衆議院事務局調査法務室長の41歳独身東条愛子の性遍歴をフリーランス記者が取材して匿名で記事にする過程を軸に、代議士夫人として息子の誕生を期待されるが妊娠できず養子をとってでもと奔走する近藤貴恵を絡ませて、妊娠するけど産めない女と産みたいが妊娠できない女の葛藤と悲哀を描いた小説。
といえば聞こえがいいし、おそらく作者はそういう意図で書いているんでしょうけど、この主人公の東条愛子にどうもリアリティを感じられませんでした。とりわけなぜ女性の作者がこういうキャラを書きたかったのかに疑問を持ちました。超エリート女性だが次々と男と関係を持ち妊娠しては自ら中絶して後腐れなく別れる、結局は男に都合のいい女、時に復讐を企てる怖い女としても、どちらの点からも男が描きたがるパターンのキャラに思えます。超エリート女性を、私生活の乱れや男性関係の浅はかさをネタに貶めたい、あるいはそれを望む読者層に媚びたい、そういう思惑が感じられてどうにもいやな気持ちになりました。
特に前半はそちらの方に重心がある感じで、産む産まないの話は後半になってようやくテーマっぽくなります。書き下ろしだということですが、章ごとに少し途切れている感じもしますし、途中から軌道修正している感じもしました。
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栗原美和子 幻冬舎 2009年11月25日発行
といえば聞こえがいいし、おそらく作者はそういう意図で書いているんでしょうけど、この主人公の東条愛子にどうもリアリティを感じられませんでした。とりわけなぜ女性の作者がこういうキャラを書きたかったのかに疑問を持ちました。超エリート女性だが次々と男と関係を持ち妊娠しては自ら中絶して後腐れなく別れる、結局は男に都合のいい女、時に復讐を企てる怖い女としても、どちらの点からも男が描きたがるパターンのキャラに思えます。超エリート女性を、私生活の乱れや男性関係の浅はかさをネタに貶めたい、あるいはそれを望む読者層に媚びたい、そういう思惑が感じられてどうにもいやな気持ちになりました。
特に前半はそちらの方に重心がある感じで、産む産まないの話は後半になってようやくテーマっぽくなります。書き下ろしだということですが、章ごとに少し途切れている感じもしますし、途中から軌道修正している感じもしました。
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栗原美和子 幻冬舎 2009年11月25日発行