仕事はそこそこうまく行っている脚本家で36歳独身2年つきあった男と別れたての真壁鈴音が、高校の時の部活仲間だった古澤水絵に子ども連れで転がり込まれ、断り切れないままに居候され、追い出したくても追い出せないというシチュエーションで、水絵への猜疑心と嫌悪感、幼子共々路頭に迷わせることへの良心の呵責の心理・葛藤を描いた小説。
鈴音の居室・生活に入り込んでくる水絵への嫌悪感と、女性・母子家庭の生きにくさや世間の偏見への憤りに挟まれ、あちらこちらに揺れる鈴音の思いのアンビバレントな居心地の悪さが、狙ったものかどうかはわかりませんが、おもしろい(決して楽しくはありませんが)読み味を出しています。ただ、それには水絵の立場、水絵への評価を宙ぶらりんというか2側面を併存させておいた方が効果的で、第8章はない方がよかったかもと思います。
近藤史恵 幻冬舎 2012年9月25日発行
鈴音の居室・生活に入り込んでくる水絵への嫌悪感と、女性・母子家庭の生きにくさや世間の偏見への憤りに挟まれ、あちらこちらに揺れる鈴音の思いのアンビバレントな居心地の悪さが、狙ったものかどうかはわかりませんが、おもしろい(決して楽しくはありませんが)読み味を出しています。ただ、それには水絵の立場、水絵への評価を宙ぶらりんというか2側面を併存させておいた方が効果的で、第8章はない方がよかったかもと思います。
近藤史恵 幻冬舎 2012年9月25日発行