伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

遠まわりして遊びに行こう

2010-06-11 22:56:40 | 小説
 失恋して引きこもり、親から仕送りを減らすと言われ試験を忘れて語学の単位を落としたショックで部屋を出てバイトを始めることにした大学1年生の新太郎が、中学生向けの塾と小学校低学年の「遊び塾」の講師として子どもたちにいじられ絡まれながら成長する青春小説。
 自信がなく、しかし自意識過剰気味で変に見栄を張る、ありがちな今時の若者キャラの新太郎、いい加減で緩いけどしたたかでいざというときは頼もしいおっちゃんの塾経営者正宗、ひたすらはしゃぎ回る小学校低学年男子の「おサル」たちという3世代のキャラのギャップがいい味わいを出しています。格好つけるわりにドジでよく失敗する新太郎が落ち込んだり言い訳するのを、正宗の親父キャラや天然のおサルたちの行動が、別に気にしなくていいんじゃないと和ませていくところがうまいなぁと思いました。
 事件が起こるとその後をうまくつなげないのか、ぽんと時間が飛ぶところがあって、読んでいてそこに違和感が残りますが、全体としてはコメディタッチのなごみ系青春小説としていい線だと思います。


花形みつる 理論社 2010年2月発行
コメント
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