集団的労使関係での使用者の労働組合等に対する不当労働行為(原則として労働委員会で救済)の成立要件について、判例と労働委員会の命令を挙げて解説した本。
教科書的な本よりは判例・命令の中身も説明していますが、判例・命令を実務で使うには理由や事実関係にもっと踏み込んでもらう必要があり、判例を調べるとっかかりにするか、ざっと通し読みして不当労働行為/労働組合法の全般を把握する勉強用の本かなと思います。
今回読んでみて、私が日常的に取り扱っている民間個人労働者の裁判の世界と公務員の団体交渉(労働組合)では、いろいろ違うなぁと認識を新たにしました(労働組合の顧問やってませんので、そういうケースはあまり知りませんから)。雇止めについては、公務員の場合、裁判では絶望的(民間労働者なら契約更新が繰り返されていたり契約や使用者の言動で更新が予定されていたりすれば闘えますが、公務員の場合はまるでダメ)ですが、労働組合が団体交渉を申し込めばそれは義務的団交事項で使用者は団交を拒否できず、「誠実に」団交に応じなければなりません(154~156ページ)。民間労働者の場合当然に義務的団交事項になると考えられている労働者への懲戒処分は、公務員の場合は「管理運営事項」とされて団体交渉の対象外(154ページ、156ページ)だが、懲戒処分によって賃金・賞与の減額、昇給の延伸、人事考課の低査定による昇格・昇進への影響などがあるとそれは義務的団交事項になる(156ページ、172ページ)んだそうです。ふだん扱わない公務員と団体交渉がクロスする分野だから、ではありますが、労働法もまだまだ奥が深いですね。勉強になりました。
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山川隆一編著 第一法規 2021年12月10日発行
教科書的な本よりは判例・命令の中身も説明していますが、判例・命令を実務で使うには理由や事実関係にもっと踏み込んでもらう必要があり、判例を調べるとっかかりにするか、ざっと通し読みして不当労働行為/労働組合法の全般を把握する勉強用の本かなと思います。
今回読んでみて、私が日常的に取り扱っている民間個人労働者の裁判の世界と公務員の団体交渉(労働組合)では、いろいろ違うなぁと認識を新たにしました(労働組合の顧問やってませんので、そういうケースはあまり知りませんから)。雇止めについては、公務員の場合、裁判では絶望的(民間労働者なら契約更新が繰り返されていたり契約や使用者の言動で更新が予定されていたりすれば闘えますが、公務員の場合はまるでダメ)ですが、労働組合が団体交渉を申し込めばそれは義務的団交事項で使用者は団交を拒否できず、「誠実に」団交に応じなければなりません(154~156ページ)。民間労働者の場合当然に義務的団交事項になると考えられている労働者への懲戒処分は、公務員の場合は「管理運営事項」とされて団体交渉の対象外(154ページ、156ページ)だが、懲戒処分によって賃金・賞与の減額、昇給の延伸、人事考課の低査定による昇格・昇進への影響などがあるとそれは義務的団交事項になる(156ページ、172ページ)んだそうです。ふだん扱わない公務員と団体交渉がクロスする分野だから、ではありますが、労働法もまだまだ奥が深いですね。勉強になりました。
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山川隆一編著 第一法規 2021年12月10日発行