伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

ルポ産科医療崩壊

2009-09-24 20:15:52 | ノンフィクション
 産科の医師が減少し続け、妊娠初期に予約しないと産院も確保できない「お産難民」や救急医療の受け容れ拒否などが目についてきた産科と妊婦の置かれた現状のレポート。
 産科の医師の減少には、当直が多い、救急搬送が多いという勤務自体の厳しさと、訴訟が多いという要因から若い医師が産科を選ばなくなり、産科医の減少が残る産科医の業務量をさらに増やして疲弊させていくという悪循環が指摘されています。勤務条件の悪さから、本来産科に特に必要な女性の産科医が結婚や出産を機に産科を離れていく、子持ちでは分娩(産科)を続けられないという実情は、悲しい。昔なら助からなかった命を助けるほど集中治療室での治療を要する新生児が増えるなど仕事がどんどん増えていく事実も。
 訴訟リスクでは、刑事事件として起訴された大野病院の事件が産科医師の減少に拍車をかけたとされていますが、民事裁判の増加も影響しているでしょう。私自身は医療過誤訴訟はやっていませんが、そのあたりはなかなか複雑な心境です。


軸丸靖子 ちくま新書 2009年8月10日発行
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