伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

湿地帯

2010-07-10 01:03:27 | 小説
 奔放な性生活を送っている18歳の少女ヘレンが痔の手術をして入院中に、離婚した両親を引き合わせようと計画を練るがうまくいかずあきらめて母の元を去るというストーリーの小説。
 ヘレンの語りで、ヘレンの性生活、自慰、便通、月経等ひたすら下の話が続きます。セックスや性器の話が頻出しますが、ポルノ小説的なエロティシズムはほとんどなく、エロではなくグロという感じ。
 訳者あとがきで著者は女性自身によってつくられた清潔のイメージでがんじがらめにされている女性を解放したいという希望、イギリスでフェミニスト小説として話題になった(269ページ)と書かれていますが、それはちょっと。性体験や体のことを恥じるのではなくあっけらかんと話す点はそのようにも読めますが、公衆便所の汚れた便座に「アソコで便座を一周きれいにお掃除するの。ぞくぞくするほどの快感」(23ページ)とか、よくぞ言ってくれたとか思う人はまずいないんじゃないでしょうか。私も読んでてちょっと気持ち悪くなりましたし。それとヘレンの奔放な性生活が両親の離婚ととりわけキャリアウーマンの母親への反発に原因があるように読めるのも、フェミニスト小説と評価しにくく思えます。
 作者はドイツのマルチタレントということですが、この小説の内容の70%は自伝(268ページ)って、ぶっとんでます。これだけ書いて自伝って明言できるのって、それはそれで立派と言えますけど。


原題:Feuchtgebiete
シャーロッテ・ローシュ 訳:シドラ房子
二見文庫 2009年12月20日発行 (原書は2008年)
コメント
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