28歳美少女アニメオタク引きこもりニートの白畠鋭一が、名古屋に住むバツイチの姉の海外出張中5歳の姪リサの子守をすることになり、名古屋で2人暮らしをしながら幼稚園に送り迎えする過程で、子どもやまわりの大人とのコミュニケーションを回復し、幼稚園の先生への思いを募らせる青春小説。
前半、これほどまでに使えない情けない大人がいるのかと思える、どうにも感情移入できない、読んでいてイライラする主人公と、5歳児とは思えぬしっかりした少女の組み合わせでストーリーが展開していきます。主人公のこれほどまでに情けなく現実を直視せず自分の世界に浸り自己弁護に終始する姿は、引きこもりニートってこういうこと考えてるんだ、世の中にはこういうものの見方をする人間もいるんだって驚きを与えてくれるともいえますが、たぶんそれは引きこもりへの偏見を強めるだけなんだろうと思います。
この情けない主人公が、5歳のリサや憧れの先生から笑わせて周囲を明るくしてくれるなどとおだてられ、ほんのわずかに成長を見せるというのがテーマなんでしょう。でも、この主人公の情けなさぶりを見ると、それさえ引きこもりの幻想じゃないかって気もしてしまいます。
6話構成で、ときどきおさらいをしたりするので、何か雑誌の連載かと思いきや、最終ページには書き下ろしって。それならもっと一気に読ませる流れにした方がいいのに、と思います。
黒田研二 文藝春秋 2012年1月25日発行
前半、これほどまでに使えない情けない大人がいるのかと思える、どうにも感情移入できない、読んでいてイライラする主人公と、5歳児とは思えぬしっかりした少女の組み合わせでストーリーが展開していきます。主人公のこれほどまでに情けなく現実を直視せず自分の世界に浸り自己弁護に終始する姿は、引きこもりニートってこういうこと考えてるんだ、世の中にはこういうものの見方をする人間もいるんだって驚きを与えてくれるともいえますが、たぶんそれは引きこもりへの偏見を強めるだけなんだろうと思います。
この情けない主人公が、5歳のリサや憧れの先生から笑わせて周囲を明るくしてくれるなどとおだてられ、ほんのわずかに成長を見せるというのがテーマなんでしょう。でも、この主人公の情けなさぶりを見ると、それさえ引きこもりの幻想じゃないかって気もしてしまいます。
6話構成で、ときどきおさらいをしたりするので、何か雑誌の連載かと思いきや、最終ページには書き下ろしって。それならもっと一気に読ませる流れにした方がいいのに、と思います。
黒田研二 文藝春秋 2012年1月25日発行