38歳でデビューして以後19年間に280冊ほどの本を書いた(まえがき)小説家の著者が、小説を出版したときの単行本、ノベルズ、文庫、ドラマ化・映画化による収益などについて語った本。
これといった大ヒット作はなくマイナーな読者層を狙って書いているという著者が、大きな収益を得るために推奨しているのは、とにかく次々と出版すること。新刊が並んでいれば、過去の本もあわせて売れたりして長く売れるって。出版社が次々書かせてくれる、出版してくれること自体、売れてないと無理ですけど。
原稿料が、小説でもエッセイでも、そしてどんな人気作家でも駆け出しの新人でも同じ、ものすごい傑作でもどうでもいいような駄作でも同じということに、著者は疑問を呈して(要するに不満なんでしょうね)います(29~31ページ)。弁護士の世界でも、会社の弁護士の場合はタイムチャージ(1時間当たりいくら)で新人弁護士(それでも1時間2万1000円とか)とベテラン弁護士(有名どころだと1時間5万円くらい)で単価が違うのですが、一般市民相手の法律相談とかだとどんな専門家の弁護士・ベテラン弁護士でもまったくの新人弁護士でもたいていは30分5000円(+消費税)です。かつては弁護士会の報酬基準がそうでしたし、弁護士会の報酬基準が公正取引委員会に競争制限だと言われて廃止された今でもほとんどの弁護士が自主的にその基準でやっています。専門の弁護士とまったくの新人弁護士では同じ時間相談しても、その質はまったく違うと思うのですが、そうは言ってもあまり高くすると一般市民の方が相談できなくなりますし…という配慮でそうなっているのだと思います。作家の原稿料の場合、出版社との力関係が大きいかもしれませんが、原稿料が高くなると文芸誌が作れなくなるし、というところで似たような話があるのかもしれません。
森博嗣 幻冬舎新書 2015年11月30日発行
これといった大ヒット作はなくマイナーな読者層を狙って書いているという著者が、大きな収益を得るために推奨しているのは、とにかく次々と出版すること。新刊が並んでいれば、過去の本もあわせて売れたりして長く売れるって。出版社が次々書かせてくれる、出版してくれること自体、売れてないと無理ですけど。
原稿料が、小説でもエッセイでも、そしてどんな人気作家でも駆け出しの新人でも同じ、ものすごい傑作でもどうでもいいような駄作でも同じということに、著者は疑問を呈して(要するに不満なんでしょうね)います(29~31ページ)。弁護士の世界でも、会社の弁護士の場合はタイムチャージ(1時間当たりいくら)で新人弁護士(それでも1時間2万1000円とか)とベテラン弁護士(有名どころだと1時間5万円くらい)で単価が違うのですが、一般市民相手の法律相談とかだとどんな専門家の弁護士・ベテラン弁護士でもまったくの新人弁護士でもたいていは30分5000円(+消費税)です。かつては弁護士会の報酬基準がそうでしたし、弁護士会の報酬基準が公正取引委員会に競争制限だと言われて廃止された今でもほとんどの弁護士が自主的にその基準でやっています。専門の弁護士とまったくの新人弁護士では同じ時間相談しても、その質はまったく違うと思うのですが、そうは言ってもあまり高くすると一般市民の方が相談できなくなりますし…という配慮でそうなっているのだと思います。作家の原稿料の場合、出版社との力関係が大きいかもしれませんが、原稿料が高くなると文芸誌が作れなくなるし、というところで似たような話があるのかもしれません。
森博嗣 幻冬舎新書 2015年11月30日発行