伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

メガロマニア

2009-09-25 23:12:44 | エッセイ
 マヤ文明とインカ文明を扱うNHKスペシャルの企画に合わせた出版のために遺跡めぐりをして書いた紀行文。
 マヤ文明やインカ文明についての蘊蓄や遺跡のガイド的な説明はあまりなく、どちらかというとあまり詳しくない素人の立場で、行ってみて感じたことを個人的な感性で書いた旅行エッセイという感じです。写真はそれなりに挿入されていますが、観光ガイド的ないかにもの写真はほとんどなく、文章を読んでいてここは写真が欲しいというところを写真で押さえているわけでもなく、やはり著者の趣味的な入れ方だと思います。
 私は、マヤ文明とかインカ文明とかわりと興味を持ってるので、もう少しガイド的な写真を写実的な説明文が欲しかったのですが。
 遺跡めぐりのハイライトのマチュピチュを訪れた著者が、「神秘の場所、深遠な謎に満ちた古代文明を実感しなければ」と焦りながら、「写真通り。本で見た通り。そんな感想しか頭に浮かばなかった。」「古代遺跡の中にいるというよりも、やはりよくできたテーマパークの中で、スタンプラリーに参加しているという気分になってくる」(223ページ)というあたりの率直さというか投げやりさ加減はちょっと微笑ましく思えましたけどね。
 いくつか挟まれている「プロローグ」と題するファンタジーは、幻想的な雰囲気を漂わせるものの、本の性格をより中途半端にしてしまうように感じました。


恩田陸 NHK出版 2009年5月30日発行
コメント
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