付けられることは、たぶんないと思いますが、ここまで知識経験なくいきなり法廷に立たされたら、「弁護士のせいで負ける」ということが現実味を帯びますね。繰り返しいいますが、現実にはこういうことはたぶんないと思いますが(ないと信じたいですが・・・)。
 表紙には「ミステリ」と書いていますし、解説にもそう書いてあるんですが、謎解き的なものはまったくありません。私にはどう見てもミステリーには分類できません。


原題:Brothers in law
ヘンリー・セシル 訳:澄木柚
論創社 2008年5月25日発行 (原作は1955年)
コメント
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